『水たまりで息をする』(高瀬隼子 著)
先日『犬のかたちをしているもの』を読んで好きになった作家、高瀬隼子さんの新しい中編『水たまりで息をする』を読みました。
すばる2021年3月号で発表された作品です。
単行本になる前に、文芸誌で作品を読んだのは生まれてはじめてでした。
読み始めたちょうどその頃、本作が芥川賞候補になったことが報道されました。
そして読み終わって、確かに、非凡な作品だと思いました。
主人公の衣津実は夫と二人ぐらしの36歳の女性で、子どもはなく、共働きです。
ある日、夫が、風呂に入るのを止めたと