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「電気エンジニア」×「プロジェクトマネジメント」というキャリアは…いかがでしょうか?

皆様、初めまして、パシフィコ・エナジーで建設部門の部門長をしております松本です。自身のことについて何を書こうかと考える中で…読んでいただいた方の何か記憶に残るような、少しでもプラスになるような事を書きたいと思い、今パソコンの前でカチャカチャやっております。

私は長崎県の田舎で育ち、綺麗な海で捕れた新鮮で美味しい魚、地元の米・肉を食べて育ちました。昔から体は大きくありませんでしたが、丈夫な子供だったと思います(今思いますと…体に良いものばかり食していたような気がします)。幼少期から兄の背中を追いかけていた私でしたが、彼の影響もあってか電気電子工学を専攻し、学生の頃から関心が高かった英語を使用できる海外の仕事に興味を持っていたと記憶しております。また、当時は全国的に過疎化が進む田舎での地域活性化に対しても興味を持っておりました(何か地元に恩返しができないか?…など考えていたように思います)。

 縁もありまして2004年に大型プラントのEPC(Engineering, Procurement, Constructionの頭文字であらゆるプロジェクト遂行に使われる用語)業務を得意とする企業に就職することができ、会社生活がスタートし今日に至るわけですが、これまでの人生を振り返りますと、今の私を表すのは、「電気エンジニア」×「プロジェクトマネジメント」に尽きるように思います。

電気エンジニアとしてオフィス・現場で汗をかく

2009年~2013年の約5年に渡るUAEでのガス処理プラントにおけるEPC経験が今日の私の基盤を作っていると思っておりますが、プラントの電気に関わる基本設計から詳細設計、調達業務、建設の初期から引き渡し後の客先対応含め長期に渡り非常に充実した日々を送りました。その中でも2011年6月~2013年12月末まで現地UAEで電気部門のサイトマネージャーとして過ごした約2年半は特に充実したものであったと思います。当時は客先やVendor、下請けとの揉め事は日常茶飯事でした。常にスケジュールに追われており、ただその中でも自身とチームには常に何かを課し、それらをコミットし、幾つかの難題をチームと共に乗り越えたことを今でも覚えております。

プラント建設における電気部門の醍醐味は、プラントに電気を届ける「受電」というイベントであり、プラントに動力を与え、命を吹き込むようなものです。UAEの案件では、これをスケジュール通りに達成し、その後の試運転、プラントの稼働、商業運転と経験しました(その後のトラブルシューティングも数多く経験しました)。人生において、大型プラントのEPC全体を経験する事は中々できませんが、この案件において、一気通貫で全てを経験できたことが、自身のキャリアの礎になっている事は間違いありません。

現地電気チームメンバーとのチームビルディング(2012年10月)

プロジェクトマネジメントへの興味

昔から「電気の専門知識・経験を持つプロジェクトマネージャーは稀な存在だ」という事をよく耳にする事がありました。稀な存在が、そのキャリアの成功に繋がるわけではなく不安はあったものの、私は以前から興味のあったプロジェクトマネジメント部門に2014年に異動し、その道を歩み始めました。

 「電気エンジニアは見えないものを相手している。電気の図面は何が描いているかわからないし、読めない。三相交流って何?単線結線図と三線結線図って何が違うの?」など、電気を専門にしていない方からは、アレルギー反応のような意見・質問を頂くことが多々ありました。電気エンジニアとしてEPC一気通貫の知識・経験を活かし、これを軸として、分かりにくいものを分かり易く伝える…という事を念頭に置き、電気の枠を超えたプロジェクトマネジメントに従事し、2014年~2019年までの約6年間大型LNGプラントのプロジェクトマネジメントに携わることができました。自身のキャリアとしては満足できる充実した日々を過ごしていたと思っていますが…とはいえ、色々とありまして、転職を決意することになります。

太陽光発電所のプロジェクトマネジメント

転職を機に自身のキャリアを考えると発電所建設プロジェクトマネジメントが自分には最適だという事を考えていました。その際、再生可能エネルギーの分野で自身の経験を活かせたら…と考えており、縁もあって、2020年1月パシフィコ・エナジーに入社しました。現在は太陽光発電所EPC遂行のプロジェクトマネジメントに携わっております。

オイル&ガスのプラントであっても太陽光発電所であってもEPC遂行上のプロジェクトマネジメントの基本的なところは変わりません。オイル&ガスのプラントでは、技術分野が多岐に渡り、設備が複雑であるため、扱う書類や材料が膨大であり非常に煩雑です。そのため細かな「管理」が非常に重要になります。一方で、太陽光発電所は比較的シンプルなものですが、いずれにしましても、EPCを成功させる鍵は色んな側面からプロジェクトを「管理」することだと思います。

