風聞のグルメ第2話 ~住宅展示場の中のフルーツバイキング~

 『いたがき』と言えば、仙台市民でその名を知らない者はいないだろう。野菜・果物の販売からジューススタンドやフルーツパーラーの経営まで幅広くこなす、創業120年の老舗青果物専門店である。

 今回は職場のマダムたちの会話から入手した情報を頼りに、そのいたがきの数ある店舗の中でも “フルーツバイキング” をやっていて、かつ “住宅展示場の中にある” という異色の店、『ITAGAKI TBCハウジング店』へ行ってきた。

 仙台駅東口から出てビックカメラ前のエスカレーターを降り、ロッテリアとファミリーマートに挟まれた大きな道を西へ進んで、榴ヶ岡(つつじがおか)2丁目の交差点を左折。入り口に何故かポップな鳥のオブジェがある東北福祉大学を左手に見ながら直進し、ローソンのある角を右折。そのまままっすぐ公園の見えるところまで進んでいくと、TBCハウジングステーションギャラリーハウスの入り口────にある、ITAGAKI TBCハウジング店にたどり着く。

 本当に、モデルハウスが立ち並ぶ土地の中にポンと、店があるのだ。周りはモデルハウスだし、店自体も住宅風の建物に入っているので外観的にはあまり違和感はなかったものの、「なんでこんなところに?」という感想はやはり拭えなかった。

 さて、肝心のフルーツバイキングであるが、フルーツバイキング単体で頼めるメニューはなく、10:00~16:00(ラストオーダーは14:30)にやっているランチメニューの構成の中にフルーツバイキングが含まれているとのことだった。ランチメニューの詳しい構成は以下の通りである。

 ①本日のスムージー または グリーンサラダ

 ②メイン料理(スーププレート、冷麺、パスタ、リゾット、魚料理、肉料理のいずれか一つ)

 ③フルーツバイキング

 ④コーヒー または 紅茶(ホット / アイス)

 ※スープ、パスタ、リゾットは日替わり

 漫画にあったように、私は前菜にスムージーとメインに肉料理、ファンファン(パンダの名前)は前菜にサラダとメインにパスタを頼んだのだが、これが大変おいしかった。ランチメニューの値段が最も高くなる肉料理でも税込み1,944円とお手頃価格であったことから、正直に言って料理はフルーツの添え物という風な、大したものじゃないだろうなと侮る気持ちがあったのだが、そんな私の浅はかな考えを裏切るおいしさだった。肉ももちろん柔らかくてうまかったのだが、いたがきは青果物の専門店……つまり果物だけでなく野菜のプロフェッショナルでもあるためか、肉と一緒に煮られていた野菜がとてもおいしかったのが印象深かった。色がきれいで、優しい味だった。

 ファンファンが事細かに感想を語ってくれたので、私はまるで自分で食べたかのようにパスタの味も知っているのだが、こちらもクリーミーなソースの中に青菜のシャキシャキとした食感が映える、とてもおいしいパスタだった……とのことだ。

 果物は、言うまでもないことだろうが、おいしかった。どれもこれも新鮮で、身が詰まっていて、みずみずしかった。今の時期は柑橘類の種類が多く、オレンジが3種類と、そろそろ旬の終わるイチゴ(宮城県のオリジナルブランド、『もういっこ』だった)、メロン、皮まで食べられる細長い種なしの白ブドウ、房の付いた普通のブドウ、パイナップル、リンゴ、メロン、バナナ、スイカ(メロンが終わった後代わりに入ってきた)などが並んでいたが、旬の移りに合わせて果物のラインナップが変わるため、季節ごとにも違った果物を楽しむことができるそうだ。

 最後に注意点だが、まず、『いたがき』の店は仙台市内に16店舗あり、フルーツカフェなど料理を出す店もたくさんあるが、“フルーツバイキング”をやっているのはこの仙台駅東口にある『ITAGAKI TBCハウジング店』の1店舗のみであることに留意してほしい。

 また、このフルーツバイキングが楽しめるランチメニューは人気が高いため、土日は席が完全予約制になる(①10:00∼ ②11:30∼ ③13:00∼ ④14:30∼の4つの時間帯を選んで予約する)という点にも注意が必要である。

 以上、風聞のグルメ第二話、ITAGAKI TBCハウジング店 終了である。次は仙台で最も有名だという、広瀬通の甘味処へ行ってみようと思う。

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