見出し画像

Anekdoten / Vemod (暗鬱)

■Anekdoten / Vemod
■収録曲:1.Karelia(7:20) 2.The Old Man & the Sea(7:50) 3.Where Solitude Remains(7:20) 4.Thoughts in Absence(4:10) 5.The Flow(6:58) 6.Longing(4:50) 7.Wheel(7:52) 8.Sad Rain(bonus track)(10:14)
■パーソネル:Nicklas Berg(g,key) Anna Sofi Dahlberg(cello,key,vo) Jan Erik Liljeström(b,vo) Peter Nordins(dr)
■カバー・アート:Thomas Södergren and Natalie Dumanska
■リリース:1993年9月

アイロン!

90年代以降、ごくごく私的に、ドリーム・シアターのImages and Wordsとイット・バイツのOnce around the worldともに最も強烈だったアルバムです。アネクドテンのファースト・アルバム。邦題は「暗鬱」!

アネクドテンのこのアルバムは、ユーロロック・プレスでアルカンジェロの広告を見て即買いしようと、新宿ユニオンのプログレフロアに行ったのですが、店内で流されていて、見本のCDもみせてもらえたにもかかわらず、売り物は完売でした。しばらく買えなかったので、焦らされた分、入手して、はじめて回したときの衝撃はそれはもう半端ない感じでした。

最近になって、イギリスのRarewaves.comでこれと、続くNucleusのレコード2枚を見つけて購入しました。アネクドテンの初期2枚、なんとなくキーフっぽいVemodのジャケットと目玉おやじは大きいサイズで欲しかったんですよね。このサイズの絵を眺めながら聴くと、さらに気合が入ります!

人形は怖いよね!

アネクドテンは1991年に結成されたバンドで、当時はクリムゾンのコピーバンドだったそうです。当時のバンド名はKing Edward。その後、オリジナルを演奏し始めて改名したのだとか。Anekdotenというのはスウェーデン語で逸話のことです。このアルバムが出た1993年頃というのは、丁度、ネオプログレ(ポンプ)のやわな音が一段落して、より本格的で硬派なバンドが様々な角度から登場した時期でした。最初に書いたドリーム・シアターのセカンドや、マグナ・カルタレーベルからのマジェラン、シャドウギャラリーらのプログレッシヴ・メタル勢、スポックス・ビアードやフラワー・キングスの始動もこの頃だったような。

アネクドテンは、当時、国内では無名に等しかったのですが、すぐに来日し、マニアな人たちの間で、実にか細くもプチブレイクしました。当時は、まだ、インターネット黎明期でしたから、ブログやSNSもなく、オタクな人たちは個々にサイトを借りてWeb Pageを作っていた時代。今なにをされているのか定かじゃないですがfar east Anekdoten Page(という名前だったと思う)を書いていた人から、メンバーを新宿のレコ屋巡りに案内したっていう話を聞いたのをよく覚えています。

見開きにはメンバーの写真

Amazon.co.jpができる5年以上前だから、個人輸入は、Amazon.comとかスウェーデンのRecord Heavenとかからメールで在庫確認して取り寄せたり、どうしても買えなかったA Triggering MythなんかはRick Eddy本人にメールして売ってもらったり、メジャーでもKansasのKerry Livgrenからは立ち上げたばかりのNumavoxにメールして本人からソロアルバムを全部送ってもらったりという時代でした。今から考えると、不便だったぶん、買う側もアグレッシブだったなぁと、懐かしんでいます。

話を戻すと、アネクドテンは、いにしえのプログレをそのまま増幅器にかけてパワーアップして復興させたような音を出すバンドでした。経歴どおり、クリムゾン譲りの硬派な音を維持していて、しかも、録音も、わざと荒削りにノイジーにしているという凝りよう。90年代のバンドだと思えないような迫力がありました。

類似のバンドとの決定的な違いは、バンドの各楽器の音の密着具合ですかね。この手の音は録音によるところが大きいと思うのですが、あまりに分離が良くなりすぎると、こうは聴こえないんですよ。ボーナストラックのサッド・レインが一番特徴的ですが、メロトロンの白玉フレーズが全体を包み込むように鳴り響く中に各楽器が溶け込んで音の塊をなしている状態っていうのかな、これがすごくいいわけです。ネタ元の墓碑銘をよく研究しきっているなぁと感心するばかり。これを、なんちゃってバンドがマネをすると、溶け込まないんですよね。そうなると、らしく聴こえなくて、痛い感じになってしまう。

左右逆のポスターは、めっちゃ嬉しい!

それから、見逃されがちですが、ボーカルは、か細いようで、かなりクセがあって粘っこく強力です。グレッグレイクとは全く違うタイプですが、いい感じで、凶暴な音に溶け込んでいます。このボーカルが弱いと、また、メロトロンの帳から浮いてしまうんですよね。そういうバンドをいくつみてきたことか。でもいいボーカルはなかなか見つからないんですけどね。

アマの人たちの中にはこれ系の音が出したい人たちが五万と(まではいないかもしれないけど)いるので、演る時は、ちゃんと考えてバランスと取ってやらないと、忖度が働く優しい身内は褒めるけど、私のような洋楽オタでアローワンスが少ない人からは、違うよねとダメを出されてしまうことになるんですよ(西城秀樹さんの墓碑銘カヴァーとかもアウト)。

そうした中で、アネクドテンのスタジオ録音は、クリムゾンで言えば、数多いスタジオ録音じゃなくて、アースバウンドの破壊力でした!ほんとにびっくりした!やっぱり、パクろうと思ったら(>口が悪い)オリジナル以上に奔放にやらないとダメですね。こじんまりコピーしちゃうとアマだなぁとバレてしまいます。

冒頭のカレリア〜老人と海の息もつかせぬ展開はまさに圧巻。私の場合は、この2曲が最もヘビロテ!楽曲には狂気と哀愁が同居した強力なオリジナリティーがあり、演奏ではロックのスピリットがビシビシと伝わってきました。以降の曲は、ギターがフリップ師匠を好きなんだろうなぁとヒシヒシと伝わってくる、らしいフレーズが散りばめられています。1曲ずつ感想を書いていると終わらなくなるので、このへんにします。聴いたことがない人はとにかく聴きましょう!凄いから!

#Anekdoten #Vemod #プログレ #スウェーデンロック #90年代音楽 #ネオプログレ #ドリームシアター #イットバイツ #クリムゾン #レコードコレクション #Rarewaves #キーフ #音楽マニア #インターネット黎明期 #プログレッシヴメタル #スポックスビアード #フラワーキングス #来日アーティスト #メロトロン #グレッグレイク #洋楽オタク #スタジオ録音 #音楽的狂気 #オリジナリティー #ギターフレーズ #音楽レビュー #暗鬱
<AIか人か知らないけど検閲実験中 Phase 3>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?