スケジュール管理、コスト管理、リスク管理、設計管理、品質管理、材料管理など「管理」がプロジェクトマネジメントの肝となりますが、私自身EPC遂行における「管理」を下記のように定義しており、管理ツールをどのように作り上げるか…という点もプロジェクトマネジメントの非常に重要な要素となります。ツールには「管理」の仕組みや業務の流れを関係者で共有するための仕様書・手順書・要領書であったり、情報を共有するためのDatabaseであったり様々ですが、プロジェクトに関わる各人が管理を理解し、そのツールを上手く使えないと意味がありませんので、結局は、属人的な所、各人の能力、センスも重要となります(あらゆる業務に共通の事ですね…)。

「管理」とは、ある事柄(品質・コスト・工程・材料など)について、地理的・時間的・量的・人的・外的な要素を把握していること。また、これらの指標・目標を定めており、定期的な見直しを通じて、良い状態・方向に導くために具体的な対策や方針を定め、行動に繋げること。

例):工程管理上のある作業について、どこで誰がどのような事をどのくらいの時間で行うのか、また、それが何に影響するかを把握する。いつまでにどのような形で終わらせる必要があるのか目標があり、これを定期的に見直して、作業が滞っていれば追加で人員を投入するなど策を講じ、他に悪影響を与えないようにする。

皆さんは仕事をする上で、何かこだわりや軸となる行動規範はありますか?「イメージできない物は作れない」という事はよく聞かれることだと思いますが、契約上要求される仕様に合った太陽光発電所をスケジュール通りに完成させるには、まず時間的に物理的に完成できるイメージが持てるかどうかが非常に重要だと思います。

私の拙い経験、諸先輩から頂いた言葉等からEPC遂行時に大切にしている事を思いつくままに並べます。

1.  スケジュールへのコミット (明確な期日を決め、やると宣言し、やりきること)
2.  潜在的なリスク把握のために、まず着手する事(未着手エリアを後に残さない)
3.  急がば回れ (ショートカットせずに対応する事)
4.  関係者からの依頼や問題提起には、誠実に向き合い、迅速に対応する事
5.  プロジェクトチームを大切にして情報の入りやすい環境を作る事
6.  問題解決のシナリオは2つ以上考える事
7.  リーダーシップを持ち、一貫性のある方針を立てる事
8.  仕事を最後まで管理し、終わったことをきちんと確認する事
9.  つらい状況でも仕事を楽しむ事(1日1笑)
などなど…

上記列挙したもの以外にも、業務を細かく見ていきますと、数十~数百の項目が挙がると思いますし、こだわりある人は本当に数えきれないくらい挙げることができるようにも思います。これらは当然のことのように思えますが、きちんと意識しないと自身のイメージするものから外れていったり、時間を無駄にしたり、ダブルワークが発生したり等、プロジェクト管理が崩れるような事態に成りかねません。しっかりとした管理をするには、プロジェクトメンバーが明確な成果イメージを持ち、良いこだわりや組織の行動規範を持って仕事に臨むことが求められるように思います。

太陽光発電所のEPC遂行において、プロジェクトマネージャーが「電気エンジニア」の経験を持っていれば、管理上イメージが持ちやすくなりますし、あらゆる場面で主体的な行動が取れると思います。勿論、個人の能力やセンスに依存する所はあるものの「電気エンジニア」×「プロジェクトマネジメント」は、真に発電所のEPC遂行には最適な掛け算だと感じております。とりわけ、太陽光発電所は、燃料や水、タービンなどの回転機を必要とせず、系統接続は直流を交流にするインバータ技術により成り立っているため、要素技術的にも非常に電気リッチな発電所と言え、電気エンジニアが得意とするところだと思っております。

発電所の前で関係者との一枚

最後に

パシフィコ・エナジーが手掛ける太陽光発電所は、その特性上、日当たりの良い田舎に建設されますが、我々が建設した発電所のある田舎は、それぞれに特徴があり、いずれも自然に満ちあふれた魅力の多いところだと思います。私は言うまでもなく田舎が好きなので、自然に溢れた我々の発電所の風景が大好きです。

私が所属する建設部門は、プロジェクト開始から太陽光発電所引渡しまでのEPC遂行のみならず、開発~運営管理までの架け橋として重責を担っていると感じております。私が入社後に担当した複数の案件で、自身が架けた橋は強度的に重厚なものかどうかは分かりませんが、今後の案件では、強度的にも申し分のない虹色の橋を架けるようなプロジェクトマネジメントを遂行し、皆さんが満足し、皆さんに愛される太陽光発電所を作り上げたいと考えております。因みに、以下に示します絵の通りですが、私の息子たちは恐竜と太陽光発電所の共存をイメージしたようです…。

建設中の太陽光発電所を見た後に息子たちが描いた絵①
建設中の太陽光発電所を見た後に息子たちが描いた絵②

という事で、現在電気を専門に勉強をしている方、或いは、電気を専門にしながら自身のキャリアに迷っている方、「電気エンジニア」×「プロジェクトマネジメント」というキャリアは…選択肢として、いかがでしょうか?


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