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人はなぜ「おごる」のか


AV女優の深田えいみさんが『デート代は男性が払うべき』的なツイートをしてプチ炎上した、という話題を見かけた。

男女の金銭的価値観にまつわるこの手の議論は定期的に巻き起こって(サイゼリヤ論争とか)もう好きにせえ、という感じで食傷気味なのだけど、なぜか今回はこんなことを思った。

そもそも「おごる」とは一体どういう行為なのだろう?

30年弱生きてきて、自分もおごりおごられ振り振られしてきた。しかしそのやり方というか、作法は誰に習ったわけでもなく、なんとなく「ここはおごらなきゃ」なり「おごってもらえそうだな…」なり思ってきた。その理由、つまり、おごるが何に起因するのか、を私は考えたことがない。チコちゃんが言うところのボーっと生きてんじゃねえよ案件である。

そこで今回は「おごる」がなぜ発生するのかを真剣に考えたいと思う。


▽おごる基準の検討

おごるという行為は相手がいないと起こり得ないため、自分と相手を比較して、自分がおごる立場なのか・おごられる立場なのかを決定していることになる。では、その決定は何を基準におこなわれているのか。
私は大きく分けて4つの基準があるのではないかと考えた。

①年齢
相手が年上か年下か同い年か、というのはおごるに際して最も考慮される基準であろう。
年上がおごる、というのは一般的にもよくあるパターンだと思われる。

②先輩・後輩
年齢に近いのだが、実際には年下の先輩・年上の後輩、というのも存在していて、難しいパターンとして広く認知されている。

③収入
近い(と思われる)収入同士では発生しないが、明らかに稼いでいる人には常におごりへの期待がかけられているし、逆に明らかに稼いでいない人(ニートとか)はおごられても許される雰囲気を発している。

④性別
よく議論される部分である。男は女におごるべき、という考え方が世間一般に存在しているのは間違いないのだが、時代錯誤な気も。基本的には女性への気遣い・カッコつけとしておこなわれる。おそらく欧米のレディーファースト的な感覚からきているのだろう。

以上4つの基準の組み合わせによって、自分はおごる側なのかおごられる側なのかを、私たちは即時に判断し、お会計に臨む、というのが私の見解である。


▽おごるの例題

そこで、上記の基準を用いて、仮に私と深田えいみさんの場合だとどちらがおごる立場になるのかを検討してみる。

①年齢
私の方がやや年上

②先輩・後輩
同じ業界にいないので基準対象外

③収入
おそらく圧倒的に深田さんが上

④性別
私は男性・深田さんは女性

いかがだろうか。③収入の圧倒的格差がやや気になる部分ではあるが、総合的にいえば私がおごる立場であるように思う。

なぜなら、検討してみて改めて感じたのだが、④性別・男性が持つおごりパワーが非常に強い。もっと言えば、④男性かつ①年齢・年上の場合、③収入低はほとんど機能していないように感じられた。

しかし仮に私が深田さんのアシスタント的な立場になり②後輩になった場合はどうだろうか?つまり、年上の男性だが収入が低い後輩、という立場である。
こうなってくると、かなり意見が分かれるのではないだろうか。そしてその意見の相違は、個人の価値観によって生まれるものである。
そう、おごりには4つの基準以外にも個人の心情が絡んでくるのだ。

▽心理的要因

かくいう私も、4つの基準で自分がおごる側だと判断した時でもおごりたくない時はある。

それはやはり、相手と過ごした時間を評価した時に多くお金を払う価値を見いだせない時、端的に言えば全然楽しくなかった時だ。

基準の説明にもあった通り、男性から女性へのおごりは基本的に気遣い・カッコつけであるし、年上から年下へ、先輩から後輩へ、これらのおごりも気遣いといえば聞こえはいいが、その実、見栄を張っている部分が大きいのではないだろうか。

となると、見栄=自分の印象を良くしたい、からするのであって、好感を持たれなくても良い相手にはおごる必要性はないと言えるのだが、実際はそうもいかない。

どんなにおごりたくない相手でも、「おごらないと小さい奴だと思われるかな…」という自意識が働くのである。これが非常に厄介だ。

『おごられなかったら脈ナシ』という女性の意見はあながち間違いではないが、「小さく見られたくない」という自意識だけでもっておごりが発生することは考慮したい。
おごられた=脈アリ、ではないことには注意が必要である。

▽まとめ

全然まとまっていないのだが、以上のことをまとめると、おごるという行為は次の場合に発生するということになる。

『基準に照らして自分がおごる立場だと判断した上で、相手に対しておごるに値する価値を見出した時、あるいは小さいと思われたくない自意識が働いた時』

…なんかすげー嫌だな。

みなさまが気持ちよくおごりおごられることを切に願っております。

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