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故郷 #声ッセイ

誰かはいつも
誰かのようで
私の記憶の中での同一人物は
全く別の名前を名乗る

私はあなたを知っているけれど
あなたははじめましてと言う

あなたは幼馴染と
私の知らない時間の話をする

私の時間はいつも誰も知らなくて
今だけが此処に残る

あなたと時間を置いて
私はまた
違う形のあなたに出逢いに行く

何度出逢っても
あなたは
「はじめて会った気がしない」
というけれど
あなたがそのセリフを言う事を私はいつも知っている

そのセリフは私の時間をつなぐバトンのようだ

立っている土地や
使う言葉や
年齢や性別が違っても
今回のあなたのカタチの
知らない部分はとても興味深いし愛おしい

等しく愛しい時間を過ごした空間を
立っている足下の名前が分断しようとしてくるけど
ただの地面で
この地球全体を包む大きな面は
いつも色んなあなたと私を繋いでいる

あなたが私を思い出したり
逢いたいと想ってくれる
その気持ちが私の「ふるさと」で

世界中にある「ふるさと」が
山ほど散りばめてきた時間を繋げて
私を包んで迎えてくれる

はじめまして
ただいま

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