宇宙、おしっこ

そこは、昭和の時代の公園によくあった男性用の便所に似ている。
便器も仕切りもなく、みんなで横一列に並び、コンクリートの壁に向かってする、あれ。

そこはそれに似ているけど、コンクリートの壁と排水溝の代わりに、宇宙が広がっていた。

見知らぬ7、8人が並んでいて、その左端に立つ。
みんなほぼ一斉に、星のまたたく宇宙に向けて、おしっこをはじめる。
みんなのおしっこは、それなりに勢いが弱まっていく。

僕だけ、止まらない。
消防車のような、滝のような、圧倒的な放水。
用を済ませた数人が、横で興味深そうに眺めている。

5メートルほど前に、的が浮かんでいる。
直径40センチくらいの、鮮やかな赤色の、二重の輪っか。
小便器に貼られる、ベストショットを促すあれに似てる。

照準を合わせる。
輪っかのど真ん中を、ずばばばばーーーっ、と抜けていく。
なんて楽しいんだろう!
野外ライブで踊ってるような解放感。

だから叫んだ。
たしか、「ひぃやっほーーーう!!!」だったと思う。


おわり

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