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敗れて悔しいが後悔はない 第12節 岐阜対鹿児島

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん
こんにちは、仙太郎です。

https://youtu.be/aznHsiXX_jk

岐阜は監督交代後負けなし、直近4試合を2勝2分けの負けなし、7得点2失点と上り調子です。そんな岐阜と鹿児島はアウェーで戦いました。鹿児島も直近4試合で10得点1失点と4連勝中。今、J3で最も調子のいいクラブ同士の対決となり、なかなか厳しい戦いになると予想して、そして実際その通りの試合展開になりました。それでは、岐阜戦を分析します!

鹿児島の先発メンバーには、右SBに星選手が戻ってきました。それ以外はいつものメンバーです。そして岐阜には柏木、宇賀神の元日本代表を含む豪華なメンバーが並びます。

ビルドアップは両チームとも、DFラインからショートパスをつなぎながら前進するスタイル。岐阜は3人で数的有利を作ります。岐阜はこの三人以外は鹿児島の中盤のラインの裏でボールを受けるポジションを取っていました。

鹿児島はCB二人の時ともう一人下がって来て三人でビルドアップをするときがありました。鹿児島は岐阜の中盤のラインの前に降りてくる選手が多く、岐阜の中盤の守備ラインの裏でパスを受ける選手がロメロ・フランク選手だけになり、結果的にサイドからしかボールが前進できず、フィニッシュのパターンが少なくなりました。

両チームとも、ボールをインターセプトされてカウンターされるのを警戒して、なかなかボールを前進させることができません。ただ岐阜は時々、鋭い縦パスを入れて鹿児島を苦しめていました。こういう鋭い縦パスをいれてくるチームは、今シーズンこれまでなかったので、岐阜の能力の高さを表していました。また鹿児島のパスを奪って、そこからショートカウンターの場面も序盤に見られていて、序盤は岐阜が優勢な状況でした。

岐阜は浮き球を利用して、鹿児島のラインの裏を積極的に狙ってきました。鹿児島も同じように浮き球で裏を狙うのですが、この浮き球のパスのクオリティは岐阜の方がよく、裏をついて一気にチャンスになる回数も多かったですし、鹿児島が跳ね返しても、岐阜の選手が鹿児島の中盤のラインの後ろにいることも多く、岐阜がボールを回収できる場面が多くなりました。

このDFラインの裏に出されるボールを白坂選手が拾えればいいのですが、ポジションが低いのでなかなか前に出られないということもありました。一度前半5分にPAを飛び出して裏へのボールを処理しようとしたのですが、コントロールをミスして相手ボールになり、ピンチになったからなのでしょうか、その後は前に出なくなりました。ただこの時はピンチになったのですが、このプレーを続けて欲しいと思いました。当然前に出ればミスをして失点する場面も出てくるかと思いますが、高いDFラインを取る鹿児島としては、裏の広いスペースをGKが守ってくれれば思い切ってラインを上げることもできるので、ミスを恐れることなく積極的に前に出て欲しいと思います。

鹿児島の浮き球のパスは、岐阜からプレスを掛けられて出すときが多く、なかなかいいボールを供給できていませんでした。一度広瀬選手からの浮き球で有田選手が裏に抜け出し、中へ折り返したボールに星選手が詰める場面はありましたが。

守備の場面では、両チームとも基本ワントップがプレスを掛けつつも、時々二列目から飛び出して二人でプレスを掛けます。岐阜は中盤の横のスライドも速く、前への飛び出しも鋭く、鹿児島のCB間の横パスのスピードが遅いこともあり、なかなか縦のパスコースが空きません。

このように鹿児島と岐阜はビルドアップから守備まで非常に似通った戦術でプレーしていましたが、岐阜の方が少しだけ洗練されていたように見えました。

いつもは優位に立てる有田選手や米澤選手もなかなかいい形でシュートをすることができませんでした。特に米澤選手のスピードは脅威になるはずなのですが、封じ込められましたね。

岐阜の柏木選手と宇賀神選手はさすがのプレーを見せてくれました。また10番の庄司選手もいいボールを供給していました。この三人は岐阜の3得点に絡む活躍を見せてくれました。

正直、試合中に岐阜は強いなと今シーズン初めて思いましたし、これは負けるかもしれないなとも思いました。ただ同点に追いついたので鹿児島としてはアウェーなので、引き分けでも良かったのですが、最後は宇賀神選手のゴラッソにやられてしまいました。

後半30分の同点の場面で、攻撃の二枚看板(有田、米澤)を交代させたのも驚きました。交代した圓藤選手も山本選手もシュートチャンスはあったので決めていればよかったのですが。かなり暑いコンディションだったので疲労も考えての交代だったのかもしれません。

ただ同点のチャンスも幾度もあったので、まったく歯が立たなかったわけではありません。でも痛い敗戦となりました。現在、もっとも調子のいいチーム同士らしいレベルの高い試合になりました。それだけに負けたのは悔しいですよね。負けたとはいえ、鹿児島はゴールキックからショートパスをつないでビルドアップを試みていて、その点は良かったと思います。

