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食洗機を買おう!

食洗機普及委員会です。1週間で15回以上食洗機を回しているヘビーユーザーでもあります。以下、「洗濯機と同じくらい食洗機が普及すべき」という話です。家電メーカーの関係者でも回し者でもないのに食洗機の普及活動に躍起になっている背景についてはまた別の投稿にて。

食洗機の普及率は未だ35%

いま日本では食洗機はどれくらい普及しているか?
内閣府の調査ではまだ35%に留まり、少しずつ上昇してきているとはいえまだまだ過半の世帯では食洗機を持っていないとわかります。しかもこの調査、2人以上の世帯で調査しているので、独身世帯の話ではありません。家族で住んでいてもなお食洗機を持っていないことがわかります。

2022年 内閣府消費動向調査

この普及速度は、同じく「汚れたものを洗う家電」である洗濯機と比べてもめちゃくちゃ遅い。洗濯機は20%普及した時点から20年でほぼ100%の普及率を達成したのに、食洗機は20年で10%程度しか増えていません。

内閣府 消費動向調査より「社会事情データ図録」が作成したグラフを引用
https://honkawa2.sakura.ne.jp/2280.html

米国や欧州における食洗機の普及率は70~90%であることを考えると、国際比較でも大変低いことが分かります。なぜ日本だけ、そして食洗機だけこんなに普及が遅いのか?

狭いキッチンでも食洗機を置ける!

最も有力な説は「キッチンが狭いから」。これはごもっともではあり、欧米の家は広く、必然的にキッチンも広い。そして食洗機もデカい。食器棚ごと丸洗いするイメージです。日本の狭いキッチンで食洗機を据え置くためには工夫が要ります。

しかし、ここでも洗濯機の普及率は一つの反証になります。洗濯機なんて食洗機よりもずっと大きいのに速攻で普及したわけです。いくら家が狭かろうと洗濯機は絶対に必要なので、まずは洗濯機の場所を確保するという発想で間取りが決められるようになったからです。

食洗機も洗濯機と同じように「最初から絶対につけるべきもの」という認識が進めば、キッチンが狭いから置けないなどということにはなりません。というのも、食洗機は食器棚としても機能するため、食器棚のスペースがあるのなら(あるでしょう)、その位置をシンクに近づけるだけで食洗機のスペースになるからです。私がこれまで訪問した50軒以上の新築モデルルームでは100%食洗機が備え付けられており、これは良い傾向だなと思います。

そして、狭いとは言ってもほぼ全てのキッチンで据え置き型の食洗機は設置可能です。家電メーカーも日本のキッチンの狭さを百も承知でデザインを工夫しています。ほとんどのキッチンにおいて幅30㎝の幅は存在することを調査し、それに従って奥行き30㎝以内の食洗機を開発しています。

置く場所は30㎝以上あってもコンロの近くで危ない、などの事情もあるでしょう。その場合はシンクの上に台を置くことでもスペースを確保できます。私の実家ではまさにこの方法でスペースを確保しました。シンクの幅がやや小さくなってしまう問題はありますが、そもそもシンクの用途の半分くらいは食器を洗うためです。その機能が食洗機に代替されるのですから、シンクが狭くなってもさほど不便になりません。それよりシンクでずっと手洗いしていた手間がなくなるメリットの方が上回ります。

というわけで、最大の問題とされる「設置場所」も実は一工夫で何とかなります。あるいは工夫せずともメーカー側で工夫してくれています。

賃貸住宅でも食洗機を置ける!

