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口内炎だと思ったら「がん」だった話(1)

2024年3月2日〜10日に「AYA WEEK2024」が開催されます(これを書いている日は3月1日)。その、ほんの少し前に私もその仲間に加わりました。
今年は治療中のため、直接参加することは難しいですが、半年前までなんでもない健康体だった私と今まさに患者当事者である私の経験を伝えられるのではないかと考えました。


そもそも、AYA世代とは?

AYA世代とは、Adolescent&Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとって、15歳から39歳で初めてがんと診断された患者さんになります。

詳しくは「国立がん研究センター中央病院」のホームページをご覧ください。

病気について告白する前に、私の身体に何が起きたか時系列に振り返ります。

2023年

9月下旬

派遣先から所属する会社に戻りました。
1on1の際に、上司から「舌が回っていないね」とやんわり指摘を受けました。
そのとき私は、(インサイドセールス職の)OJTのスクリプトを久しぶりに読んで舌を噛んだか、(派遣先での悔しい思いから)ものすごく泣いていたせいで呂律が回っていなかっただけと気にしていませんでした。

通っている耳鼻咽喉科の言語聴覚士の先生から歯医者で診てもらったほうがいいとアドバイスを受けて10月上旬に予約を取りました。

10月7日(土)

初診で近所の歯医者へ。

一人暮らしをして初めて歯医者に行きました。それまでは実家近くの歯医者で長年お世話になっていたので「歯医者選び」から取り掛かりました。
今回は歯そのものより、舌なので口腔外科が併設しているクリニックに絞りました。いつもスーパーで買い物に行く途中で目に入る歯科医院に決めました。(名前にはしごだかが付いているからも理由の一つでした。)

初めて先生に舌が腫れていることを説明しました。しかし痛みとか出血とかないということでひとまず「経過観察」に。

「2週間〜1ヶ月経っても治らないようでしたら、また来てください」

特に投薬も塗り薬もなく、そのまま帰宅しました。

それから約1ヶ月ほど経っても腫れが引かないので、私は市販の口内炎・舌炎用塗り薬を購入し使い始めました。

2024年

1月16日(火)

近所の歯医者に受診。

13日土曜に言語聴覚士の先生から歯医者に行くことを勧められて、
連休明けの火曜に予約を取りました。

診察室に入り、前回(2023年10月に初診)のことで…と話しました。
口を開けて、舌を診るや30秒ほどで、
歯科医から
「すぐ紹介状書くから」のひと言で診察が終了しました。
封筒の表には近くの都立病院Aの名前が。
私がお会計を待っている間、歯科医は加えて

「最悪の事態は考えたくないけど、
万が一、重大な病気が隠れているかもしれないからきちんと検査して」

このとき私は、
なんで先生はこんなに切羽詰まっているのだろう?と
不思議に思いつつ、話を聞いていました。

「口内炎じゃない、正体不明の腫れもの」

自宅に戻るや否や、
さっきの先生の言い方が怖かったので
封筒に印字された病院に外来予約の電話をかけました。

1月29日(月)

都立病院Aを初診。
診察カードを作っていない病院って
なんかドキドキ。
診療科の場所がわからないと案内係の女性がすぐ声をかけてくれました。

お目当ては口腔外科。
外来患者さんが多く、待合のソファで診察の順番を待っていました。
文庫本の、10枚目のページがめくれたタイミングで私の名前が呼ばれました。
診察室に入ると、先生にこれまでの経緯を説明。
口を開けて舌の腫れている箇所を診てもらいました。

腫れている箇所を写真に残し、表面の細胞を拭って検査へ。

しかし、先生の顔色は曇っていました。
舌のおできの周りは硬く、結構深刻な状態だと告げられました。
そして、ここではない、別の病院(注)で治療が必要だと。
(注:実家から近い病院、または職場から通いやすい病院の2箇所から選択を迫られました。)

これは、何か良くない様子では…!?いや、でも。
疑いたくないけど、その可能性もあるから、覚悟しなきゃいけないのかもしれません。

前職のとき、仕事中に口内炎について調べたことがありました。
「舌 腫れもの」と検索すると歯科のホームページに口内炎のほかに、紅斑や口腔内に突起ができている写真が載っていました。
その説明は舌癌の状態だとありました。
私は、その状態にまでいきたくないと目を逸らしていました。

検査結果はあさって、水曜日。
その日までに精密検査(と治療)を受ける病院を決めなければなりませんでした。

1月31日(水)

都立病院Aを再診。
検査結果を聞きに来ました。

正直、細胞片をちょっこと切っただけのもので病気がわかるのだろうか?と疑念を抱いていましたが、舌の状態が細胞レベルで良いのか、悪いのかが判明しました。

私の、その当時の舌の状態は
(正常←)Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ(→悪性の疑い)の5段階中、Ⅲ。
さらに、Ⅰ〜Ⅴをそれぞれa・bに分けた場合、私はbでした。

Ⅲのb。舌の腫れは悪い方に進んでいました。

今回の検査は、舌の表面にある細胞を診ただけ。細胞の深層部がどうなっているか、さらに検査をしないと判明しないことを、先生は白紙に細胞の図を描いて説明してくれました。

結果の説明が終わると、詳細の検査と治療をするところを「職場から通いやすい病院」(=都立病院B)に選びました。一応、母にLINEで相談した結果でした。
すぐさま、その病院の口腔外科に電話をかけてくれました。(病院のネットワーク、すごい。)
そのとき担当医は不在でしたので、私はお会計を済ませ帰ろうとしていました。

しかし、お会計の窓口に呼ばれ、口腔外科の受付にもう一度行くことになりました。待合ソファで座っていると、先ほど診察した先生が出てきて

「いま電話で、都立病院Bの先生につながって事情を説明したから、あしたそこに行ってね」

診療科の受付で渡した紹介状と、都立病院Bへの行き方が印刷されたA4用紙を私に手渡しました。
ほかに「ここよりちゃんと検査してもらえるから」のようなことを話された気がしますが、うろ覚え。反対に、先生の表情が初診のときより深刻で感傷的だったことは記憶しています。

(前職の)健康保険証もこの日、1月31日で使用期限を迎えました。
返却して任意継続健康保険に切り替えなければなりません。

まさか、こんな病院を転々と行くときに限って。

あすの病院でなんて言えばいいのか。
そのときは腫れ物より健康保険証を気にする私でした。

つづく。

参照

AYA世代のがんについて|国立がん研究センター中央病院