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【2023WBC】中華人民共和国国家隊名単

更新情報

  • 2023/2/25 曹傑のレポートを追加

  • 2023/3/5 王翔、林強、張昊、孫海龍のレポートを追加

  • 2023/3/5 「起用法願望」に直近練習マッチから推測出来る実際の起用法を加筆

  • 2023/3/8 寇永康と梁培をOFとして記載位置修正

注意

サムネイルのメンバー(Bruce Chen)はリタイア済であるため、ご了承頂きたい。

伊健イージェン
今回の経典賽に止まらず、しばらくは国家隊のエース格として存在感を発揮するだろう。MLBDC出身でU-18ワールドカップやMILマイナーでのプレー歴もあるエリート。体格に恵まれたタイプでは無いが、全身をダイナミックに利用したデリバリーからストレートとスライダー、カーブをコマンド良く交える。広東隊でもたちまちに孟偉強からエースの座を奪っており、総合力の高さから国内では最も攻略が困難な人材だ。

宮海成ゴンハイチェン
MLBDC所属時にメンバー入りした17年経典賽では、年齢に比してパワフルなストレートを投げ下ろしたこともあり、直後PIT入りも果たした。マイナー挑戦はあえなく撃沈も、国内に戻ってからはパワー・スキル両面で一回り大きくなった。SPとして89~92マイルをキープするパワーは国内ナンバーワン。クリーンなデリバリーからカーブも交えて打者を制圧する。新星国家隊でもローテーションの一角を担うことが有力。エアポケット的にコントロールを失うネックを克服したい。

王唯一ワンウェイイー
21年まで江蘇隊の下部組織に相当する陝西隊でプレーしていたため、中央では無名。しかし、恵まれた体格から87~89マイルのストレートとスライダー、カーブ、チェンジアップを投げ下ろすプレーにはポテンシャルが詰まっている。21年の全運会で上海隊に8IP/3失点と片鱗を見せると、22年の錦標賽では江蘇隊にプロモートの上、SPとして起用と期待・実力いずれも高い。コマンドの甘さが難点だが、ゾーンに集めるコントロール自体は及第点。個人的にナショナルトーナメントの舞台で最も拝みたかった人材で、選出はめちゃくちゃうれしい。

斉鑫チーシン
19年CNBLでは北京隊でエース。コンディション不良の兼ね合いか、近年はリリーフエース的な立ち回りが主だが、21年の全運会では91マイルをマークと実力は有数。カーブとチェンジアップを上手く交えながら、高めのストレートで空振りも奪えると、攻め手の豊富さが最大の売り。ハードな変化球の無さがネックだが、パワー・スキルを両立したプレーぶりは完成度が高い。

趙富陽ジャオフーヤン
押し出す様なデリバリーから89マイルのストレートとカーブ、チェンジアップを交える。SPとしては国内トップ格のパワーがあり、コントロールもソリッド。ただし、個人的には錦標賽決勝で3IPでノックアウトされたシーンしか見たことが無く、良い時のプレーぶりはそこまでイメージしきれていない。

鄭超群チェンチャオクン
変則的なオーバーハンドデリバリーからストレートとカーブ、チェンジアップ主体。横変化を利用する人材が多い中で、高低を利用するプレースタイルのベテランの加入は幅が生まれる意味でもプラス。22年の錦標賽決勝では、早々にノックアウトされた趙富陽の後を受けて試合終了まで投げ抜くロングリリーフもやってのけると、スタミナ面にも不安は無い。パワー面は他メンバーと比べると見劣りするだけに、上位国相手に持ち味が活きるかは疑問。

朱権ジュウォン
吉林省生まれのKBOリーガー。17年経典賽でもプレー、11-0でオーストラリアに大敗と苦いパフォーマンスだったが、今回はその雪辱を晴らす場としたい。17年経典賽を終えてからKBOでステップアップを辿り、15~22年で計396Gにプレーとタフネスリリーバーへ。オーソドックスなデリバリーから88マイルのストレートとカーブ、チェンジアップを交える。国家隊では真砂勇介と並び、トップリーグの経験が豊富なメンバーとして、チームに経験面を伝授する役目も担うことになりそうだ。

Alan Carterアラン・カーター
シンガポール出身で、名前から推測すると母親が華僑の様だ。ジョージア州の高校では3B/OFとしてもプレー、カレッジではD2を主戦場にPに専念。コンパクトなテークバックから92~96マイルのストレートとスライダー、スプリット主体のパワーリリーバーとして、D2ではK/9=13.6とKマシーン。プレー環境上高い評価が得難い上、コントロール難も重なりドラフトはされなかったが、1月にUDFAとしてLAA入り。国家隊で貴重な94マイルオーバーを出力出来る人材として、終盤のキーマンになれるか。

