パンチィー山内

八百屋です。農業の勉強が好きです。昔、格闘技してました。

パンチィー山内

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マガジン

  • パンチィー山内の就農失敗談

    3流格闘家だった「パンチィー山内」が2010年格闘技を引退後、就農を目指すも数々の失敗を繰り返してきた話を書きます。

最近の記事

ブラック系?農業法人の章アフターストーリー⑧(最終回)~有能な農場長~

それから3年の年月が流れました。 僕は野菜販売の仕事が忙しくなって、農場にほとんど行けなくなりました。 しかし、人手が必要な時には頼まれて働くことがあります。その時に近況も確認します。 強面のおじさんは大人しくなって、たんたんとタマネギの皮むきをしています。 新規就農希望者は入れ替わりがあり、辞めたり入ってきたりしているようです。 四捨五入ができない若者たちは友達を呼んでおしゃべりしながら働いています。自転車通勤しているため、バイクはまだ買えないようです。 高齢者

    • ブラック系?農業法人の章アフターストーリー⑦~農場長「死」について考える~

      「あいつは人が死んでも何とも思わない!!」 強面のおじさんは言います。 「ツバメの巣を壊す時も無表情なんやぞ。」 春になるとタマネギ小屋にツバメがやってきて巣を作りだします。 可哀そうですが、業務に支障が出るので壊します。 「感情がないんや!」 本当にそうなのでしょうか? 農場長と二人になった時に聞いてみました。 「従業員2人も死んだのに平気そうに見えますけど慣れてるんすか?」 以前にも死人が出た会社なのでこんな聞き方になってしまいました。 すると、農場長

      • ブラック系?農業法人の章アフターストーリー⑥~相次ぐ従業員の死~

        従業員が一人亡くなっても普通に仕事は進みます。 そんな中、よく働く60歳を少し超えたおじさんがいました。 農場長の無茶な指示にもニコニコして応え、毎日楽しそうに働いていました。 おじさんの軽バンにはいつも自前の農機具が積んであり、ここの仕事とは別に自分でも畑をしていました。 彼は農業が好きなのでしょう。 そんな元気なおじさんでしたが、ある日突然亡くなってしまいました。 仕事から帰宅中、車が電柱に衝突し、亡くなってしまったのです。 農場長は、強面のおじさんに責めら

        • ブラック系?農業法人の章アフターストーリー⑤~従業員の死~

          「○○やばくないですか?」 ある有名企業の従業員が自殺したニュースが報道されました。 農場長はそのニュースに驚いた様子です。僕は違和感を覚えます。 「いやいや、うちも会社も同じですよ。」 この会社も自殺者が出た過去があります。 そんな話をしていると軽度な知的障害のある50歳くらいの障害者の男性が話しかけてきました。 彼は問題なく働いており、主な仕事はタマネギの皮むきの補助作業とタマネギ小屋の掃除です。 毎日、ぶつぶつ文句いいながら掃除をしています。 ふと彼はこ

        ブラック系?農業法人の章アフターストーリー⑧(最終回)~有能な農場長~

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        • パンチィー山内の就農失敗談
          57本

        記事

          ブラック系?農業法人の章アフターストーリー④~変わりゆく従業員~

          強面のおじさんは農場長と険悪な関係になっても仕事を続けています。 最低限の給料はもらえるようになったので、これ以上この農場を変えるのは諦めたようです。 そうしているうちにまた従業員が増えていきました。 今度は若い新規就農希望者が入ってきました。昔の自分を見ているようで懐かしくなりました。 彼も初めは農場長を慕って色々学んでいましたが、次第に農場長の悪口を言うキャラに変わってしまいました。 どうやらこの農場長は人に嫌われる才能があるようです。 彼は農場長に不満を持ち

          ブラック系?農業法人の章アフターストーリー④~変わりゆく従業員~

          ブラック系?農業法人の章アフターストーリー③~亀裂~

          「今度は労働条件やな」 強面のおじさんは、「最低賃金」「交通費なし」「社会保険なし」というこの職場の労働条件を改善しようとしました。 さすがにこれは難しい。 農場長との利害も一致しないため、農場長と強面のおじさんの関係は険悪になってきました。 強面のおじさんは、ネットで調べたり、労働基準監督署に問い合わせたりして法律を調べてきました。 その調べた情報を元に、様々な要求をしました。 農場長はそれを受け入れませんでした。農場長には権限がなかったのです。 そして、農場

          ブラック系?農業法人の章アフターストーリー③~亀裂~

          ブラック系?農業法人の章アフターストーリー②~タマネギの皮むき改善~

          強面のおじさんは、すごく偉そうで風格もありました。 初めて農場に来るお客さんには社長だと間違われるほどで、実力も兼ね備えていました。 強面のおじさんは農場長の右腕のような立ち位置になり、タマネギの皮むきの事業をどんどん改善して出荷量も大幅に増やしました。 ある日、ビニルハウスで農場長と強面のおじさん二人で何か作業をしていました。 興味があったので、覗いてみると、堆肥づくりをしているようでした。 タマネギの皮むきで捨てられるタマネギの残渣を堆肥化する実験をしていました。そ

          ブラック系?農業法人の章アフターストーリー②~タマネギの皮むき改善~

          ブラック系?農業法人の章アフターストーリー①~最強のアルバイト~

          あれから時間が経ち、この農業法人で働くアルバイトも増えてきました。 農地の面積も、タマネギの皮むきの仕事も増えてきました。 そんな中、「すごい人が入ってきました!」と農場長に新しいアルバイトを紹介されました。 そこには、大柄で筋肉質、無精ひげを生やした50歳くらいの強面の男性がいました。 自然農を営んだ後、大規模なネギ農家で働いていたがケンカして辞め、この有機農業法人にやってきたと言います。 「自然農もやったし、農薬を使った慣行農業もやった。それでは有機農業はどんなも

