神社、光る人、手紙、詩仙堂

強い風の渦の中。
小さいけど趣のある神社の、本堂の縁に座っている。
木の枝や葉がぐるんぐるん、乱れ舞っている。
飛ばされないように、両手で高欄にしがみついている。
本堂全体が船のように、大きく、激しく、揺れる。
浮きはじめているように感じる。

---場面転換---

RちゃんとDさんと3人。
柔らかな光に包まれた、30畳ほどの真っ白な部屋。
床から天井まである透明ガラスの引き戸が3方に入り、外には地続きの、数百坪はありそうな緑まぶしい庭園が、270度パノラマに広がっている。
良く晴れて、風のない、おだやかな昼下がり。

のんびり話していると、鉄パイプ製の丸椅子を逆さにしたようなものが、僕の左の掌の上で、地球の自転とは反対方向に、高速に回転し始めた。
地響きがして、外が真っ暗になる。
庭に、オレンジに光っている人が4人、立ってこちらを見ている。

---場面転換---

幼少期を過ごした、祖父母の家の小さな和室。
僕の左にRちゃん、右にDさんが横並びに座る。
前にはさっきの4人が同じく横並びに座って、こちらを向いている。
僕の前の人は、山伏の装束の上から黒いジャケットを羽織っている。
彫りの深い顔で眼光鋭く、大天狗のようだけど、顎ひげは剃っている。
Dさんの前には、黒い法衣にからし色の袈裟を提げた、お坊さんらしき人。

山伏が僕に、分厚い手漉き和紙の手紙を2通、渡す。
ひとつは僕、ひとつはRちゃん宛て。
Rちゃんの方は月間雑誌を開いたくらいの大きさで、呪文のような文字がびっしりと書かれている。
僕の方は新聞紙を開いたくらいあり、毛筆の篆書や象形文字の文のまわりに、雑誌や新聞の記事の切り抜きが無数に貼られている。
どちらもさっぱり読めない。
山伏が説明する。
「お前は私たちの世界のやんごとなき位に就くために転籍(?)し、新たな連れ合いを迎える」

Rちゃんの前には、ふくよかで愛嬌のある阿修羅が座っていた。
七変化を披露してくれるけど、おちゃらけているようでピンとこない。

---場面転換---

詩仙堂の座敷。
Dさんと2人で、座布団にあぐらをかいて話している。
Dさんに出そうとお茶を入れに行く。

戻って来ると、座敷一面に赤いカーペットが敷かれている。
そこに、細身だけど丈夫そうな木製の、テーブルがひとつ、椅子が2脚。
Dさんは椅子に座り、前を浮かしてゆらゆら遊んでいる。
揺らしすぎて、椅子ごとぱたんとひっくり返り、顔色を変えずに僕を見る。
何だかあまりにも自然で、それがかえって面白くて、ふふふと笑う。


おわり

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