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【2024年度】国家公務員採用総合職試験:経済区分第一次試験解説(経済理論)

 このnoteでは、2024年3月17日に開催された、国家公務員採用総合職試験、経済区分第一次試験の解答・解説を行います(経済理論についての問題を中心に解説します。時事系の問題については本noteで解説を掲載する予定はありません)。速報性を重視して、随時更新いたします。もし内容に誤りやご不明点がありましたら、XのDMにまでご報告頂けますと、大変助かります。

 なお、経済区分の解説ではありますが、法律区分や政治・国際区分の共通問題も含んでいるので、その他の区分を受験された方についても確認や復習にお役立て頂ければと思います。

【2024年度公務員試験解説リンク】

難易度の評価
★ Cake 一般的な知識のみで解ける問題
★★ Normal 一般的な知識についての簡単な応用問題
★★★ Hard 一般的な知識についての厳密な理解を必要とする問題
★★★★ Savage 専門的な知識を必要とする問題
★★★★★ Ultimate 専門的な知識についての深い理解を必要とする問題


ミクロ経済学(No.1~8)

No.1 (法律区分No.44)最適消費 ★

 まず価格変化前の状況を考える。所与の値をコブ=ダグラス型効用関数の最適消費の公式に代入すると
$${x^{*}=\frac{1}{1+1}×\frac{60}{5}=6}$$ $${y^{*}=\frac{1}{1+1}×\frac{60}{10}=3}$$
と求まる。これを効用関数に代入すると
$${u^{*}=6×3=18}$$
と計算される。
 次に価格変化後の状況を考える。価格変化前の効用水準を補償する所得水準を$${I'}$$とすると、コブ=ダグラス型効用関数の最適消費の公式より
$${x'=\frac{1}{1+1}×\frac{I'}{5}=\frac{I'}{10}}$$ $${y'=\frac{1}{1+1}×\frac{I'}{40}=\frac{I'}{80}}$$
と求まる。これを効用関数に代入すると
$${u'=\frac{I'}{10}×\frac{I'}{80}=\frac{I'^{2}}{800}}$$
と計算される。ここで$${u^{*}=u'}$$となる$${I'}$$を求めると
$${u^{*}=u'}$$
$${\Leftrightarrow 18=\frac{I'^{2}}{800}}$$
$${\Leftrightarrow I'^{2}=18×800}$$
$${\Leftrightarrow I'=120}$$
よって必要な所得の増加分は$${\Delta I=120-60=60}$$
となる。

No.2 2期間モデル ★★★

 貯蓄額を$${S}$$とすると、$${T=1}$$における消費者の予算制約は
$${Y_{1}=C_{1}+S \Leftrightarrow S=Y_{1}-C_{1}}$$
と表される。一方、$${T=2}$$における消費者の予算制約は
$${(1+r)S=C_{2}}$$
と表される。よって上式を下式へ代入すると生涯の予算制約は
$${(1+r)(Y_{1}-C_{1})=C_{2} \Leftrightarrow (1+r)Y_{1}=(1+r)C_{1}+C_{2}}$$
と与えられる。この生涯の予算制約のもとで消費者は効用を最大化するように各期の消費量を決定するが、それは所与の主観的割引率のもと生涯の予算線と右下がりの無差別曲線が接する点で与えられる(詳しくは補足で)。この状況で利子率$${r}$$が上昇することは、各期の最適消費に対して2つの効果を有する。1つが代替効果でありこれは$${C_{1}}$$に対して負の、$${C_{2}}$$に対して正の効果をもつ。もう1つは所得効果であり、利子率の上昇は貯蓄主体にとって実質所得の増加を意味するから、上級財である当該財の所得効果は$${C_{1}}$$,$${C_{2}}$$の双方に対して正の効果をもつ。
 以上の議論により、$${C_{1}}$$は増加も減少もあり得る一方で、$${C_{2}}$$は必ず増加することになる。