次点でよく聞くのは「賃貸だから据置き型を設置するための水道分岐の工事ができない」。これに関しては2つの対策があります。

① そもそも賃貸だから工事不能とは限りません。退去する時に原状回復さえできていればよいので、取り外す際に元に戻しておけばよいだけです。私がこれまで入居した全ての賃貸住宅で食洗機の備え付けは許されていました。

ちなみに私は一度この工事を忘れて退去してしまったことがあり、管理会社から指摘されましたが、工事費用1万円を請求されるだけで終わりました。この1万円というのは自費で工事を依頼した場合とほぼ同じであり、管理会社に工事手続きを代替してもらっただけとも言えます。

② どうしても工事ができない家庭のために、最近は工事不要の食洗機も出てきています。加湿器のように自分で水を入れるタイプです。ヨドバシカメラの店員さん曰く、パナソニックのこちらのタイプが大人気だとのこと。

自分で水を入れるぶんだけ一つ手間が増えるのは否めませんが、逆に言えば加湿器程度の手間でしかありません。自分で食器を洗い続ける手間に比べれば格段に手間が省けることは間違いありません。

というわけで、賃貸だから・工事ができないからという理由も解決できます。

食洗機対応の食器を買おう&食洗機対応の食器だけでも洗おう

次によく聞くのは「食洗機に対応していない食器が洗えない」という声。これに関しては3つのポイントがあります。

① 食器に特段のこだわりがないのであれば、食洗機対応の食器に切り替えましょう。この点についても洗濯機と同じであり、服によっては洗濯機で洗えないものもありますが、こだわりがないのであれば洗濯機に入れられる服に切り替えた方が良いことと似ています。逆に、こだわりがあるのであればそれは趣味であって家事ではないという認識が必要です。たとえば自家用車の洗浄を「ガソリンスタンドのスタッフには任せられん」と言って延々と何時間も自分の手で磨いていたりするパパがいますが、それは「家事」にカウントすべきなのかという観点と同じです。こだわらなければ短時間で済むのにこだわっているから時間がかかる類の作業は趣味です。趣味があるのは素晴らしいことなので、家事としてではなく趣味として楽しみましょう。

② 食洗機対応の食器だけでも食洗機を使いましょう。食器にこだわりがある場合でも、全ての食器が食洗機に入れられないとは限りません。たとえ半分であってもその分の労力は減りますから、それを食洗機に入れるだけでもだいぶ楽になります。我が家はこの方式であり、妻がこだわっている一部の食器だけ妻が自分で洗い、残り全ての食器は私が食洗機で洗うという方法にしています。

なお、これは食洗機対応か否かのみならず「食洗機に入らない大きさの調理器具がある」という場合も同様です。確かに一部にそういうものはありますが、それだけ手で洗えばよいのです。そして、大きさに関しても食洗機に入る大きさを模索することが有効です。例えばまな板が入らない場合、小さめのまな板を2つ買うという方法で調理時の利便性を保ったまま食洗機にも入れられるようになります。

➂ 食洗機が使えない理由を調べましょう。食洗機がダメとされている食器でも、その理由によっては問題なく食洗機が使えることがあります。ガラスのように熱で割れるなどの危険性がある場合はダメですが、塗料が落ちやすいとか変色しやすいとかその程度の理由であれば食洗機に突っ込んでも大丈夫です。塗料が落ちたり色褪せたりしたら買い替えればよいのですから。多くの場合において食洗機不可と書いてあるのは「食洗機に入れたら〇〇になった!」というクレームを避けたいから書かれているだけであって、物理的な危険性はありません。

予洗いは要らないよ

しばしば聞くのは「予洗いが面倒」「予洗いの時間でそのまま洗えてしまう」というもの。これはですね、食洗機メーカーのマニュアルに真面目に従いすぎです。予洗いしなくとも余裕できれいになります!!(強調)食べ残しを捨てておく程度で十分であり、皿が脂ぎったまま突っ込んでも全く問題ありません。

熱湯と強力な洗剤で手洗いよりきれいになってるよ

食洗機だと食器がきれいになっていない気がする、という声もしばしば聞きますが、気のせいです!!(強調)
むしろ逆で、「手洗いでは実現できない熱湯(80~90度)で洗っている」「皮膚が荒れるくらいの強力な洗剤で洗っている」という2つの理由により、手洗いよりきれいになっています。これはまさに「食洗機に入れてはいけない食器がある」ことの裏返しなのであって、食洗機ではなく手で洗わなければいけないのは手の方がやさしい(=洗浄力が弱い)からです。

この「気の迷い」は、アメリカ人からよく聞く「トイレのウォッシュレットだとおしりがきれいになっていない気がする」と似ています。水で洗うのと紙で洗うのでは当然水で洗ったほうがきれいになります。手を水で洗うのと紙で洗うのではどちらがきれいかと言われたらアメリカ人だって水だと答えるのに、それが肛門になるだけで「紙」になるのは単なるイメージにすぎません。このイメージというのはかなり強力だからこそ覆すのは難しいのですが、まずは使ってみるというのは有力な手です。アメリカ人であっても、日本に観光に来た時に初めてウォッシュレットを使ってみてその気持ちよさに感動したという人は多いのです。食洗機も同じです。まずは使ってみましょう!

