見出し画像

乱世

鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府、武家政権登場前の朝廷にだって、派閥はあったろうし、現在でいう与党も野党もいて、それなりに与野党逆転を繰り返していたわけです。

でもね。状況を好転させることはできなかった。

現状の体制については肯定的に考えて、少し修正を加えるだけで「まだいける」と思うなら、政権や首長さんを替えればいいが、役所全体が時代に即しておらず、しかも腐っている。有権者の大多数も食うや食わずになっても声を上げない…ともなれば、「〇〇の改革」では済まず、やがては「討幕」に至る、それで鎌倉時代は終わり室町時代になる。つまり、外の勢力に倒幕されて、やっと、少しは世の中が良くなる方向が見えてくる。

平清盛たちも「錢」を以って新興勢力たり得て「武士の時代」を創始した。

戦国時代。「銭の運用」の巧みさと、それ以上に、上位層から無視されてきた「庶民」の暮らしを楽にして戦国大名は戦国大名たり得た。

で。彼らは既得権者から見れば、思いっきり外部勢力です。

現状もそんな感じかな、と。だって立民さんの政権になっても、共産党さんの政権になっても「日本を今一度せんたくいたし申候」ということが起こりそうな気配はない。彼らは外部勢力じゃなくて、これまでの秩序の中の反主流派です。

心配なのは、こういう状況にも、外部にはっきりとした討幕勢力が現れず、ずるずる沈むだけ沈むというパターンでいっちゃうことです。状況は切迫しているわけだから、各地に「私立の権力」が立ち上がって群雄割拠。つまり戦国時代が治っていくのではなく、これから戦国時代という…それがね。

戦国時代には、乳幼児の死亡率も低くて、成人男子の平均寿命が30代くらい。すでにフィジカルに生きるのが辛かった時代です。泥棒どころか、人取り、人買いも横行しているわけですから、心の面でもストレスフルでないわけはありませんでした。

いわゆる「乱世」です。

蛇口を撚れば水は出るし、トイレは水洗、週に何度か以上はゴミの回収にも来てくれる。こういう時代しか知らない僕らにはキツイでしょうね。

でも、そういう僕らだからこそ「乱世の暮らし」にリアリティがなくてね。もちろん暮らし方のノウハウも持ち合わせてはいない。

「乱世」のリアリティだけは日毎日毎に積み上がって行ってるんですがね。僕らには「乱世」のリアリティがないんです。