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大きな山を越えたが、まだまだ山は続くよね 第15節 北九州対鹿児島

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。先週は愛媛にシーズン初の無得点で完敗した鹿児島。ここ3試合1勝2敗と今シーズン一番厳しい状況の続く鹿児島ですが、今週は負けられない試合をアウェーで北九州と戦います。

https://youtu.be/xpEFoia_raw

いや〜、しんどい試合でした。今年一番厳しい試合でした。ここまで北九州に苦しめられるとは思いませんでした。特に前半の鹿児島はいいところがまったく出せず、後半も途中までよくなくて、これは負けるかもと思い始めたところ、選手交代から一気に流れが変わりました。それでは試合を振り返りましょう。

先発メンバーはトップ下に牛之濱選手、CBに井原選手、右SBに渡邊選手が入りました。ここまで比較的メンバー固定で戦ってきた鹿児島としては3人も先発メンバーを入れ替えてきました。ロメロ・フランク選手と広瀬選手はベンチからも外れています。3人とも疲労回復のため、先発を外れたのだと思います。ただ正直、トップ下が圓道選手ではなく牛之濱選手だったのには、少し意外でしたね。

とにかく前半の前半は北九州のいいところしかない流れでした。三点位取られていてもおかしくない状況だったのですが、そこは白坂選手のスーパーセーブ連発で凌ぎます。

前半8分のシーン。ゴール前には中原選手と北九州のFW高澤選手が1対1の場面。どう考えてもヘディング勝負では勝てません。ニアサイドに四人いますが浮き球が頭を越されたら厳しいので、渡邊選手はもう少しゴール前にポジションしたいところです

まずは前半8分、北九州 10番 高澤選手のヘディングをパンチングで防ぎます。これもギリギリのプレーでした。16分のCKからのスーパーセーブも見事でしたね。これで二点防いでいます。また19分には北九州のシュートがバーを叩きます。これも白坂選手のポジショニングがいいからですね。とここまで決定的なピンチを3回も防いだ白坂選手、さすがです。

ただ同時にビルドアップ時には白坂選手の役割には少し疑問が残ります。北九州はツートップ+サイドハーフの4人でプレスを掛けて鹿児島のビルドアップを妨害します。なので木村選手が下がって来てビルドアップに参加するのですが、これでもまだ3対4で数的不利です。これではビルドアップがうまくいくわけはありません。

本来なら白坂選手もビルドアップに加わって、浮き球でこのプレスを掛けてくる北九州の4人を置いてきぼりにしたいのですが、残念ながら白坂選手のビルドアップ能力は高くないので、トライはしますがパスがつながりません。

なので必然的にロングボールに頼るのですが、北九州の方がヘディング強く、中盤の選手が戻っているので、そのボールを拾われてボールロストする回数が増えてきます。

逆に北九州のロングボールは10番 高澤選手が納めてボールが前進することが多かったです。なのでロングボールは蹴っても蹴られても北九州ボールになることが多く鹿児島はできればロングボールを蹴りたくはないのですが、数的不利な状況でボールを奪われて失点するのも怖いので、蹴るしかない悪循環に陥ってしまいました。

また北九州は鹿児島がボールを前進させたときも、きちんとプレスバックするし、攻撃時は幅も取れているし、サイドチェンジも織り交ぜるし、鹿児島は手も足も出ませんでしたね。

このように前半の前半は完全に北九州のペースで動きます。前半の後半には鹿児島も北九州の攻撃にも慣れてきました。ただ鹿児島の攻撃は相手のミス絡みで、自分達で崩していくことができませんでした。

鹿児島の選手が追いかけていたので、渡邊選手は裏に抜ける北九州の選手についていきたかった。

ところが0-0でいいかと考えた、前半終了間際に鹿児島は失点します。ロスタイムの北九州のカウンターの場面、相手がボールをドリブルで鹿児島の右サイドに持ち込んできました。この時、SBの渡邊選手が裏に抜けようとする北九州の選手についていって欲しかったのですが、ボールホルダーに寄せようとしたために裏にパスを出されて完全にフリーでボールを持たれます。

井原選手のカバーが遅くなり、渡邊選手は中にカバーに入るが、そこには北九州の選手はいない

この時、CBの井原選手のカバーが遅くなり、完全にフリーでセンタリングします。中では北九州の10番 高澤選手が岡本選手の前でヘディングして、失点したと思いましたが、ここでも白坂選手がスーパーセーブを見せてはじき出します。ただこのこぼれ球が北九州の29番 藤川選手のところに転がり、押し込まれてしまいます。ただ藤川選手のポジションは完全なオフサイドだったのですが、得点は認められてしまいます。

青い点線がオフサイドライン。ヘディングしたときにはオフサイドポジションにいることがわかる。線審もいいポジションで見てるんですが、一瞬の判断なので簡単ではないジャッジだったことは認めます

以前も指摘しましたが渡邊選手は本職がSBでないこともあり、スピードはありません。だから一度このように裏を取られると追いつけません。ただ星選手をずっと出すわけもいかないので、これは厳しい選択となります。

ここまでは、やはり広瀬選手と圓道選手の不在が痛かったです。井原選手が悪いというわけではないのですが、広瀬選手のプレービジョンの確かさと技術は素晴らしいですからね。ビルドアップの際には欠かせません。

また牛之濱選手もトップ下のポジションだと、苦しそうですよね。やはりサイドの方が活きるのではと思います。ただ牛之濱選手は昨年一年間怪我で休んでいて、いきなり昨年とは違うレベルの高い中でプレーして慣れるのに苦労している感じです。ほとんどが途中出場が多いですしね。トップ下はやはり圓道選手の方が適切かと思います。

