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 悲しみに押しつぶされそうなときは、ひとりで外を歩く、これに限ります。どれだけの痛みを抱えていても、人は案外、ひとりで立って歩けるもので、冬の景色を「綺麗だなあ」と思うことだって簡単にできる。なんだ、全然平気じゃないかと強がるために、自分の足で外に出るのです。歩くときは必ず、音楽を聴きましょう。ただし、誰かのせいで聴くようになったものではいけません。わたしがまだ、ちゃんとわたしだった頃に、若さを振りかざして好きだと思えた音楽を、思う存分聴きましょう。それしかわたしを救えない。その窮屈さを、手放しに楽しみましょう。生きるとは、人と出会い、世界を広げ、逃げる場所を失っていくことです。それを幸せと呼べるかは、きっと死ぬときにわかる。今、この世界に生きている人には、わかりやしないのです。本当は、わたしにまつわる全てのことを、誰かのせいにしたかった。それに気付くまでに、随分と時間がかかってしまいました。だけど、それがわかっただけで、前ほど痛くはなくなったような気がするのです。傷口から赤い血が流れるのを、悲しみの隣で、ただ黙って眺める。それでも鼻歌を歌って、歩いていけるのでしょう。結局わたしはこれからも、ひとりきりでは生きられないし、だからこそひとりきりでも平気だと強がることが、わたし自身をかたどる。いびつで、不器用な、わたしのふち。


#日記

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