          ブラック系?農業法人の章アフターストーリー①~最強のアルバイト~

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑭最終話」~こうして就農するのをやめました~

          クビを宣告されたものの、まだ辞めたことにはなっていないみたいです。 とりあえず普通に出勤して、タマネギの皮むきをしていました。 とは言っても、さすがにこの状況で仕事を続けることはできません。 そこで、仕事を探しました。どこか他にも農業の仕事がないか? この農業法人に野菜を出荷している農家さんがいました。その農家さんに相談しました。「ここクビになるんすけど、仕事ないですか?」 すると、まさかのOKでした。その農場で働かせてもらうことになりました。 それから人生の軌道が乗り

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑭最終話」~こうして就農するのをやめました~

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑬」~退職届~

          「じゃあ、クビです。」 宣告して、農場長はタマネギ小屋を出ていきました。 数十分後、一枚の紙を持って戻ってきました。 「これにサインしてください。」 それは退職届でした。 アルバイトとはいえ、簡単にはクビにできません。自分から辞めると言ったことにしないといけないことを、僕でも知っていました。 別に辞めてもよかったのですが、腹が立っていたので嫌がらせをしたくなりました。 「自分から辞めると言ったわけでもないのに、これにサインするのはおかしくないですか?」と、サイン

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑬」~退職届~

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑫」~「クビの宣告」~

          いくら僕がタマネギの皮むきが早くても、作業員がほぼ僕と農場長の二人だけです。 人手不足でタマネギの皮むきが追いつかなくなってきました。 どうしても間に合いそうにない日が出てきました。 農場長は焦っています。 「パンチィーさん、明日はコンビニのバイト何時までですか?」 と農場長は聞きました。農場長は僕のスケジュールを知っています。 いつも夜中12時までのバイトが、たまたまその日は夜の10時まででした。 それを伝えると、 「では、明日は朝の4時から来てください。よろしくお願い

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑫」~「クビの宣告」~

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑪」~ストライキとタマネギ地獄~

          毎日、農場長の悪口を言っていた3人のおじさんのうち、一人がとうとう辞めてしまいました。 もう一人はほとんど来なくなり、そして最後の一人は、「ワシはもうタマネギの皮むきはせん!」とストライキを起こしました。 仕方がなく、そのおじさんはタマネギの皮むき以外の仕事をしてもらうことになりました。 その結果、僕はひたすらタマネギの皮むきをすることになりました。 タマネギの皮むきの才能があったのが、僕の運の尽きでした。 その頃、僕は夜中にコンビニで働き始めました。 最低賃金の

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑪」~ストライキとタマネギ地獄~

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑩」~タマネギの皮むきの才能~

          夏は植物がすくすく育つ。農家にとってはとても忙しい。 この農場では逆に仕事が少なくなりました。 夏野菜は技術と手間が必要で管理する自身がないので、夏はソルゴーという緑肥を生育して土づくりに専念する事にしたらしいです。 仕事がなくなったので僕もついにタマネギの皮むきをする事になりました。 3人のおじさんがせっせと皮むきをしているタマネギ小屋のメンバーになったのです。 タマネギの皮むきをする台に座ってタマネギの根っこを切ってエアーで皮を飛ばして頭を切ります。 1箱終わ

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑩」~タマネギの皮むきの才能~

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑨」~正社員に誘われる~

          農場長のここの農場だけでなく車で2時間ほど離れたもう一つの農場の農場長でもありました。 すごく大変そうです。 この会社はとある事件がきっかけで従業員がたくさん辞めてしまい人手不足になってしまいました。農場長は「出世するチャンスなんです。」と言ってましたが。 そしてある日、僕もその別の農場でも働く機会がありました。 いつも働いている農場の10倍くらいの面積で大きな機械もありました。 ここでもビニルハウスでは葉物野菜、露地では人参を収穫していました。 そこの従業員の人たちと

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑨」~正社員に誘われる~

          「第四章 ブラック系?農業法人の章➇」~農場長に案内をする~

          ある日、 「パンチィーさんの畑と関わりのある農場を案内してください。」 農場長に頼まれました。 この農業法人の仕事は朝6時から昼の3時までなので、その時の僕はその後に他の農場の仕事をしたり自分の畑の作業もしていました。 まず、定年後農家さんの農場を案内しました。 すると、定年後農家さんは 「うちのお米買ってくれ!」 と交渉しはじめました。 「やっぱコシヒカリつかわなあかんぞ!あんたのとこどんな米つかっとるんや?」 お弁当工場で使うお米の話をしています。(農場

          「第四章 ブラック系?農業法人の章➇」~農場長に案内をする~

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑦」~除草作業と1人のおじいさん~

          外の畑ではおじいさんが一人で永遠と除草作業をしていました。 管理機という機械を使ってタマネギ畑の畝と畝の間に生えている草を除草しています。 このおじいさんもかなり高齢のようで動きが遅い。 少し進んでは止まって、進んでは止まってを繰り返しています。 見てて危なっかしい。 「高齢者一人で作業してて大丈夫ですか?」 と聞いてみました。 「あの人は鉄人なので大丈夫なのです!無限に働けるのです!!」 コワい考えだと思いました。 僕は畑の周りの草刈りを任されました。

          「第四章 ブラック系?農業法人の章⑦」~除草作業と1人のおじいさん~