(補足:数学が得意な人向け)
消費者の効用最大化のための意思決定は以下の制約条件つき最適化問題
$${\max_{C_{1},C_{2}} U(C_{1},C_{2})}$$
subject to $${(1+r)Y_{1}=(1+r)C_{1}+C_{2}}$$
として表現される。ここでラグランジュ関数を
$${L(C_{1},C_{2},\lambda)=U(C_{1},C_{2})+\lambda((1+r)Y_{1}-(1+r)C_{1}-C_{2})}$$
とすると停留点の条件は
$${\left\{ \, \begin{aligned} & \frac{\partial L}{\partial C_{1}}=\frac{\partial U}{\partial C_{1}}-(1+r)\lambda=0 \\ & \frac{\partial L}{\partial C_{2}}=\frac{\partial U}{\partial C_{2}}-\lambda=0 \\ & \frac{\partial L}{\partial \lambda}=(1+r)Y_{1}-(1+r)C_{1}-C_{2}=0 \end{aligned} \right.}$$
となり、上2式から$${\lambda}$$を消去すると
$${\frac{\partial u(C_{1})/ \partial C_{1}}{\frac{1}{1+\rho}\partial u(C_{2})/ \partial C_{2}}=1+r}$$
と求められる。
 ここで左辺は効用関数$${U(C_{1},C_{2})}$$の限界代替率を表しており、$${u}$$は$${u'>0}$$かつ$${u"<0}$$であるため、限界代替率は逓減する。また右辺は生涯の予算線の傾きを表しているため、この消費者の効用最大化条件は限界代替率と予算線が一致する、つまり無差別曲線と予算線が接することである。

No.3 最適労働供給 ★★

 消費者の効用関数は
$${f(l)=-l-e^{-wl}}$$
であり、
$${\frac{df(l)}{dl}=-1-e^{-wl}×(-w)=we^{-wl}-1}$$
$${\frac{d^{2}f(l)}{dl^{2}}=we^{-wl}×(-w)=-w^{2}e^{-wl}<0}$$
であることから、効用最大化条件は
$${\frac{df(l)}{dl}=0 \Leftrightarrow we^{-wl}-1=0}$$
$${\Leftrightarrow e^{-wl}=\frac{1}{w}}$$
$${\Leftrightarrow -wl=\ln{\frac{1}{w}}=-\ln{w}}$$
$${\Leftrightarrow l=\frac{\ln{w}}{w}}$$
となる。ここで
$${\frac{dl}{dw}=\frac{\frac{1}{w}×w-\ln{w}}{w^{2}}=\frac{1-\ln{w}}{w^{2}}}$$
より、$${l}$$は$${1-\ln{w}>0 \Leftrightarrow \ln{w}<1 \Leftrightarrow w<e}$$のときに単調増加関数となる。

No.4 (法律区分No.45) 損益分岐点・操業停止点 ★

総費用関数$${C(x)=x^{3}-2x^{2}+10x+36}$$より
可変費用関数$${VC(x)=x^{3}-2x^{2}+10x+36}$$
限界費用関数$${MC(x)=\frac{dC(x)}{dx}=3x^{2}-4x+10}$$
平均可変費用関数$${AVC(x)=\frac{VC(x)}{x}=x^{2}-2x+10}$$
平均費用関数$${AC(x)=\frac{C(x)}{x}=x^{2}-2x+1-+\frac{36}{x}}$$
とそれぞれ求められる。
 ここでこの企業はプライステイカーであり、また固定費用がサンクコストであるため、操業停止条件は生産物価格を$${p}$$として$${p=MC(x)=AVC(x)}$$と与えられる。
$${MC(x)=AVC(x) \Leftrightarrow 3x^{2}-4x+10=x^{2}-2x+10}$$
$${\Leftrightarrow 2x^{2}-2x=0 \Leftrightarrow x(x-1)=0 \Leftrightarrow x=1}$$ ※$${x=0}$$は操業停止点の定義を満たさない
これを$${p=MC(x)}$$に代入して操業停止価格は
$${p=3-4+10=9}$$
と求められる。
 一方、損益分岐条件は$${p=MC(x)=AC(x)}$$と与えられるので
$${MC(x)=AC(x) \Leftrightarrow 3x^{2}-4x+10=x^{2}-2x+10+\frac{36}{x}}$$
$${\Leftrightarrow 2x^{2}-2x-\frac{36}{x}}$$
$${\Leftrightarrow x^{3}-x^{2}-36=0}$$
$${\Leftrightarrow (x-3)(x^{2}+2x+6)=0}$$
$${x=3}$$
これを$${p=MC(x)}$$に代入して損益分岐価格は
$${p=27-12+10=25}$$
と求められる。

