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ここ最近で一番の幸せはキャベツ太郎

 はじめてキャベツ太郎を食べたときのことを覚えている。
あれは小学校低学年の冬、地元の協会で行われたクリスマス会へ参加した日である。他の地域の子供たちと一緒にジェスチャーゲームをやったり、ハンドベルの演奏を聴いたりしたあと、会の終わりにサンタクロースの恰好をした人が入ってきてお菓子の詰め合わせのプレゼントを子供たちに一人ずつ渡していった。私ももれなくそのプレゼントをもらい、帰りの車の中でお菓子を開けるといくつかのお菓子の中に一つ見慣れない緑のパッケージのがあった。「キャベツ太郎」と書かれてあって、写真にはまるいスナック菓子にのりがかかったようなものが写っていた。
私はそれを見て、まるいせんべいのようなものかと思った。
その見た目と「キャベツ太郎」というこの名前からして、私は決して味に期待は持てなかった。それでもせっかくサンタにもらったお菓子ということで開けて食べてみることにした。一つ手に取ってみると、非常に軽くて、スカスカな感じ。やはり期待できない。そう思って一口食べた。
すると、衝撃だった。
想像していたせんべいのような奥ゆかしい味ではなく、
ガツンと来るソースとスナック部分のコーンの甘さが口の中を一気に支配した。軽いスナック菓子だから口の中からすぐにいなくなってしまうのに、ソースとコーンの風味はずっと残り続けた。軽い一つを食べただけでものすごい満足感、小さいけど爆発力の大きいダイナマイトのような衝撃だった。
美味い、美味すぎる。なんだこれ。

それから十数年経って、色んなお菓子を食べるようになって、
今日久しぶりにキャベツ太郎を食べた。あの衝撃を思い出した。
このお菓子はやばい。うますぎる。
だが見た目と「キャベツ太郎」という名前、そしてパッケージのあの謎のカエルのようなキャラクターは決して惹きが強いとは言えないかもしれない。それでもそれを補って余りある美味さは確かではある。
最近の一番の幸せはキャベツ太郎で間違いない。
堅あげポテトでもなく、イチゴのショートケーキでもなく、高級ステーキでもなくキャベツ太郎である。


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