見出し画像

[ベトナム940日目]VATとインボイスに関するニュース総まとめ(2023年5月)

控除法におけるVAT返金時のVATインボイス発行義務と税率

控除法でVATを申告する企業等において、過去に受領したサービス料を適法な理由により返金する場合、2020年10月19日付政令123/2020/ND-CP第4条に基づき、VATインボイスを発行する義務があります。

また、この返金の際に適用されるVAT税率は、サービス提供に関し既に発行されたVATインボイスの税率と同一となります。

参照

2020年10月19日付政令No.123/2020/ND-CP
2023年2月16日付ハノイ市税務局オフィシャルレターNo.6099/CTHN-TTHT

紙インボイス使用企業のみ対象?VATインボイスの利用状況報告書の提出義務について

政令123/2020/ND-CPの発効により、2022年7月1日以降、各企業は電子インボイスの使用が要求されます。

しかし、一方で、従来求められていた、付加価値税(VAT)インボイスの利用状況に関する報告書の提出は不要と規定されています。

ただし、一部の特別な場合(技術インフラの要件を満たしていない、または税務システムのエラーにより電子インボイスの使用ができない企業等)においては、引き続き、紙インボイスの使用が可能であり、同時にVATインボイスの利用状況報告書を税務局に提出する必要があります。

2022年7月15日付の財務省発行の決定1421/QD-BCTにおいては、VATインボイスの利用状況報告の対象となる企業の詳細は明記されていませんが、当決定1421/QD-BCTは政令123/2020/ND-CPに準拠するため、VATインボイスの利用状況報告書の提出義務は、税務局の紙インボイスを使用する企業のみに適用されると考えられます。

また、ハノイ税務局およびハイフォン税務局に確認したところ、上記と同様の見解である旨、回答を得ています。

以上のことから、2022年7月1日以降に電子インボイスの使用が要求されるにもかかわらず、VATインボイスの利用状況報告書の提出は必要ないとされています。ただし、特別な場合には、紙インボイスの使用とともに、VATインボイスの利用状況報告書の提出が必要であることに留意する必要があります。

参照

2020年10月19日付政令123/2020/ND-CP
2022年7月15日付、財務省の決定1421/QD-BCT

On the Spot輸出入のVAT還付:留意点を押さえた効果的な税務対策

最近のVAT還付税務調査に際し、On the Spot Export/ImportにかかるVAT還付が否認される事例が出ているため、今後VAT還付についての税務調査を受ける際は注意が必要です。

以下に留意点を示します。

・On the Spot Export/Importの仕組みは、「政令08号」第35条第1項および関連する通達「通達38号」第86条第1項の規定から読み取れる以下の3種類となります。

a) ベトナムで製造加工された製品について、ベトナムの組織・個人に対してベトナム国外の組織・個人から販売をおこなう取引
b) ベトナム国内企業(いわゆるNon-EPE企業)と輸出加工型企業または非関税区域内の企業との間での売買取引
c) ベトナム国内企業と、ベトナムに代理代表機能を持たない外国の組織・個人との間の売買だが、納品先はベトナムの企業となる取引

・税務局では、On the Spot Export/Importに該当するかどうかを審査する際に「政令08号」と「通達38号」規定を参照するほか、これらの法令で明確に定義されていない事項は他法令を参照して判断しています。

・特に上記 c)の「ベトナムに代理代表機能を持たない(khong co hien dien tai Viet Nam)」という法令中の文言について、ホーチミン税務局は外国貿易法(No. 05/2017/QH14)第 3 条第 5 項を参照し、「ベトナムに代理代表機能を持たない企業とは、ベトナムで投資法・商法による投資・事業活動を行わず、駐在員事務所も有しない企業である」と解釈している。

参照

外国貿易法No. 05/2017/QH14- 2015年1月21日付政令08/2015/ND-CP
2015年3月25日財務省発行通達 No. 38/2015/TT-BTC

2023年度におけるVAT減税案について

4月17日、政府は2023年7月1日から2023年12月31日までの期間におけるVAT減税案をまとめた文書を2614 号で発行しました。

政府は原則として、国会の承認を得ることに同意しています。

VAT減税に関する提案内容は以下の通りです。

・控除方式によりVAT計算する事業所の場合、すべての商品・サービスが8%に減税されます。ただし、10%のVATが課税されます。
・直接方式によりVAT計算する事業所(事業所世帯および個人事業主を含む)の場合は、インボイスを発行する際に、VATの計算割合が20%引き下げられます。ただし、10%のVATが課税されます。

昨年の減税内容と比較すると、今年は、減税対象業種・非減税対象業種を問わず、10%のVATを課税されているすべての品目に広く適用することを推奨しています。

※留意点:2023年にVAT減税されるか否かは、国会での承認によって最終決定されます。

政府からの指示に基づく土地利用料等減免、VAT減税検討に対する決議50号の内容とは?

本決議(以下「決議50号」)は、2023年3月に実施された定期政府会議および政府-地方行政機関会議に基づく政府からの指示が決議化されたものです。

会議および決議50号において政府は財務省に対し、2023年の土地使用料や利用料、付加価値税(VAT)を含む税金および手数料などの免除、減額、延長、賃貸借期間の延期、延長にかかる解決策を検討し、2023年4月15日までに管轄機関に提出するよう指示しました。

なお、このうちVATに関しては、2023年3月の会議において政府は財務省に対し、地方管轄局と協力して企業のVAT還付を速やかに処理解決し、政府に対しVAT減税提案を提出するよう指示しました。これに基づき、財務省は以下の2種類のVAT減税提案を作成しています。

・1号提案:VAT適用税率10%の商品・サービスグループに対して税率を2%引き下げ8%とする。
・2号提案:社会経済の回復と発展のプログラムを支援するための財政および金融政策に関する国会決議43号に基づき、2022年にVAT減税された商品・サービスを除く、10%のVAT税率を課される商品・サービスグループに対して税率を2%引き下げ8%とする。

いずれも減税期間は2023年7月1日から12月31日までとされています。

また、決議50号において政府は財務省に対し、法人税法を近日中に改正し、中小企業向けの法人税優遇制度を盛り込むよう指示しています。

参照

2023年4月8日付政府決議 Resolution No. 50/NQ-CP(https://datafiles.chinhphu.vn/cpp/files/vbpq/2023/4/50-nq-cp.signed.pdf)

2023年4月7日付財務省税務政策局内部通知 No.67/CST-GTGT(https://cdn.thuvienphapluat.vn/uploads/phapluat/2022-2/HQ/giam-thue.jpg)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?