No.5 ベルトラン=シュタッケルベルグモデル ★★

 追随者である企業Bの利潤を$${\pi_{B}}$$とすると
$${\pi_{B}=p_{B}x_{B}-TC_{B}}$$
となる。ここで需要関数を代入すると
$${\pi_{B}=p_{B}(14-2p_{B}+p_{A})-TC_{B}}$$
となるから、企業Bの利潤最大化条件は
$${\frac{\partial \pi_{B}}{\partial x_{B}}=14-4p_{B}+p_{A}=0}$$
となる(限界費用はゼロであることに注意)ことから、企業2の最適反応関数は
$${p_{B}=\frac{7}{2}+\frac{1}{4}p_{A}}$$・・・①
と導出される。これを企業Aの需要関数に代入すると
$${x_{A}=14-2p_{A}+(\frac{7}{2}+\frac{1}{4}p_{A})=\frac{35}{2}-\frac{7}{4}p_{A}}$$・・・②
となる。
 次に先導者である企業Aの利潤を$${\pi_{A}}$$とすると
$${\pi_{A}=p_{A}x_{A}-TC_{A}}$$
となり、ここに②式を代入すると
$${\pi_{A}=p_{A}(\frac{35}{2}-\frac{7}{4}p_{A})-TC_{A}}$$
となるから、企業Aの利潤最大化条件は
$${\frac{d\pi_{A}}{dp_{A}}=\frac{35}{2}-\frac{7}{2}p_{A}=0}$$
$${\Leftrightarrow p^{*}_{A}=5}$$
と求められる(同じく限界費用はゼロであることに注意)。
 これを企業Bの最適反応関数①式に代入すると、ベルトラン=シュタッケルベルグ均衡における企業Bの価格は
$${p^{*}_{B}=\frac{7}{2}+\frac{1}{4}×5=\frac{19}{4}}$$
と求められる。

No.6 公共財(クラークメカニズム) ★★★

 与えられたメカニズムのもと、消費者Aが正直な選好を申告($${\hat{\theta}_{A}=\theta_{A}}$$)したときの各消費者の私的財供給量は
$${\theta_{A}^{2}+(\hat{\theta}_{B})^{2}}$$
となり、そのため消費者Aの私的財の消費量は
$${x_{A}=\bar{x}_{A}-\theta_{A}^{2}-(\hat{\theta}_{B})^{2}}$$
となる。また、公共財の生産量は
$${G(\theta_{A},\hat{\theta}_{B})=(\theta_{A}+\bar{\theta}_{B})^{2}}$$
となる。よってこのときの消費者Aの効用は
$${u_{A}=2\theta_{A}\sqrt{G(\theta_{A},\hat{\theta}_{B})}+x_{A}=2\theta_{A}\sqrt{(\theta_{A}+\hat{\theta}_{B})^{2}}+(\bar{x}_{A}-\theta_{A}^{2}-(\hat{\theta}_{B})^{2})}$$
$${=\theta_{A}^{2}+2\theta_{A}\hat{\theta}_{B}-(\hat{\theta}_{B})^{2}+\bar{x_{A}}}$$・・・①
一方、消費者Aが選好を過少申告($${\hat{\theta}_{A}=\theta_{A}-\varepsilon}$$)したときの各消費者の私的財供給量は
$${(\theta_{A}-\varepsilon)^{2}+(\hat{\theta}_{B})^{2}}$$
となり、そのため消費者Aの私的財の消費量は
$${x_{A}=\bar{x}_{A}-(\theta_{A}-\varepsilon)^{2}-(\hat{\theta}_{B})^{2}}$$
となる。また、公共財の生産量は
$${G(\theta_{A}-\varepsilon,\hat{\theta}_{B})=(\theta_{A}-\varepsilon+\hat{\theta}_{B})^{2}}$$
となる。よってこのときの消費者Aの効用は
$${u'_{A}=2\theta_{A}\sqrt{G(\theta_{A}-\varepsilon,\hat{\theta}_{B})}+x_{A}=2\theta_{A}\sqrt{(\theta_{A}-\varepsilon+\hat{\theta}_{B})^{2}}+(\bar{x}_{A}-(\theta_{A}-\varepsilon)^{2}-(\hat{\theta}_{B})^{2})}$$
$${=\theta_{A}^{2}+2\theta_{A}\hat{\theta}_{B}-(\hat{\theta}_{B})^{2}+\bar{x}_{A}-\varepsilon^{2}}$$・・・②
 ここで①式と②式を比較すると
$${\Delta u_{A}=u'_{A}-u_{A}=-\varepsilon^{2}}$$
と求められる。

