第四話「川蟹のしろきむくろや」

大量の蟹の死骸を捨てている人を見た。

四万十川流域ではモクズガニ(の仲間??)が獲れ、その蟹で出汁を取って芋炊き(愛媛の文化で秋の風物詩。山形の芋煮とは違う)をしたり、煮付けて食べたりする。たぶん捨てていた蟹は芋炊きに使う用が死んでしまったのだろう。気持ち悪いのでその死骸を流している写真は省くが、煮付けたらこんな感じに真っ赤っか。

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モクズガニは上海蟹の仲間だけあって蟹味噌が濃厚。この辺りでは、津蟹やガネと呼んだりする。甲羅の裏に松野の地酒「野武士」を注いで飲むのも最高。いろんな楽しみ方で味わえる。

川蟹のしろきむくろや秋磧 芝不器男

秋の磧にまじまじと川蟹が白くなって死んでいる。磧で死んでいるかなしさ。生物としての存在を破棄した無機質感があるのかもしれない。

さて、モクズガニのことは津蟹やガネというが、沢蟹のことは「アカイコ」と呼ぶそうだ。おそらく秋の磧の感じが出ているのは、松野町の感覚だとモクズガニの方だろうが、この蟹が「アカイコ」だったら大きさが1/10くらいになるので全く印象が変わる。さて、芝不器男さんが詠んだのは本当にモクズガニだったのだろうか。

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