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ムチなしアメだけ主義 (気候変動対策抑制カード7/12)

気候変動対策推進の足を引っ張っているさまざまな「主義」を、カードでご紹介しています(カードに関する詳細は最下部にてご覧ください)。

Card#7 NO STICKS, JUST CARROTS | ムチなしアメだけ主義

世間は支援的で自発的な政策にのみ好反応を示します。規制的な措置が失敗するのは目に見えていますよ。

NO STICKS, JUST CARROTS | ムチなしアメだけ主義


気候変動政策としてこれまで実行されてきたものは、自主的な変化を期待することだけであり、その効果が芳しくないことはここで言うまでもないだろう。
排気量の多いバカでかいSUVを運転し、年に何度も飛行機に乗り、1年中毎日エアコンを使用することが合法である限り、「この生活を奪わせるものか!」と、二酸化炭素排出量削減に同意しない人もいるのだ。

ムチなしアメだけ主義者の主張はこうだ。
規制や金銭的な阻害要因(ムチ)は国民にとって受け入れ難いものとみなされるので避けるべきであり、気候変動対策は魅力的なインセンティブ(アメ)により進められるべきである。
——これはアメとムチは補完的なものであり、効果的な気候変動対策には両方が必要であるという、多くの論証に反している。

このレトリックはポピュリズムと相性がよい。国民は同質的で勤勉であり、「エリート」によって作られた法律や税金によって過重な負担を強いられていると感じさせるからだ。
また、「ムチ的な措置」が「損をする国民」を生み出す一方で、「得をする」国民もいるということを曖昧にする傾向を持っている(たとえば、航空税が影響を与えるのは、飛行機での移動を年中繰り返している高所得者層が中心となるだろう)。

NO STICKS, JUST CARROTSのオリジナルの説明

先日、ロンドンの「イズリントン・クライメート・センター」を立ち上げた女性とお話しする機会があり、プレゼントに12枚のカードをいただきました。
カードは彼女も作成に関わったもので、英国発の環境保護団体「エクスティンクション・リベリオン(XR)*」が著作権フリーの制作物として提供しているそうです。

*エクスティンクション・リベリオン | 市民的不服従、非暴力の直接行動を用いて気候変動に対する政治的な決断を促す市民活動団体。
(ところで、この機会にXRについて改めていろいろ調べ、UKで暮らす人たちに意見を聞いてみたのですが、おれが日本で思っていたような「過激な組織」という印象を持っている人は少なそうでした。
やり過ぎてしまうメンバーが一部存在しているものの、規模からすれば当然で、むしろ抗議活動の行い方としては「真っ当」であり、市民や警察に対しても協力的と捉えている人が多いようでした。)

日本とは文化的な違いもありわかりやすくはないものの、それでも通ずるところや感じるものが多いものではないかと思ったので、テキストの日本語訳を考えてみました。
イマイチなところも多々あるだろうなと思うので、「この方が良くない?」とかアイデアがあれば教えてください。そしてもし「イラストを含めて日本語版を作ってみたい」と思われるデザイナーやプランナーの方がいらっしゃったらお声掛けください。

Happy Collaboration!

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