王宇宸ワンユーチェン
22年は米カレッジサマーリーグに参加した若い人材。アスレチックでストレートは90マイルをマークとのレポートも。カレッジサマーリーグでのパフォーマンス自体は14.72ERAと奮わず。

孫海龍スンハイロン
ショートデリバリーから高いリリースポイントでストレートとカーブを投げ下ろす。

張昊ジャンハオ
アスリートの家系で5歳から野球のプレーを開始、アンダーカテゴリでの国家隊入りの経験も豊富なエリート。

蘇長龍スージャンロン
41歳になるベテランだが、LHPとしての実力は未だに国内トップを守っている。85マイルのストレートとスライダー、チェンジアップを極上のコマンドで制御する。天津隊でもピンチ時のリーサルウェポン的なリリーフ投入が主戦場で、その都度危なげないプレーで流れを引き寄せてきた。サイドハンド気味のリリースポイントも含め、左に好打者が揃うチームにとっては脅威になるだろう。

林強リンチャン
河南隊の人材なため、中央では無名。チェンジアップを上手く交えるタイプらしい。

王翔ワンシャン
アングルを付けながら投げ下ろすストレートとカーブ主体の人材。

欒臣臣ルァンチェンチェン
体格に恵まれた国内ナンバーワンC。パワフルなバッティングからMLBDCではBabe Ruthとのニックネームも。オフェンス性能に止まらず、どっしりと安定感があるディフェンスも良い。前任である王偉との比較にさらされる上、近年は実力派が集結するCにおいて、その両面に耐え得るだけの実力がある人材。

李一凡リイーフォン
欒臣臣と並ぶ国内トップのC。高いディフェンス力をベースに、近年は北京隊でクリーンナップを任される程にオフェンス面でも力強さを付けてきた。他の有力な候補たちがC以外のポジションもプレー可な点に影響を食らい、国家隊入りの芽は小さいかと思っていたが、実力通りの選出に。打の欒臣臣、守の李一凡として、どうバランスを取って起用をしていくかも注目。

李寧リニン
17年経典賽メンバー。Cとしてのパフォーマンスに加えて、IF/OFをプレーするポリバレントさ、上海ではリードオフマンを任される小回りの良さと、1人で何役もこなせる多芸さが一番の持ち味。国家隊でもレギュラーマスクとしての役目よりも、めちゃくちゃ優秀なユーティリティマンとしてチームを下支えしてくれるだろう。

陳晨(小)チェンチェン
江蘇隊では欒臣臣の存在から、Cとしてのイメージは全く無し。パワフルなバッティングが出来るクリーンナップ型との打者イメージが強く、Cでは無く1BかDHでのプレーが主になるのでは。

曹傑カオジエ
19~20歳の時から国家隊候補として名が挙がった人材。恵まれた体格でパンチ力も高い右打者と、貴重なステータスを有する。18~19年はアメリカン・アソシエーション派遣メンバーに選ばれ、18年に中国人として初ホーマーをマーク。国家隊でも19年亜州賽で3位入賞と実績を重ねている。左の技巧派タイプの寇永康とはプレースタイルで上手い具合にコントラストを生んでくれそうだ。

陸昀ルーユン
北京隊で梁培と共にキーストンを守るこちらも日本でプレー歴がある。四日市大でプレーの18年には三重県リーグでMVP。3Bとしてもベストナイン表彰と実績を積み上げた後、北京隊でステップアップを辿る。楊晋の存在や、羅錦駿がOFも可能な点も加味すると、3Bとしてレギュラーを掴む可能性もあるだろう。右打者な上パンチ力があると、プレーそのものも魅力。ちなみに、彼もTwitterをやっている。

羅錦駿ルォジンジュン
新星国家隊のキャプテン。Manny Machadoの様なスタンスからギャップを抜くオフェンスに加え、3Bもソリッドにプレーするオールラウンダー。経典賽メンバー入りは初だが、19年亜州賽では1番・3Bとしてプレー、韓国との3決では決勝タイムリーを放つパフォーマンスで3位入賞の立役者に。個人的にも、内野は実力派が軒並み左打者だった点が懸念であったため、右打者でトップクラスの実力がある彼のメンバー入りには一安心。

陳晨(大)チェンチェン
国内トップクラスの3Bで、左から思い切りの良いスイングで長打を放てるプレースタイルもコーナーIFらしい。元々SSをプレーしていた背景からアジリティも高く、3Bでも猛烈なチャージをかけてアウトをもぎとるシーンを量産。全体的には勢いに溢れたプレーが出来る人材で、国家隊でも要所でのカンフル剤になれるか。