No.7 情報の非対称性(スクリーニング) ★★★★

 労働者が努力したときの期待効用$${EU_{G}}$$と努力しなかったときの期待効用$${EU_{B}}$$はそれぞれ
$${EU_{G}=\frac{1}{2}(\sqrt{w_{G}}-c)+\frac{1}{2}(\sqrt{w_{B}}-c)=\frac{1}{2}\sqrt{w_{G}}+\frac{1}{2}\sqrt{w_{B}}-c}$$
$${EU_{B}=1×\sqrt{w_{B}}=\sqrt{w_{B}}}$$
と求められる。したがって、労働者が働いたときに自発的に努力するためには
$${EU_{G}\geqq EU_{B}}$$
$${\Leftrightarrow \frac{1}{2}\sqrt{w_{G}}+\frac{1}{2}\sqrt{w_{B}}-c\geqq \sqrt{w_{B}}}$$・・・①(誘因両立条件)
が成り立つ必要がある(無差別であるときは努力すると仮定)。また、この労働者にとっての働くことによる機会費用は$${\bar{u}}$$なので、労働者が働くためには期待効用が機会費用を上回る必要があり
$${\max{\{EU_{G}, EU_{B}\}} \geqq \bar{u}}$$
$${\Leftrightarrow \max{\{\frac{1}{2}\sqrt{w_{G}}+\frac{1}{2}\sqrt{w_{G}}-c, \sqrt{w_{B}}\}}\geqq \bar{u}}$$
が成り立たたなければならない(無差別であれば働くと仮定)。①式が成立するときにはこの条件は
$${\frac{1}{2}\sqrt{w_{G}}+\frac{1}{2}\sqrt{w_{B}}-c \geqq \bar{u}}$$・・・②
となる。
 企業にとっては自明に賃金は低ければ低いほど良い。したがって「無差別なら労働者は努力する」ことを前提として$${w_{G}}$$と$${w_{B}}$$の設定は①式が等号が成立する程度で良い。すなわち
$${\frac{1}{2}\sqrt{w_{G}}+\frac{1}{2}\sqrt{w_{B}}-c= \sqrt{w_{B}}}$$
$${w_{G}=(\sqrt{w_{B}}+2c)^{2}}$$・・・③
 また同様に、「無差別なら労働者は働く」ことを前提として$${w_{G}}$$と$${w_{B}}$$の設定は②式が等号が成立する程度で良く、すなわち
$${\frac{1}{2}\sqrt{w_{G}}+\frac{1}{2}\sqrt{w_{B}}-c = \bar{u}}$$・・・④
④式に③式を代入すると
$${\frac{1}{2}\sqrt{(\sqrt{w_{B}}+2c)^{2}}+\frac{1}{2}\sqrt{w_{B}}-c=\bar{u}}$$
$${\Leftrightarrow w_{B}^{*}=\bar{u}^{2}}$$
と求められる。これを③式に代入すると
$${w_{G}^{*}=(\sqrt{\bar{u}^{2}}+2c)^{2}=(\bar{u}+2c)^{2}}$$
と求められる。

