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ささやかな春の夢

春が近づき桜の蕾が膨らみ始めてきた。
この時期になると、特に思うことがある。

私は二十代前半までとある新興宗教に熱心に励んでいた。
その時、その宗教内に同世代の友人がたくさんいた。
お金がなくてジリ貧の生活も、一緒なら耐えられた。

私はある日突然、その宗教を抜けた。
心が限界になった。
抜けた瞬間、その友達は全員いなくなった。

幸いにも私は1人じゃなかった。
学生時代の友人、幼馴染、辞めてからできたたくさんの友人。

宗教の友人たちとはそこまでの縁だったと言われればそれまでかもしれない。

でも、思うのだ。
願ってしまうのだ。
あんなにいい子たちと、もう一度会いたいなと。
そして今度は宗教なしで友人として1から始めたいと。

夢を見てしまうのだ。
どこかのオフ会にたまたま行った先に元友人がいて抱き合う瞬間を。
あの時は逃げてごめんねと謝りたいのだ。


私はずっと、春の夢を見ている。

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