楊晋ヤンジン
U-18時から早々に国内ナンバーワンと謳われたディフェンスは、トップリーグ観戦で眼が肥えたファンから見ても、非常に流麗で高品質と感じるだろう。ハンドリングに長け、スローイングモーションも無駄が無く、日本で言えば坂本勇人に近いタイプだろう。バッティングもパンチ力が魅力だが、こちらは大振りすぎてコンタクト面がネックと穴も大きい。下位で自由に打たせたいタイプだが、それが出来るかはいくらか他ポジションの起用状況にも左右されそうだ。

張宝樹レイモンド・チャン
MLBDCでコーチを行っていたはずだが、どうしてか国家隊入り。中国系アメリカ人のバックボーンを活かし、近年は中国MLBが主体となって取り組んでいる野球普及のアンバサダー的な活躍が目立っていた。本来の実力通りであれば、3Aレベルまでを経験済のコンタクトに長けたバッティングと、スナップスローが特徴の堅牢なディフェンスでチームを下支え出来る人材。今回の選出で一番のサプライズだろう。素直に戦力として期待したさはあるので、あまり老け込んでいないことを祈る。

真砂勇介マサゴユウスケ
京都府出身で13~22年はNPB・ソフトバンクでプレー、16年にはU-23ワールドカップで日本メンバーとしてもプレーした人材が、初の国家隊入り。両親が中国生まれ、父が中国国籍を保有している点から、参加資格を満たした形となった。中国側のOFデプスの薄さから、17年経典賽から一部では国家隊入りを渇望する向きもあった実力派で、5ツールを有するダイナミックなプレーぶりが光る。23年からは日立製作所入りとNPBレベルからは退く形になったが、OFのオフェンス・ディフェンス両面で国家隊の大きなアップグレードになる点に疑いの余地は無い。

韓嘯ハンシャオ
北京大成学校を経由して鹿島学園でもプレー歴がある。大柄な体格に裏打ちされたパンチ力に加えて、OFディフェンスも良いとオールラウンダー。上海隊で積み上げた実績をベースにしても、満を持しての国家隊入りになる。今回は彼を含め、センターラインのディフェンス力が非常に高くなっており、堅牢なパフォーマンスを支えるキーマンになってくれるはずだ。

寇永康コウヨンカン
シュアなバッティングの左打者。バットコントロールの良さ、アジリティにも長け、MILマイナーでもプレーをした。MILをリリースされてからは上海隊でプレー。ポジションに比してパワーレスとの明確なネックはあるが、個人的にはリードオフ周辺を任せたい実力派。

梁培リャンペイ
東海大菅生でプレーした後北京隊に加入。北京隊やアメリカン・アソシエーション派遣では2Bをプレーしていたが、今回はOFに主戦場を移した。日本で鍛え上げたシュアなバッティングと堅牢なディフェンスをベースにゲームを落ち着かせる役割が求められるだろう。ちなみにTwitterも行っており、日本語で中国棒球情報を提供中。

呂玉恒ルゥユーヘン
18年に当時のCBLでSBリーグトップだったことは把握をしているが、プレーぶりはほとんど記憶が無い。

梁栄基リャンロンジー
MLBDC出身。卒業後は浙江省でリトルリーグのコーチをやっていたらしい。

イチ押し

王唯一

起用法願望

スタメン

二 梁培
左 李寧
一 寇永康
右 真砂勇介
指 陳晨(小)
三 羅錦駿
捕 欒臣臣
遊 楊晋
中 韓嘯

なお、練習マッチ等の内容を見る限り、打順は分からないが、ポジション配置は下記になりそうと推測。

捕 欒臣臣
一 曹傑
二 羅錦駿
三 陳晨(大)
遊 楊晋
左 韓嘯
中 真砂勇介
右 梁培
指 張宝樹

先発ローテーション

伊健
宮海成
王唯一
趙富陽

伊健と趙富陽は練習マッチでもプレーの様子が報告されているが、宮海成と王唯一は全く無く、状態が不明。JR東戦では斉鑫がGSをしており、ローテーションが様変わりする可能性がある。

勝利の方程式

7回 斉鑫
8回 朱権
9回 Alan Carter

斉鑫とAlan Carterのコンディションは良さそう。間も無く合流するだろう朱権が読めないが、盤石であれば3人が柱になってくれる見立ては不変。若手組もパフォーマンスは上々な様子で、リリーフは選択肢が豊富に取れるかも。

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