(補足)
 本問は誘導がついているため、その誘導に従う限り考慮せずとも良いが、本来は「企業は労働者に努力してもらいたいのか」を検討する必要がある。
 企業にとって、労働者が努力した場合の期待利潤$${E\pi_{G}}$$と努力しなかった場合の期待利潤$${E\pi_{B}}$$はそれぞれ
$${E\pi_{G}=\frac{1}{2}(y_{G}-w_{G})+\frac{1}{2}(y_{B}-w_{B})}$$
$${E\pi_{B}=1×(y_{B}-w_{B})=y_{B}-w_{B}}$$
と求められる。したがって企業の意思決定問題は
$${\max_{w_{G},w_{B}}{\max{\{E\pi_{G},E\pi_{B}\}}=\max{\{\frac{1}{2}(y_{G}-w_{G})+\frac{1}{2}(y_{B}-w_{B}), y_{B}-w_{B}}}\}}$$
となる。ここで企業が労働者に努力してもらいたいと思うためには
$${E\pi_{G}\geqq E\pi_{B}}$$
$${\Leftrightarrow y_{G}-y_{B}\geqq w_{G}-w_{B}}$$・・・⑤
が成り立つ必要がある(無差別であれば努力してもらいたいと思うと仮定)。また、企業にとっての労働者が労働しなかったときの利潤はゼロなので、企業が労働者に働いてもらいたいと思うためには期待利潤がゼロ以上である必要があり
$${E\pi_{G}\geqq 0}$$
$${y_{G}+y_{B}\geqq w_{G}+w_{B}}$$・・・⑥
が成り立たなければならない(無差別であれば働いてもらいたいと思うと仮定)。これらの条件は必ずしも満たされるとは限らないので、本問は誘導において暗に仮定されている(問題の末尾にある図がこれらの条件が成り立つことを示唆している)。

No.8 独占(二部料金制) ★★

 所与の消費者の支払い意思より、追加的な$${n}$$回目のアトラクションの利用に対する消費者の限界支払い意思を$${p_{n}}$$とすると
$${p_{1}=950円}$$
$${p_{2}=1500-950=550円}$$
$${p_{3}=1750-1500=250円}$$
$${p_{4}=1900-1750=150円}$$
と求められる。消費者は$${p_{n}}$$がアトラクションの利用料金を上回る限りにおいて追加的にアトラクションを利用する。
 料金体系Aのもとでは$${p_{2}>利用料金300円}$$かつ$${p_{3}<利用料金300円}$$であるため、消費者のアトラクションの利用回数は2回となる。このとき消費者のWTPは$${1500円}$$なのに対して利用総料金は$${850+300×2=1450円}$$なので消費者はこのテーマパークに入場する。よってテーマパークの利潤$${\pi_{A}}$$は
$${\pi_{A}=850+300×2-180×2=1090円}$$
と求められる。
 一方、料金体系Bのもとでは$${p_{3}>利用料金200円}$$かつ$${p_{4}<利用料金200円}$$であるため、消費者のアトラクションの利用回数は3回となる。このとき消費者の
WTPは$${1750円}$$なのに対して利用総料金は$${1100+200×3=1700円}$$なので消費者はこのテーマパークに入場する。よってテーマパークの利潤$${\pi_{B}}$$は
$${\pi_{B}=1100+200×3-180×3=1160円}$$
と求められる。

マクロ経済学(No.9~16)

No.9 IS-LMモデル ★

投資関数$${I=200-1000r}$$に対して差分を取ると
$${\Delta I=-1000\Delta r}$$・・・①
となる。また貨幣市場の均衡条件$${\frac{M}{P}=100+0.25Y-1000r}$$に対して差分を取ると
$${0=0.25\Delta Y-1000\Delta r}$$
$${\Delta r=0.00025\Delta Y}$$・・・②
となる。①に対して②を代入すると
$${\Delta I=-1000×0.00025\Delta Y=-0.25\Delta Y}$$・・・③
と求められる。ここで国民所得の増加量は政府支出乗数を用いて
$${\Delta Y=\frac{1}{1-c+bk}\Delta G=\frac{1}{1-0.75+1000×\frac{0.25}{1000}}×30=60}$$
と計算されるので、これを③式に代入して
$${\Delta I=-0.25×60=-15}$$
と求められる。

No.10(法律区分No.46) IS-LMモデル ★

 財市場均衡条件に対し、消費関数、投資関数、政府支出を代入すると
$${Y=(4+0.7Y)+(15-20r)+3}$$
$${\Leftrightarrow 20r=22-0.3Y}$$・・・①
ここでこの経済は常に完全雇用、すなわちGDPが常に完全雇用GDP$${60}$$に等しいので、①式に$${Y=60}$$を代入すると
$${20r=22-0.3×60=4 \Leftrightarrow r=0.2}$$
と求められる。したがって差分を取ると$${\Delta r=0}$$となる。
 一方、貨幣市場均衡条件に対し実質貨幣需要関数および$${Y=60}$$,$${r=0.2}$$を代入すると
$${\frac{M}{P}=0.5×60-50×0.2=20}$$
$${\Leftrightarrow P=\frac{1}{20}M}$$
したがって差分を取ると
$${\Delta P=\frac{1}{20}\Delta M=\frac{1}{20}×20=1}$$
と求められる。

