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尾瀬のミニ観察~第5回~

 前回は、「リュウキンカ」を紹介しましたが、今回は「ニッコウキスゲ」についてご紹介します。

(5)「ニッコウキスゲ」
(花期:7月上旬~8月上旬)

 尾瀬を黄色く染めるニッコウキスゲ。
 この花には蜜や花粉を求めてセセリチョウ、マルハナバチ、ハナアブなど様々な昆虫が来る。しかし、それら昆虫は花に比して小さすぎ、雌しべの先にはほとんど触れない。蜜を吸うとき雌しべの先にも触れて、花粉を媒介するのはアゲハチョウの仲間だけ。蜜を吸いながら羽をはたはたと動かして雄しべに触れ、羽についた花粉を雌しべに運ぶのだ。ただ、尾瀬にはチョウが少ない、あなたは運よくその場に立ち会えるだろうか。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2009年6月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ウメバチソウ」についてご紹介します!