見出し画像

愛すべき「クソジジイ」

さてさて、毎年1回行われる熱い、いや暑苦しいと言っても良いイベントが今年も終わりました。

清掃サービスを生業とする事業者の中でも、とりわけ品質へのこだわりを持った者たちが全国から東京へ集結し、1泊2日で技術について実技と議論を戦わせる一大イベントです。
今年も約30名のツワモノたちが集いました。

もちろん私もそのうちの1人として参加しました。

■ いい大人がケンカ寸前


この全国のツワモノたちが技術論を戦わせるイベント、本気の議論がなされます。
細かいところではモップのかけ方、タオルの持ち方ひとつで大激論です。

いかに自分たちのやり方が理にかなっていて有効なものか、いかに他のやり方がダメなものか、はたから見ると「大人げない」と嘆かれるに違いありません。

地元に帰ればそれなりの立場人だったりする人たちが本気でケンカ寸前の議論をするわけです。
めっちゃ面白いですよ。と客観視しているようですが、私もその中の一人なのですが。

まあそれだけではなく、認めるべき技術には賛辞も送るのですが。

■ 議論は懇親会でも


そしてこの議論は懇親会でも続きます。
酒がより一層議論をヒートアップさせると言っていいでしょう。

必然的に大きな声を出すので品の良いお店では無理です。ほぼ貸し切りできる場末の居酒屋の2階で懇親会という名の第2ラウンドが繰り広げられます。

いやほんと飽きないよねあんたたち。かく言う私もその一人なのですが。

■ 恵まれた業界ではないけれど


私たちの営む清掃サービスは、必ずしも恵まれた業界とは言えません。
大儲けできるわけではないですし、社会的地位も高いとは言えません。これから進行する人的供給制約社会では、最も割を食いそうです。

でも、昨日今日と集結した者たちは、それでもこの仕事に誇りを持っているのです。
儲けは薄くても、カッコいいと言ってもらえなくても、認められなくてもいいのです。

必要とされる仕事です。無くてはならない仕事です。そんな仕事を極めたいという思いと仕事に対する自負は、恵まれていないからこそ強まるのだとも感じます。

■ 愛すべき「クソジジイ」


さてこの毎年恒例のイベントに欠かすことの出来ない人物がいます。
すでに70歳をオーバーしたこの人は、技術に人一倍のこだわりを持ち、持論を曲げない頑固な、しかも口の悪い、言ってみれば「クソジジイ」という言葉が当てはまりそうなおっさんです。

論敵に「そんなのはインチキだ!」と大人げないにも程がある一言を言い放った彼は、私のこの世界での師匠とも言うべき人でもあります。

しかしそんな彼、意外とみんなから愛されても居るのです。

私はこの「クソジジイ」に対して尊敬することがあります。
彼は、どんなに若い人であっても女性であっても、呼び捨てにしたり妙なあだ名で呼んだりしないのです。
人を呼ぶときには必ず「◯◯さん」とさん付けで呼びます。

これは、まだ私が20代の小僧だった頃から変わりません。
以前その理由を聞いたら、「だって、自社の社員でもない人に対して失敬なことは出来ないだろう」と言われました。

口は悪くとも、根本には人に対してリスペクトの心があるのですね。こんなところも彼が、何だかんだ愛される理由なのかも知れません。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?