洗い残しがあったらもう一度洗えばいいよ

食洗機に食器を入れるのはパズルのようなところがあり、置く場所をミスると確かに洗い残しが発生することがあります。でもそのような食器はごくわずかですし(私の場合は3回洗ったら1点発生する程度)、もしそういう食器があればもう一度洗えばいいだけです。どうしても取れなければそこだけ手洗いしてもよいでしょう。これも、食洗機を使うことで節約できる大幅な時間と比べたら誤差みたいなものです。

水道光熱費も節約できるよ

「電気代がかかる」「水道代がかかる」という人はさすがに出会ったことがないのですが、統計を見ると一部でそう思っている人はいるようです。でも具体的にいくらかかるのかを把握している人はほぼないでしょう。手で洗う場合と比べて使用する水の量は8割近くも減りますし、ガス代も大きく節約できますから、実は電気代を勘案してもなお水道光熱費全体では節約できます。少なくとも大きく上がると言えません。

洗濯機より安いよ

「食洗機は高い」というのも稀に聞く理由ではあります。しかしやはり洗濯機と同じく、「家事の時間の節減のために必要だと感じたらみんなお金を出して買っている」のです。洗濯機ほどの劇的な変化ではないかもしれませんが、同時に洗濯機ほど高価なものでもありません。前述の工事不要の食洗機で8万円代、工事が必要な代表的なもので7万円代+工事費1万円なので、10万円でおつりが来ます。ビックカメラでよく売れているのはこちらだそうで。4人分で24点。

最近、一人暮らし用にこういうコンパクトなものも出てきています。私は一人暮らしだった時代は食洗機を持っておらず、もっぱら外食とカップラーメンという不健康な生活でしたが、今のように自炊をしていたらこれを活用したと思われます。

私が子供の頃に手伝っていた家事の中で最も嫌いだったのが食器洗いでした。家族5人分の食器を洗うのは15~30分くらいかかります。子供心にもこの時間は無駄で、その時間があるならガンダムのプラモデルで遊んだりしたかったわけです。大人にとっても同様で、こういう家事が辛いと思うのならお金を出して心理的・時間的な負担を軽減すべきなのです。洗濯機と同じように。

中には、食器を洗う時間が好きだという人がいます。その場合は食洗機を買う必要はゼロです。好きならばそれは家事というより趣味に近く、私にとってのプラモデルの時間と同じカテゴリーでしょう。「プラモデルなんて作ってる時間がもったいない、作った後の既製品があるのに」と言われたら「お前は何もわかってない、作る時間が楽しいんだ」と反論するでしょう。同様に、きれいになった食器が目的なのではなく食器をきれいにする過程が楽しいということは十分にあり得ます。そんな人に「食洗機を使えば」などと野暮なことを言う気は毛頭ありません。しかし9割以上の人にとっては食器洗いは負担なので、であれば食洗機の普及率は欧米と同様に9割近くになるべきだと思うのです。

時間がかかるのは否めない

食洗機ヘビーユーザーとして認めざるを得ないデメリットは2つ。その一つは時間がかかることです。コースにもよりますが30分~2時間くらいかかります。すぐに食器が使いたいような場合にはちょっと困ったりします。この対策としては4つあります。

① 食洗機を使う時間帯をルーティンにする。我が家の場合は、平日であれば夕食の直後と、それが洗い終わった後のもう一回(入りきらなかった分)の計2回が食洗機を回すルーティンになっています。これによって朝にはすべての食器が洗い終わっている状態になっており、食器がなくて困ることはありません。この2回のうちどちらかを忘れると食器が足りなくなることがありますが、ルーティン化していれば滅多に起こりません。

