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【WBC】刮目せよ!中国義勇軍的前進野球

起来!不願做奴隷的人們!
把我們的血肉、築成我們新的長城!
中華民族到了最危険的時候、
毎個人被迫着発出最後的吼声。
起来!起来!起来!
我們万衆一心、
冒着敵人的炮火、前進!
冒着敵人的炮火、前進!
前進!前進!進!

1935年に映画主題歌としてリリースされると、抗日救国のテイストでたちまちに人々の心を掴んだ名曲『義勇軍進行曲』をお届けした。80年以上が経った今、中国棒球国家隊もまた、東京ドームにて当時の滾る思いを再燃させる必要がある。

いかにして中国国家隊は、抗日救国に向けて前進をすべきか。来年、彼らが展開するであろう前進野球の展望について、ここでは整理をしたい。ラッキーなことに日本戦も含めた1日通し券を確保出来た人々は、どうか、是非とも、この展望をベースに中国国家隊の一挙手一投足に刮目をして頂きたい次第である。

前進の原動力は何か

前進。抗日し、金星を飾るために前進をする必要があるが、中国国家隊は一体何を原動力に前進をすべきなのか。

投手力である。

どうして投手力が原動力に成り得るのか。それは、中国の投手デプスが、他国と比べて非常に特徴的な広がりを示していることに由来する。一言で言えば、品質揺れがほとんど無い。日本の目線で言えばパワーもコントロールも物足りない水準かもしれないが、程良くまとまった投手たちが万里の長城の如くズラリと並んでいることが、中国国家隊最大のストロングポイントだ。

継投に回ったとしても品質揺れが無いことは、特に球数制限のレギュレーションが設定されているWBCの様な大会ではめちゃくちゃに効いてくる。17年大会でアメリカがリリーフデプスに厚みとバリエーションを持たせた編成を行ったことが功を奏し、初優勝を飾ったことは記憶に新しい。
加えて、中国は国内の主なプレー環境がトーナメント式なこともあり、トップクラスのプロリーグを有する国と比べて分業の意識も低い。この点も加味をすると、全投手を投入可な弾丸としてカウントすることが出来るだろう。場面に応じて、最適なタイプを選択しながら継投をすることで、打者をチームぐるみで翻弄することも視野に入れられる。

一昔前の中国はパワータイプのレパートリー作りに苦悩していた印象だが、近年はMLB棒球発展中心MLB Development Center)を介したMLBとの深い関わり合いもあり、マイナーで修行をした人材が国内に戻り、パワー面でのレベルアップに貢献をしている節も強い。宮海成伊健と言ったマイナー組に加え、王唯一李乾趙富陽と言った国内組でも87マイルを上回るストレートの持ち主が増えてきた。パワータイプの厚みが増したことで、左右の技巧派たちも活きてくる。コントロールで自滅をする様な人材も、今や国家隊選考のフェーズでふるいにかけられる程には選択肢は豊富だ。

正直、抗日が果たせるかは分からないが、この継投はバッティングの対応力に脆さを見せるオーストラリアには、特に有効に働くのでは無いかと思う。

バッティングは前進を加速させるのか

近年の中国のトレンドは、上記の様な投手力を最大限に活かした、専守タイプのパフォーマンスに終始している。そのため、国内でのパフォーマンスを見ても、かなり無難なピボットプレーを成功させていたり、OFでも大きいフライに当たり前の様に追い付けないシーンはもはやほとんど見なくなった。IFに関しては楊晋を中心に、上位国にも見劣りをしないレベルのディフェンダーも生まれつつある。

その代わり、投高であるゆえに、打低な状況でも勝てることが優先され、バッティングはお世辞にも良いとは言えない。国家隊においても最大のウィークポイントだ。シンプルに打てないため、ゲームの流れを掴めずに黒星に甘んじるパターンが、現状のオフェンス力では容易に想像が付く。

バッティングの向上には、いくつか策を練ることが出来る。

もっとも簡単、かつMLBとの連携を深めている昨今であるからこそ実現して頂きたい策が、メジャーリーガーの大量召集である。具体的には下記(誤りがあるかもしれないが、、)。

Connor Wong
Connor Joe
Kolten Wong
Kean Wong
Keston Hiura
Steven Kwan

このうち、Steven Kwanは日本も触手を伸ばしている様で、早くも抗日を実現せねばならないシーンが発生している。

オフェンス力の無さをカバーする上では、特にConnor JoeKeston Hiuraと、メジャーレベルでもパワーを発揮している2人は待望だ。ポジション的にも1Bに確固たるレギュラー格が不在、かつIFよりもOFの方が人材が手薄なことを加味すると、2人ともマッチしている。もちろん、他メンバーを招集出来れば、より打線が点で終わらず、繋がりの中で破壊力を示すだろう。Bruce Chenを招集し話題になった17年大会以上のリクルート力が、まずは国家体育総局に求められてくる。

もう1個、これは策では無いが、希望がある。11月に行われた錦標賽で四川隊が見せたパフォーマンスだ。錦標賽を無敗で制した四川だが、実は主力打者である郝佳奇をクローザーに回す采配に徹しながらも、国内有数の実力派である李乾伊健を打ち崩しながら白星を重ねてきた。国内でも決して有名で無い人材たちが、シャープなスイングで87マイルオーバーのストレートを引っ張るシーンも度々生まれ、そこには確かにこれまでに無い国内発のバッティングの変革を感じた。彼らが江蘇隊や北京隊、上海隊と言った、デプスで優位に立つ省隊に対して白星を飾ってきた点からも、そのクオリティの高さは滲んでいる。

11/23現在、浙江省にて行われている冬訓にて、この四川隊のメソッドが選手間交流の過程で共有がされれば、国内組の対応力もワンランク上がってくるだろう。ありきたりな内容ではあるが、この冬訓はコミュニケーション面に重きを置いている、との本営発のコメントもあり、是非期待をしたいところだ。

総括 ~抗日救国への道はいかに~

とにかく、序盤・中盤・終盤でプレーのクオリティが揺らがないことで圧をかけていきたい。投手力上、それは十分に可能である上、近年はアンダーカテゴリも入れて国家隊経験の場数を踏んできた人材もかなり増えてきた。国際トーナメントの大舞台でも平常心でプレーは出来るはずだ。

残るはオフェンス力だろう。正直、現状の国内組では、ライバル国の投手に圧をかけられる程の人材はほぼ皆無と言っても過言では無い。圧よりも嫌らしさで消耗をさせる手段を狙いつつ、編成面ではメジャーリーガーの召集で圧の要素もカバーをしていきたい。

ここ数年、パンデミックの影響もあり、中国野球の実態は不透明な部分が非常に多かった。参加予定であった国際トーナメントの出場を取り止める等、露出自体が少なかった側面も強い。しかし、限られたパフォーマンスを観測する限り、そこには水面下でMLBとの連携を深め、各所にレベルアップがうかがえる中国野球の姿があった。直近は国家隊の編成やトレーニングにもMLB側のコーチ陣を迎え入れると、レベルアップのためにはなりふり構っていない姿も印象的である。

今こそ立ち上がり、前進する時だ。前進!前進!進!

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