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歯科衛生士と人口ピラミッド(性・年齢階級別人数分布図)

医療関係の職種別人口ピラミッドを作成しています。たとえば、全国の歯科医師人口ピラミッドはこちら。



都道府県別はこちら。

「歯科衛生士」版

上記YouTubeチャンネルではできるだけ多くの職種別人口ピラミッドを網羅できればと考えていますので、今回は歯科衛生士のものが作成できるか検討しました。

対象となる統計は厚生労働省「衛生行政報告例」。

歯科衛生士に関しては隔年(2年ごと)で報告されています。人口ピラミッド作成に必要な「性別」および「年齢階級別」の人数が記載されたデータを探してみましょう。

「年齢階級」による抽出

平成30(2018)年以前、隔年で報告される人数について年齢階級別表示がある項目を抽出してみましょう。

【H30】就業歯科衛生士数,就業場所・・年齢階級別
【H28】就業歯科衛生士数,就業場所・・年齢階級別
【H26】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別
【H24】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別
【H22】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別
【H20】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別
【H18】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別
【H16】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別
【H14】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別
【H12】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別 平成12年
【H10】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別
【H8】就業歯科衛生士数,就業場所・年齢階級別

実は、平成26年まで歯科衛生士の性・年齢階級別の人数は報告されていませんでした。平成28年になり「性」という項目が初めて追加されています。

したがって、歯科衛生士の人口ピラミッド推移は平成28年(2016)年以降からしか提供できないことが判明しました。

理由を知る…前に、人口ピラミッドを見てみる

なぜ性別ごとの歯科衛生士数が2016年まで公表されなかったのか。その理由を知る前に、実際に2016年末、2018年末時点での就業歯科衛生士の人口ピラミッドを観察してみましょう。

2016

200527_2016_dentalhygienist_pyramid_00_全国

2018

200527_2018_dentalhygienist_pyramid_00_全国

いかがでしょうか。

左側に男性の数を表す棒グラフがあるはずですが、女性の数とあまりに違うためほとんど何も表示されていません。右真ん中には実際の人数が表示されています。また右下の円グラフ(外側)によれば、両年とも総数の99.9%以上が女性なのです。

総数で見れば2年間で9,000人ほど増えている。
しかし、男性に限れば4人減っている。

もともと男性は77人と極めて少なかったですが、さらに減少する。この事態は、そもそも2016年に至るまで性別ごとの歯科衛生士数が公表されなかった理由を推察する手掛かりになります。

歯科衛生士は、女性に限定された資格だったのではないか?

歯科衛生士法

歯科衛生士は国家資格です。その法的根拠は「歯科衛生士法」にあるようです。

Wikipedia「歯科衛生士」より(2020年5月27日確認、太字追加)

歯科衛生士法は、制定時は「業とする者」であったものが,1955年の改正で本則では、女子のみに限定となったが、そのとき追加された同法附則第2項により男子にも同法が準用とされた。更に2014年の改正で、本則上も女子の限定が廃止されており、男性も資格取得可能であり、男性歯科衛生士はきわめて少数ではあるが存在する。近年、大学に歯科衛生士養成課程が新設されてからは、男子学生も在籍している。

多くの歯科衛生士養成施設では女子のみの募集となっていて、資格取得機会の面で不均衡になっている。なお、平成24年6月30日の時点で男性歯科衛生士は43名となっている。

ややわかりにくい記載ですが、2014年の改正までは法的に「女子のみに限定された国家資格」という性格を有していたようです。そのため厚生労働省「衛生行政報告例」においても、2014年までは性別ごとの統計がとられなかったものと考えられます。

また現在でも教育・資格取得面で男女の機会不均衡が生じているようです。

さいごに

今回は静止画のみの作成としたもののの、職種別人口としては興味深い状況にあるため将来的には動画として作成・公開することも検討します。


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