No.11 2期間モデル ★

 貯蓄額を$${S}$$とすると、第1期における消費者の予算制約は
$${Y_{1}=(1+t)c_{1}+S \Leftrightarrow S=400-(1+t)c_{1}}$$
と表される。一方、第2期における消費者の予算制約は
$${Y_{2}+(1+r)S=c_{2} \Leftrightarrow 220+1.1S=c_{2}}$$
と表される。よって上式を下式へ代入すると生涯の予算制約は
$${220+1.1(400-(1+t)c_{1})=c_{2} \Leftrightarrow 660=1.1(1+t)c_{1}+c_{2}}$$
と与えられる。この生涯の予算制約のもとで消費者は効用を最大化するように各期の消費量を決定する。よって第1期の消費はコブ=ダグラス型効用関数の最適消費の公式より
$${c_{1}^{*}=\frac{1}{1+1}×\frac{660}{1.1(1+t)}=\frac{300}{1+t}}$$
と求められる。

No.12 自然失業率仮説 ★

 自然失業率仮説に従えば労働者のインフレ予想が当たれば完全雇用となる。すなわち$${\pi=\pi^{e}のときu=u_{N}}$$となるので、フィリップス曲線$${\pi=\pi^{e}-2u+12}$$のもとで自然失業率$${u_{N}}$$は
$${\pi^{e}=\pi^{e}-2u_{N}+12}$$
$${u_{N}=6}$$
と求められる。ここからX年の失業率は$${u=6+1=7}$$である。
よってX年の期待インフレ率$${\pi^{e}=5}$$のもとでX年のインフレ率は
$${\pi=5-2×7+12=3}$$
と求められる。

No.13 貨幣理論 ★★

 貨幣数量説に基づけば、フィッシャーの交換方程式
$${M_{S}v=PY}$$
が成立する。ここで$${M_{S}}$$は名目貨幣供給量、$${v}$$は貨幣の所得流通速度、$${P}$$は物価水準、$${Y}$$は実質GDPである。
ある年の名目GDPが$${600兆円}$$、名目貨幣供給量が$${200兆円}$$であったことから
$${200×v=600}$$
$${\Leftrightarrow v=3}$$
と求められる。また、このときの物価水準を$${p_{0}}$$、実質GDPを$${Y_{0}}$$とすると
$${P_{0}Y_{0}=600 \Leftrightarrow Y_{0}=\frac{600}{P_{0}}}$$
である。
 一方、10年後に実質GDPが1.5倍に成長したとあるので、10年後の実質GDPは
$${Y_{1}=1.5Y_{0}}$$
と与えられる一方、10年後のマネーサプライは$${360兆円}$$であったことからフィッシャーの交換方程式は
$${360×3=P_{1}Y_{1}=P_{1}×1.5Y_{0}=P_{1}×1.5×\frac{600}{P_{0}}}$$
$${\Leftrightarrow 1080=\frac{900P_{1}}{P_{0}}}$$
$${\Leftrightarrow \frac{P_{1}}{P_{0}}=\frac{1080}{900}=1.2}$$
よって物価上昇率は20%と求められる。

No.14 貨幣理論 ★★★

 $${t}$$期のケンブリッジ方程式は
$${M_{t}=kP_{t}Y_{t}}$$
と表される。ここで$${M_{t}}$$は$${t}$$期のマネーサプライであり、貨幣乗数は毎期$${1.2}$$であることから
$${M_{t}=1.2H_{t}}$$
である。よって第0期のマネーサプライは
$${M_{0}=1.2×1000=1200}$$
と求められ、$${t}$$期の物価水準は
$${M_{0}=P_{0}Y_{0}}$$
$${\Leftrightarrow P_{0}=\frac{M_{0}}{Y_{0}}=\frac{1200}{600}=2}$$
と求められる。これらを$${t=0}$$における政府セクターの予算制約式に代入すると
$${B_{1}+T_{0}+\frac{H_{1}-H_{0}}{P_{0}}=G_{0}+(1+i)B_{0}}$$
$${\Leftrightarrow 1000+100+\frac{H_{1}-1000}{2}=100+1.1×1000}$$
$${\Leftrightarrow \frac{H_{1}-1000}{2}=100}$$
$${\Leftrightarrow H_{1}=1200}$$
と求められる。

