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Kansas / Song For America

■Kansas / Song For America
■収録曲:Side 1 - 1.Longships(1:11) 2.The Raven(5:12) 3.Dead Loss Angeles(2:23) 4.Ice(3:21) 5.Baroque Bordello(3:48) 6.Nuclear Device(3:28) // Side 2 -1.Shah Shah A Go Go(4:51) 2.(Don't Bring) Harry(4:09) 3.Duchess(2:29) 4.Meninblack(4:48) 5.Genetix(5:14 )
■パーソネル:Phil Ehart(dr) Dave Hope(b) Kerry Livgren(g,key) Robby Steinhardt(violin,viola,vo) Steve Walsh(vo,key) Rich Williams(g)
■リリース:1975年
■カバー・アート:Peter Lloyd

 1975年リリースの第2作、Song For America(US/Kirshner – PZ 33385)です。本作は小曲3曲、大曲3曲という構成をとっており、ファースト・アルバムに比べバンドの方向性がより明確になった感があります。

 1994年に発売されたボックスのブックレットの中で、スティーヴ・ウォルシュがファースト・アルバムについて「自己紹介のような性質のものであり様々に聴衆にアピールする一方自己の満足も得られる作品」と述べ、デイヴ・ホープがセカンド・アルバムについて「暗くクラシカルな面だけを強調したアルバム」と述べていることに顕れているように、確かにファースト・アルバムは多面的であり、Kansasに出来ることが散りばめられていた感がある一方、セカンド・アルバムでは、クラシカルな面がより強調されていると思われます。

米盤の内袋。日本ばんにはついてなかったなぁ。

 彼らのルーツのサザン・ロックに繋がるアーシーな感覚は、冒頭のDown the road、Lonely streetのブルース感覚たっぷりのハード・ブギに現れています。また、The devil gameでは見事に構築された各楽器のバトルを聴かせています。そして、Lamplight symphonyやIncomdro-Hymn to the atmanといった大曲においては、キメのフレーズに見られる大仰さが極みに達しています。映画のクライマックスで、何千年にも亘る封印が解き放たれ、閃光を背に受け、古代の王が登場するとかいった、そうした瞬間に流れる音楽のような大仰さです。こうした視覚的な構築性がkansasのシンフォニック・ロックの大きな特徴です。

 このアルバムのタイトル曲Song for Americaは、Kansasのライヴにおいても重要な位置を占める代表曲です。アメリカの荒廃への警告ともいえる歌詞を有しながら、時に軽快に時に重々しく、歌詞の展開に促して曲が進んで行きます。そして、およそ10分を一気に聴かせてしまいます。やはり、Kansasは只者ではないですね~(愛)。

 このアルバムは1975年5月にビルボード最高位57位を記録しましたが、セールス的にはまだまだでした。レコード会社はラジオ受けするポップな小曲を散りばめた作品を望んでいたようですが、彼らはそれに反して本作を制作したことから、その後、更にレコード会社の風当たりが強くなっていったようです。ファンの目からすれば、ラジオ受けする曲が欲しければ雇って来る連中が違うだろうと言わざるを得ないし、Kansasのメンバーがレコード会社の言いなりにならなかったことに敬意を表さずにはいられません。

 本作のもう一つの特徴は、Kansasのロゴ・デザインです。このロゴは画家のピーター・ロイドによるもので、以降のジャケットのほとんどに、これを基礎としたロゴが登場することとなります。

 本作とファースト・アルバムとの2枚が初めて国内発売されたのは1978年です。これは、LeftovertureとPoint of know returnの一代ブレイクによるものなのですが、ブリティッシュ・プログレッシブの土壌は十分固まっていたと思われる我が国においては、あまりにも遅かったとしか言いようがありません。

 このアルバムが国内発売される数ヶ月前、午後4時頃からNHKのFMをエアチェックし、テープが擦り切れるほどに聴きまくったものです。そして発売と同時に、お小遣いを全部突っ込んですってんてんになって2枚纏めて購入させて頂きましたので、Kansasのファーストとこのsong for Americaは、以来、我が家の家宝です(病)。

 当時のお気に入りは、Incomdro-Hymn to the atmanでした。今になって改めて聴くとちょっと演歌臭いしシンセも荒い気がしないでもないですが、当時は、完璧にハマりきっていました。東洋哲学の探求がテーマの曲だそうです。ケリー・リヴグレンの頭の中のことは解りませんね。Hymn to the atmanは直訳、超自我への祈り、邦題は宇宙への祈りです。Incomudroの意味は長年時折諸々調べてみるも不明。知ってる人教えてください!


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