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minority

僕はZoomもほとんど使わない。あまり機能的ではないと持っている。
こちらの時間も相手の時間も縛るし、表情は読み取りにくいから結局は、乾いた言語か画像のやりとりになる。だったら、メールとPDFで充分だ。この方が相手の時間を縛ることもない。

ただ、これも、実のある段取りに限ってのことなのかもしれない。質的に開催の意味があるかどうかはわからないが、組織の運営上行われる儀式のような「会議」にはZoomも重宝されているううだ。

(同じ空間に集まる必要がなくなるだけで、利便性の工場なんだろう)

でもね。

集団生産必須の時代が終わる。集団生産が効率性で「個人」に負けるようになる。ひょっとすると弥生時代以来の大変革期だ。

「個人とChatGPT」が「金融経済」に働いたら、工場をつくって集団を使役して「ものづくり」で稼ぐの、その稼ぎ高を一瞬にして凌駕する。
「ものづくり」の分野でも、3、000人の規模だった工場を3台のロボットに置き換え、今は数人の員数で管理しているという。そういう実例がすでにある。ある地方自治体が、就業の場が増えるだろうと、宅配ビジネスの物流拠点を誘致したら、仕分けを含め、ほとんど「無人」だったという笑えない話もある。全長400mにもなる大型コンテナ船でも、今の乗組員はわずか20~24人程度。それで安全に公開している。

たぶん集団的に仕事をするにしても数千、数万の規模ではなく、これからは、10名以下のチームの規模が主流となるのだろう。

こんな状況だから、「マニュアルを憶えて慣れて、みんなで働く」という、そういう就業者が急速に「立つ瀬」を無くしはじめている。たぶん彼らが就業者のmajorityなんだけど。

「選択肢が与えられる」まで待ってる、「指示待ち」の働き方は近く終わりになる。人間の手元に残されるのは「選択肢を創る」という仕事だけだ。

監督の指導もと、鍛え上げられた高校球児たちのアマチュア野球の美学から、プロフェッショナル中のプロフェッショナルに拠るメジャー・リーグの野球へ。集団力ではなく、ひとりひとりの選手の時代。「アマチュアでもいいよ」から、本格的なプロフェッショナルの時代へ。

そうした変化が秒速だ。

大きな工場の工員に潜り込むより、一人親方でも一端の技能職である方がはるかに安心できる時代になっていく時代でもある。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と「多数で空気を醸成して押し切る」という感じも効かなくなる。ジャニさんの会見で、拍手した記者さんたちの方が白い目で見られる…なんていうのはそうした変化のイントロだ。

様変わりだ。アラ還の僕が見聞きしたことがない世界だ。
僕らは、終身雇用を前提に、いいところに就職するために、高校・大学へ進学する。そういうことが「当たり前」だった世代だ。たいていの親もそう思っていたはずだ。

(でも、これからの大学は就職のための進学先ではなく、自分の専門性を高めるための研究機関だ。だから「早慶上智」や「MARCH」などといった大学ブランドとして偏差値で評価される時代も終わる)

でも、あらかじめ「次の時代」の人はいたんだ。変わり者っていうか、変態っていうか。そこまでやるの、っていう人が。

(時代って、そんなもんだ)

もちろん、そんな人、マイノリティ(少数派)に決まってる。
有意水準(5%)以下か、べき分布っぽくいえば、ダントツの3人(100人のうちの)だけかもしれない。

(そういえば、とある技能の親方が、まとも食っていけるようになるまで続けるやつは100人に3人くらいかなって言ってた。補完してくれるシステムがなく、個人力でいくしかない就業って、そんなもんなのかもしれない)

僕らは、できるだけ「楽ちん」で支払ってもらう人件費は「より高く」、購入する物品などは「よりよいモノ」を「より安く」と要望を出してきた。考えてみれば、ずいぶん無理な話だ。
企業だって、来年度はさらに利益を上げ続け、国の経済は成長を続けるんだとやってきた。
そうやってきたら人件費が重荷になって、AIかとロボット化による無人化が進展した。

もう準備は整ってしまっている。世間のみんながそういう状況を整えてきてしまった。

近く、majorityの就業者に「山体崩壊」が起こるのだろう。引き金となるような地震動や噴火、深層風化などは、もう、あっちこっちで起こっている。

時間の問題だ。
もうすぐ、コペルニクス的転回な大変化、ポール・シフトが起こる。

(それなのに、公共政策も役所に「丸投げ」だったんで、セイフティ・ネットなんてないも同然だ)

まるでレコード盤を地方に疎開させ、「非国民」のレッテルを貼られることを恐れながら、手元に残した数枚のレコードを布団をかぶって聞いていたジャズ喫茶のオーナーに、間も無く「戦後」が訪れるように。

ただただ、minorityは少数のまま、majorになっていく。