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映画『RUSH/プライドと友情』


2月1日に緊急入院して以来、ほぼ2ヶ月半を経て4月14日に退院。
体力もメンタルもやられてしまった絶対安静状態から自宅でのリハビリをしながらの療養となり、いろいろと録画しておいた映画などを観ながら、スタッフとのライブへの復帰準備を進めているさなか、久しぶりに映画「RUSH」を観る。
1976年8月、F-1シリーズトップを走るフェラーリのニキ・ラウダと、追うマクラーレンのジェームス・ハントの熾烈なトップ争いのドイツ・ニュルブルクリンクサーキット、この雨は危険だと中止を求めるニキの訴えは退けられ、結局、歴史に残る大クラッシュで彼の駆るフェラーリ312T2は炎に包まれた。400度強の炎の中、大火傷を負ったニキ・ラウダ。深刻な肺の火傷の膿を吸い出し、2レースを出場出来なかっただけで、42日後のイタリア・モンツァで復帰。そして最終戦の富士スピードウェイで、ハントが3位以上になれば、彼の総合優勝となる雨、霧、風の過酷なフジヤマのふもと、今度はハントがレースの中止を申し出るが、オーガナイザーにみんな決勝を楽しみにしてるんだと却下され、レースは水しぶきをあげながらスタートしてしまう。そしてわずか2周しただけで、ニキ・ラウダはピットへ入り、ヘルメットを脱いでしまう。マシンは完璧だ、文句はない。しかしこの雨の中はあまりに危険だと結局、レースを棄権。この判断はあのエンツォ・フェラーリのサングラスにどう映ったであろう。英断、しかし歯に衣着せぬニキ・ラウダらしいと言えばあまりに彼らしい決断。
そしてその現場に自分はいた。NHK:若いこだまのパーソナリティーとして、富士のF-1グランプリの特集をリクエストして、その映画の通りの現場でシェクターのタイレル6輪、ポール・ポジションのマリオ・アンドレッティ―のJPS-ロータスフォードらのロックンロールの音など比べ物にならない初めて経験するとんでもない轟音を聞いていたのだった。
ニキ・ラウダの棄権を目の当たりに観て、その時は理由もわからず、ただただ残念と思うしかなかったのだが、映画の中でピット奥を覗き込むように物語を知れば知るほど、その歴史の現場に自分がいられたのを感謝するばかりである。
そして肺の火傷の治療も経験し、自分のメンタルまでやられてしまった2ヶ月半の入院生活など、42日間で火傷の癒えない頭にヘルメットをかぶるニキ・ラウダに比べれば、いかに甘っちょろいものかと叱咤したくなるいま。
いいライバルを持つことは自分を奮起させることだと、ハントとの会話を交わす場面にて、最後の1日のように毎日を過ごすという真似は出来ないかもしれないが、今回は、世界の元F-1チャンピォン、ニキ・ラウダに闘志を分けてもらい、心から感謝するばかりだ・・・。


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