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アメリカに発つ前日の1晩をコンビニでお世話になった話

皆さんこんにちは。今日は思い出話をひとつしようと思います。
私は小さな頃からなぜか海外に興味があり、自然と英語も好きになっていました。英語で海外の人たちと話せるようになりたい、将来は絶対英語を使って仕事ができるようになりたい、と思っていました。私たちの世代はまだ小学校からの英語はなく、中学生になってから英語の授業が始まりました。
教科としての英語は得意で、イギリスに2週間の語学留学に行かせてもらったり、英会話スクールにも通わせてもらったりもしましたが、コミュニケーションに使うための英語はなかなか習得できませんでした。

そして高校生の時「英語圏にある大学に行こう」と決心します。このまま日本にいても英語を話せるようになっている自分を想像できなかったのです。その土地に行ってみて、必要性に迫られて語学を学習する、というスタイルはメキシコにやってきて、スペイン語を習得したときも同じだった気がします。そんなわけで、日本では大学受験をせずアメリカの大学を受けることにし、必死に受験勉強している同級生たちを横目に、私はTOEFLの勉強をしていました。

無事アメリカの大学から入学許可が出て(まずはESLプログラムをとりますが)、いよいよ日本を発つ日がやってきました。地元の空港から羽田空港まで飛び、そこから電車で成田空港まで行くのですが、成田発の便が早朝だったので前日入りしておく必要がありました。以前「ターミナル」というトム・ハンクス主演の映画でたくさんの人たちが(アメリカの)空港内で寝泊まりしているのを見たことがあったので、成田空港に夜に着いて、一晩空港内で過ごし、出発便を待とうと計画しました。空港ホテルで一泊するという手ももちろんあったわけですが、親にあまりお金を使わせたくないという子どもなりの気遣いでした笑。

日が暮れてから、お金をかけたくないので鈍行の成田空港行き最終電車に乗り、成田空港を目指しました。夜10時ごろだったでしょうか。「終点でーす」という車掌さんの声が聞こえ、「あぁ、いよいよか」と心躍らせながらスーツケース2個を抱えて電車を降りました。しかし、周りを見渡すとどう見ても普通の駅。駅を出たらすぐ道に出れそうだし、車も走っているし、空港の案内もない。よく見てみると駅の名前は「成田駅」。慌てて車掌さんを捕まえ「すみません、この電車は成田空港までは行かないんですか?」と尋ねると「普通は行くけど、この時間の電車はここが終点だよ。どうせもうすぐ成田空港も閉まっちゃうしね」と返ってきました。なんてこったい・・・
車掌さんにはお礼を言ったものの、さて、どうしたものか。

さて、ここでみなさんにご理解いただきたいのは、当時私は高校を卒業したばかりで世間知らずの18歳。私の問題解決能力も微々たるものでしたし、スマホでググるなんてこともできない時代でした。とにかく、駅は出たものの、始発の時間(4時半くらいだったと思います)までどうにかしなくてはなりません。駅のそばには、今はなきAM.PMというコンビニがありました。
そしてない知恵を絞って必死に考えた案が「コンビニで一晩を明かそう」でした笑。

漫画や雑誌もあるし、6時間くらい(無理だろ)平気!と思ったわけです。あぁ・・・若さって・・・。自分の子どもがこんなことしてたら「とんでもない!ありえないでしょ!」と言っているでしょうね。しかし現実には6時間コンビニで過ごすというのはとても難しく(そりゃね)、漫画を立ち読みしたり、しゃがんだりしていましたが、そのうち辛くなり、コンビニ内の端っこの方でスーツケースに寄りかかってしゃがみ込んで休んでいました。

少しすると不審に思ったコンビニの店員さんが声をかけてきました。
「大丈夫ですか?」そして事情を話すと、「えー!大変でしたね!良ければレジの方に椅子があるので、使ってください」と、レジの内側に座らせてくれたのです!とんでもなく善い人ですよね!だって、想像してみてください。まず、大きいスーツケース2個ゴロゴロさせながら夜遅くにコンビニに入ってきた高校生くらいの女の子。その後立ち読みを始め、その辺で座り込み始めたんですよ?そんなよく訳の分からない赤の他人にそんなこと言うなんて・・・。

店員さんがパイプ椅子を出してくださり、私はそこに座り、使っていないレジ台の方でうつ伏せになって休むことができました。そしてさらに「これ、賞味期限がさっき切れたものなので、もし嫌じゃなかったら食べてください」と、おにぎりを2個くれました。え・・・この人、天使?
夜中なのでお客さんは少なかったのですが、それでも時々買い物にくるお客さんもいるため「え、この子何・・・?」という目は痛かったのですが、ある会社員っぽい男性は、店員さんに私のことを尋ね、店員さんが説明すると「大変だね、これ僕からの差し入れ」と言って、缶コーヒーとお茶のペットボトルを買ってくださったのです!なんてありがたい・・・。

そして、なんとか始発までの時間をコンビニで過ごし、始発に乗って成田空港まで行くことができたのです。ほとんど寝れなかったので、その日は絶不調でしたが、飛行機の中ではよく眠ることができました笑。

今考えると、私は一体何をしていたのか・・・と呆れ果ててしまいますが、それでも日本を発つ前に日本人にこんなに親切にしていただいたことは
とても印象的なことでした。あの時親切にしていただいたコンビニの店員さん、差し入れをくださった方、本当にありがとうございました。今はひょんなことからメキシコにいますが、元気にしています。

さてお楽しみいただけたでしょうか。
それではまた次の記事でお会いしましょう。

Nos vemos pronto.
Pachi

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