② 食器を多めに用意しておく。極論すればすべての食器について家族の数の2倍を用意しておけば、食洗機の中に家族分が入っていてももう1セットのスペアがあることになります。ここまで極端でなくとも、食器を多めに用意しておけば「いま食洗機で洗っているから食器が足りない」となることはほとんどありません。

➂ 最短コースで洗う。これによって30分くらいで一旦終わります。洗いきれなかった分だけ2回洗えばよいのです。ほとんどの食器は30分で十分に汚れは落ちます。

④ どうしても「いま」必要な場合は手で洗えばよいのです。①②➂の対策をしていれば滅多に発生しません。

うるさいことは否めない

最大のデメリットはこれだと思っていて、ぶっちゃけ食洗機はうるさい。手で洗うのも大概うるさいので「だから手洗いの方が良い」という結論にはならないのですが、しかし食後に家族でテレビを見ようとした時、食洗機の音がガッションガッションうるさいので一時停止するということはたまにあります。(どんだけうるさいんや、と思われそうですが、手で食器を洗っていても家族の声はよく聞き取れなかったりしますよね。あれよりはやかましくないと思って構いません)

対策としては以下の3つが考えられます。

① うるさくてもよい時間帯に回しておく。我が家は夕食後に2回というパターンですが、夜の寝る時間に回したくないという場合はそのうち1回を朝に回すという手はあります。赤ちゃんがまだ小さいなら、起きた時点で回し始めればおやすみタイムに騒音が邪魔になることはないでしょう。

② キッチンから遠い部屋を寝室にする。食洗機に限りませんが、LDKはテレビなど含めて音が発生しやすい部屋です。そこから最も遠い場所を寝室にすることで、寝ようとしている子供にも影響が及ばなくなります。とはいえ1LDKや2LDKなどだと寝室がLDKの隣だったりして難しいのですが。

➂ 最短コースで洗う。これは「時間がかかる」と同じ対策ですが、最短コースなら当然騒音も最短になります。この意味でもデフォルトでは最短コースにしておいてよいでしょう。繰り返しますが、最短コースでも十分に強い洗浄力を持っています。

そもそも、「食洗機を回している間に家族でテレビを見ようとするとうるさい」という状況は「手で洗っていたら失われていた時間で家族と団欒できている」ことでもあります。多少うるさかろうがその時間は大いに有効活用できていることは論を待ちません。

まとめ

「食洗機のある生活は洗濯機がある生活くらい快適だよ!」
「食洗機のデメリットと思われていることはほとんど解決できるよ!」
と言い続けたいと思います。

ちなみに

上記でご紹介した食洗機はどれもパナソニックですが、国内の据置き型の食洗機はほとんどパナソニックの独擅場であり、日立も東芝も三菱も食洗機を生産していません。ビックカメラ有楽町店にはアクアという中国系メーカーの食洗機も少し売っていますが、ヨドバシカメラ秋葉原本店にはパナソニック製しか見当たらないほどです。食洗機に関する多くの特許をパナソニックが持っているからという事情があるようです。特許庁のHPでもパナソニックが食洗機を手掛けるようになった歴史からその工夫まで紹介されています。

備え付けの食洗機についてはその限りではなく、海外においては備え付けが主流であることからわかるように、食洗機メーカーも備え付けを前提としています。備え付けの食洗機がない日本だからこそ「どうやったら狭いキッチンに置けるか」という工夫の特許が必要になったのでしょう。

パナソニックが家電の開発に着手したのは松下幸之助が「日本の女性を家事の負担から解放する」というパーパスを掲げていたから。男性も家事を負担をすることが当然とされる今、日本の「男性」を家事(+仕事)の負担から解放するためにもこういった時短家事のための家電製品は積極的に使うべきです。

(なお、私はパナソニック関係者でも何でもありません。むしろ仕事では「投資家は家電事業を売却しろと言ってますよ」などと伝えて嫌な顔をされる役回りです。「予洗い要らない」とか言ってるのも怒られそう)


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