No.15 45度線モデル ★

 フィッシャー方程式より実質利子率$${r}$$、名目利子率$${i}$$、物価上昇率$${\pi}$$の関係は
$${r=i-\pi}$$
と与えられる。よって実質利子率$${r}$$は
$${r=0.03-0.02=0.01}$$
と求められる。
 財市場均衡条件に対し、消費関数、投資関数、政府支出、実質利子率を代入すると
$${Y=(2+0.5Y)+(5-100×0.01)+1}$$
$${\Leftrightarrow 0.5Y=7}$$
$${\Leftrightarrow Y^{*}=14}$$
と求められる。

No.16 成長会計方程式 ★★

 マクロ生産関数$${Y=AK^{\frac{1}{3}}L^{\frac{2}{3}}}$$の両辺に自然対数を取ると
$${\ln{Y}=\ln{AK^{\frac{1}{3}}L^{\frac{2}{3}}}=\ln{A}+\frac{1}{3}\ln{K}+\frac{2}{3}\ln{L}}$$
さらに両辺を時間微分すると
$${\frac{\.{Y}}{Y}=\frac{\.{A}}{A}+\frac{1}{3}×\frac{\.{K}}{K}+\frac{2}{3}×\frac{\.{L}}{L}}$$・・・①
が得られる。また労働人口一人あたり国内総生産を$${y=\frac{Y}{L}}$$とすると、両辺に自然対数を取って
$${\ln{y}=\ln{\frac{Y}{L}}=\ln{Y}-\ln{L}}$$
さらに両辺を時間微分すると
$${\frac{\.{y}}{y}=\frac{\.{Y}}{Y}-\frac{\.{L}}{L}}$$・・・②
が得られる。
 以上をもとに、各記述の条件を確認していく。

記述A
$${\frac{\.A}{A}=1%}$$,$${\frac{\.{K}}{K}=2%}$$,$${\frac{\.{L}}{L}=3%}$$を①式に代入すると
$${\frac{\.{Y}}{Y}=1%+\frac{1}{3}×2%+\frac{2}{3}×3%=\frac{11}{3}%}$$
と求められる。よって誤り。
記述B
$${\frac{\.A}{A}=1%}$$,$${\frac{\.{K}}{K}=2%}$$,$${\frac{\.{L}}{L}=2%}$$を①式に代入すると
$${\frac{\.{Y}}{Y}=1%+\frac{1}{3}×2%+\frac{2}{3}×2%=3%}$$
と求められる。よって正しい。
記述C
$${\frac{\.A}{A}=2%}$$,$${\frac{\.{K}}{K}=1%}$$,$${\frac{\.{L}}{L}=4%}$$を①式に代入すると
$${\frac{\.{Y}}{Y}=2%+\frac{1}{3}×1%+\frac{2}{3}×4%=5%}$$
となる。これを②式に代入すると
$${\frac{\.{y}}{y}=5%-4%=1%}$$
と求められる。よって誤り。
記述A
$${\frac{\.A}{A}=2%}$$,$${\frac{\.{K}}{K}=4%}$$,$${\frac{\.{L}}{L}=1%}$$を①式に代入すると
$${\frac{\.{Y}}{Y}=2%+\frac{1}{3}×4%+\frac{2}{3}×1%=4%}$$
となる。これを②式に代入すると
$${\frac{\.{y}}{y}=4%-1%=3%}$$
と求められる。よって正しい。

 

財政学(No.17~21)

No.17 部分均衡モデル(従価税)★

No.18(法律区分No.47)部分均衡モデル(従量税)★

No.19 財政制度 ★★

No.20 財政事情 ★★

No.21 公共財(リンダール均衡)★★★

統計学・計量経済学(No.27~31)

No.27 基礎統計量(期待値)

No.28 基礎統計量(期待値)

No.29 確率(ベイズの定理)

No.30 単回帰

No.31

選択問題(経済理論のみ)

No.35 クールノーモデル

No.36 金利平価説

No.37 為替相場制度


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