童話かも、しれない(コブタ大魔王)
「こぶた・だい・ま・おー、お」
メロディをつけて、黒いスーツにサングラスの男たちが口々に歌うように言い、力強く拍手をした。拍手に包まれた、中心人物、いや、人物というのか、確かに二本脚で立っているが、足はこげ茶のヒヅメがむきだしだ。赤いサンタのような上下の服を着て、手、これもヒヅメの間に挟むように大きな槍を持っていた。黒いマントを羽織って、頭には王冠のようなものをつけた、薄いピンク色のコブタ、だ。コブタは周りの大人たちの中に埋もれるような小ささだが、威厳をもって立っていた。