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塔短歌会掲載歌 2024.3

若葉集にて7首の掲載でした。ありがとうございました。

ビニールをふくらましつつ思うことなんか浮かんだけど、大丈夫

そのときは気づいてもらうためにだけ右手をかるくあたためますね

ぼくたちを覆うしずかな喧騒に 教室からは海は嗅げない

たんぽぽを踏まないようにゆくときの意外に無防備な後頭部

水底に呼吸を止めているように無人のままの踏切は鳴る

大好きな気持ちはやわらかい皮に包まれている葡萄のように

陸橋がかすかに揺れていることを知らせ合う目も夜景のようで

塔 2024.3 若葉集


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