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プログレ大御所との距離感:ムーディー・ブルースの場合

 10連休で暇なので、なかなか馴染めない音楽を聞き返してみるかと思って、ムーディー・ブルースの童夢を回しています。(以下、やっぱり馴染めなかったというお話なので、ムーディーズ・ファンの方はスルーしてください。)

 ムーディー・ブルースを初めて聴いたのは、イエス、ELP、クリムゾン、フロイド、ジェネシスを一通り聴いた後でした。最初のアルバムはセブンス・ソジャーンでしたが、この音に馴染めなかったんですよ。ただのロックン・ロール・シンガーさって言われても、ビートルズを歌っているダーク・ダックスを聴いているように感じました。

 いわゆるプログレの大御所を一通り聴いて出来上がるプログレッシヴ・ロックのイメージは、変拍子、複雑に展開する構築された楽曲、緊張感のあるインストルメンタルです。ムーディーブルースは、違いますよね。

 そこで、今回、改めて、分析的に聴き返してみました。

 童夢の冒頭の曲プロセッションは、意外にも怪しすぎる展開が完璧で「らしいプログレッシヴ・ロック」でした。続くストーリー・イン・ユア・アイズは、その流れの中で自然にボーカル・パートに流れ込んで行きますし、いいテンポで演奏されるので自然に聴けます。終盤のピアノの和音の連打と歪んだギターの音色は古めかしいもののなかなかのテンションを保っています。ここまでは、すごくいい感じでした。

 しかし、その先の曲は、どれも、ごくごく普通のポップスでした。全面にメロトロンのストリングスと重厚なコーラスが張り巡らされていますので、きっと、これがプログレとカテゴライズされた理由なのでしょうね。ネオン・レーベルのレア盤のスプリングスが緩いロックなのにプログレで括られているのと同様かと思います。

 馴染めなかった理由は、メロトロンの帳と重厚な合唱団的なコーラスが通奏的につけられているからです。緩い8ビートを大合唱されてもねって感じ。

 リック・ウエイクマンが、地底探検やアーサーで用いた混成合唱団のようにワンポイントでコーラスが入れられていたり、フロイドの原子心母のように一部のパートが合唱で書かれていたりということなら、大曲の必然的な展開として面白みがあるのですが・・・。

 ムーディー・ブルースの場合は、コンパクトで穏やかなポップスに厚みを持たせるために大合唱とメロトロンが使われているのだと思います。当時としては、そうした厚み自体に面白みがあったのかもしれませんが、必然性を感じませんし、だからプログレと言われてもねぇってところで、結局、肌に合わないことを再確認して終わってしまいました。ELOも同じ理由で馴染めないのですが、やはり、好き嫌いは第一印象が肝心だということですね。ドリームシアターやウォッチタワーが楽しいメタル寄りの耳からすると完全に対極でした!趣味なんだし、無理して聞こうとしない方が健康にいいのかも。 

 ちなみに、幻想的で思わずジャケ買いしたくなるカヴァー・アートの元絵は、Sulamith Wulfing The Crystal Postcardです。

・・・このテンションで、アルバム全体をまとめてくれたらよかったのに!

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