先週の課題だったカウンター攻撃については、まだ解決できていませんでした。何回かカウンターからのチャンスがあったのですが、先週同様得点には結びつけられませんでした。特に上記の図は74分の鹿児島のカウンターの場面で、4対3で鹿児島が数的有利な状況でしたが得点になりませんでした。

74分の鹿児島のカウンターの場面。幅が取れてなくてシュートできず

ではどうして得点にならなかったのでしょうか。この時鹿児島は4人いるのですが横幅が狭く、相手は同じスペースを3人で守れています。できれば右の薩川選手と左にいる有田選手は赤の点線の位置にいて相手を広げて欲しかった。相手が来なければボールを受けてそのままシュートできるポジションにいると最悪シュートまではいけたと思います。相手が広がれば赤点線矢印のようにスルーパスを通して一気に裏をつくこともできます。

では得点と失点シーンを振り返りましょう。

庄司選手の見事なシュート。このコースしかないシュートでサイドネットに突き刺さりました。これはさすがの白坂選手も反応できず

最初の失点のシーンは、後半の61分。まず宇賀神選手のロングスローから薩川選手のクリアミスがあり、ボールが上に上がってしまいました。そしてその後、岡本選手がヘディングでクリアしようとしましたが遠くに飛びません。この時はロメロ・フランク選手の所へボールが行き、ロメロ・フランク選手もヘディングクリアしますが、これも遠くに飛びません。ただこれは上から来たボールなので遠くに飛ばないのはしかたないと思います。問題はヘディングのクリアがゴール正面に行ったことです。ゴール正面にボールが行くと当然、失点の確率は高くなります。できればこのヘディングでクリアするとき、サイドへボールが行けば失点する確率は小さくなったと思います。

ただこのクリアミスを柏木選手がダイレクトで鹿児島のラインの裏に浮き球で入れてきたボールの質は高かったですね。岐阜の選手に当たったボールを岐阜の選手が拾う不運はありましたが、庄司選手のシュートもこのライン一本しかないコースを通ってサイドネットに突き刺さったので、このシュートも見事としか言いようがありません。これはさすがの白坂選手も反応できませんでした。

米澤選手の常軌を逸した体の後ろにパス。岐阜は意表を突かれて反応が遅くなりました。

鹿児島の同点弾は後半70分。薩川選手が自分で局面を打開しようとドリブルで突破を仕掛けながら前線にパスをします。それを受けるロメロ・フランク選手が潰されますが、そのボールを米澤選手がゴールに背を向けながら右足のアウトサイドで裏のスペースにパス。そこへ走り込んできた薩川選手がシュートしたボールが相手選手に当たり、ドライブがかかってそのままゴールに吸い込まれて同点となります。

これはなかなか局面が打開できない状態の時に、薩川選手が勇気を持ってドリブルを仕掛けたこと、米澤選手が体の向きとは逆方向へパスしたので、相手DFが予測できずに、薩川選手への寄せが遅くなったことが得点の要因となりました。

ボールに寄せられず、相手をスピードダウンさせられていない。右サイドから上がってきた岐阜の選手にプレッシャーを掛けられずにセンタリングされたのが失点の原因。

この時、鹿児島の選手が三人全員下がってしまっている。できれば一人はボールへ近づいて欲しかった。結果的に右サイドが上がってきた選手にセンタリングをあげられて失点。

これで時間的に引き分けも考え始めた後半38分に、岐阜の決勝点が入ります。このきっかけは繰り返されていた浮き球のパスからです。この時、鹿児島の左サイドでボールが行き来していて、鹿児島の選手は左サイドに寄っていました。その時、左サイドからファーポストにセンタリングが出されて、鹿児島の選手がゴール前にほとんどいない状況となり、岐阜はそのスペースに三人がいて、最後は後ろから走り込んできた宇賀神選手がダイレクトボレーで鹿児島のゴールに得点をたたき込みました。

ゴール前で3対1になっている。これでは守りきれません。でも白坂選手は準備完了。惜しくも防ぐことはできませんでしたが、見事なプレーでした。

ただこの時も白坂選手は手に当てているんですよね。これは反応するのがとても難しいシュートなので失点したとはいえ、さすが白坂選手でした。今日の二失点に関してはGKの責任はないと思います。

それにしてもJ3とは思えないレベルの高い試合でした。岐阜は攻撃も守備も組織的で、これまで対戦したチームより戦術的に洗練されていて、レベルが違う感じです。最近鹿児島戦も含むと5戦3勝2分けなのも理解できます。今の順位は低いですけど、今後順位を上げてきて昇格争いのライバルになる予感がします。

上位8位までは直近5試合で1敗のチームが並びます。つまり上位と下位の差が開き、上位同士の順位争いは非常に厳しくなっています。

この試合は負けて悔しいのですが、鹿児島は決してロングボールに逃げずに、勇気を持ってショートパスをつないでビルドアップを試みていました。この点については負けたとはいえ誇らしい気分です。ボールを蹴って逃げるのは簡単ですが、それでは勝っても負けても得る物はありませんからね。

試合の敗戦自体はしかたないと思います。試合をやれば勝つときもあれば負けるときもあります。問題は負けた次の試合です。鹿児島は前回の敗戦後、4連勝で首位に駆け上がりました。次のYS横浜戦がとても重要な試合になります。

それでは次のYS横浜戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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