【連載】お人好しのキツネ その5【短編童話】

 どんぐり池はとてもにごっていました。牛乳みたいなくすんだ色の水面には、顔が反射がしないほどにごっているので、そこの水を飲もうと思うやつはいませんでした。

 到着したキツネは、さっそくお願いを叶えようとどんぐりを池に投げ込もうとしました。

「キツネよ。こんなところで何をしようとしているんだね」

 後ろから声をかけられたキツネが振り向くと、そこにはフクロウがいました。

「ものしりのフクロウさん、こんばんは。僕はこのどんぐりの池にどんぐりを投げ入れてお願いをかなえてもらおうと思って」

「キツネくん。君はなんのお願いをかなえるつもりかな? 見たところどんぐりは三つあるようだが」

 フクロウはキツネに問いかけました。

「うん、僕がかなえる願いの一つは、声が出なくなってしまったコマドリさんの声をなおすこと。もう一つは足に根っこが引っかかってしまったアライグマくんを助けること」

「ふむ。君は三つのうち二つも自分の願いではないんだね。それで、あとひとつはなんだい?」

「うん、あともう一つはリスくんのとうみんのじゅんびがちゃんとできますように、ってお願いするんだ」

 キツネは、なんとはなしに言いました。

「それは……どうしてだい?」

 フクロウは優しく問いかけました。

「今日リスくんは僕が会うたびに冬眠のじゅんびで忙しくしていたのを見ていたんだ。だからなかなか終わらない彼のを手伝ってあげようと思った。でも色んな人から色んなことをお願いされたから、手伝うことができなかったんだ。だからこのどんぐりを使ってリスくんを助けてあげられたらな、と思ったからさ」

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