後半に入り鹿児島も修正できてきて徐々にチャンスを作り始めます。後半47分は有田選手からのスルーパスから米澤選手。同じく57分には有田→米澤→薩川からセンタリングして、最後五領選手がシュート寸前まで行き、初めて北九州を崩せました。

そして64分に圓道選手、73分に山本選手、星選手が投入されて流れが大きく変わります。

星選手がスピードダウンして味方が上がる時間を作り、相手選手を二人引きつけて裏のスペースに走り込んだ山本選手にパス

75分に北九州のフリーキックから鹿児島のカウンターです。この攻撃の起点は交代出場した山本選手でした。相手ボールを奪った山本選手は右サイドを駆け上がる星選手にパス。星選手が一度ためを作って、山本選手が裏のスペースに走り込む時間を作りパス。北九州がすぐにマークに来ますが、山本選手はそれをかわして中にセンタリングして米澤選手が押し込みます。

山本選手がドリブルで仕掛けたことで、北九州の選手がボールに三人寄っているが、ゴール前は鹿児島の3対2の数的有利な状況

この少し前、後半73分に牛之濱選手と交代で入った山本選手でしたが、直後にPAの外から中に切り込んで左足でシュートしていました。当然、北九州はそれを覚えていますから、中のスペースを消しに来ます。その逆を取って縦に突破してのセンタリングは見事でした。これは半分山本選手のゴールと言えますよね。

そして今度はその4分後の後半79分に鹿児島のフリーキックから同点に追いつきます。左サイドから木村選手のフリーキックだったのですが、これは完全にデザインされたプレーだと思います。

まず木村選手はニアにカーブのかかったボールを蹴ります。この時、鹿児島の選手はゴール方向へ走ります。当然、北九州の選手もラインを下げます。北九州はゾーンで守っていました。この時、一番ニアには米澤選手がいて、その後ろに有田選手がいます。本来なら米澤選手もゴール前に走るはずなのですが、走りません。その時、本来ニアのスペースを守るべき北九州の選手は止まっていた米澤選手に当たり、その選手が本来守らなければならないニアのスペースが空きました。そこで後ろにいた有田選手がフリーでヘディングシュートして、相手GKが全く動けずでした。

見えづらいのですが、黄色丸点線内で米澤選手が相手選手をブロック。その後ろにいる有田選手へのパスコースが開けている。

これはデザインされたプレーだと思うのですが、有田選手のヘディングは少し戻りながらだったので難易度高いヘディングでした。よって有田選手が個人技で取った得点と言ってもいいかもしれません。有田選手は本当にヘディングの技術が高いですね。

ただここではこのフリーキックにつながった攻撃の場面の振り返りたいと思います。鹿児島のカウンターで圓道選手がボールを持ち上がります。この時、北九州の選手が追いついてプレッシャーを与えるのですが、技術に自信のある圓藤選手はパスを出さずに、そのままボールを運びます。そして相手SBと薩川選手と2対1の状況を作ってから薩川選手にパスをします。このパス自体は相手SBのスライディングに防がれますが、このボール拾った圓藤選手はフリーの中原選手にパスをします。

この時、中原選手は広いスペースでボールを受け、それを慌てた北九州が急いでプレスを掛けようとするのですが、中原選手は冷静に相手の股を抜いてかわしたところをファールで止められてからのフリーキックになりました。

圓道選手がドリブルでボールを持ち上がり、北九州の選手が後ろから追ってくる場面。普通はここで黄色点線へパスを出す選手が多い。だが圓道選手はドリブルで赤点線へ進み、相手SBと1対2の数的有利な状況を作り決勝点に貢献。圓藤選手すごいです

この時、注意してもらいたいのは圓道選手がボールを持ってプレスを掛けられたときなのですが、普通の選手はこの時SBの薩川選手にパスをだします。ただこのタイミングでパスを出しても薩川選手が1対1で仕掛けるしかないので、これ以上相手を押し込むのは難しかったでしょう。しかし圓道選手が最初のタイミングでパスを出さずにそのままドリブルで持ち上がってパスをしたので、相手のDFラインは下がります。

赤丸点線には大きなスペースがあり、中原選手がボールを受けようとしている。このスペースを作ったのは圓道選手のプレーが大きい

そして下がればその前にはスペースができます。そのスペースでボールを受けた中原選手がパスを受けてファールをもらいました。だからこのフリーキックは中原選手が直接はもらいましたが、それには圓道選手の貢献が大きかったことを指摘したいと思います。

正直言うと、この圓藤選手は金の卵だと思います。鹿児島は、すごい選手を取りましたね。今後が楽しみです。

こうして僅か4分の間に一気に鹿児島が逆転して、これで勝ったと思いきや、北九州の反撃に慌てます。特に後半88分、PAの外からミドルシュートを打つと見せかけてラインの裏に浮き球のパスを出されて、それをトラップして振り向きざま打たれたシュートは完全に枠に飛んでいましたが、なんと白坂選手が神セーブ。北九州サポの前で、彼らを絶望させるすごいセーブでした。白坂選手まじ神です。

さらに83分にはPA内で鹿児島がファールを取られてもおかしくないプレーもありましたが、笛は吹かれず。鹿児島はなんとか逃げ切りに成功しました。

なんと途中出場した圓道、星、山本選手が得点に絡んでの逆転勝利。本当に途中までは鹿児島の良さがまったくでない展開だったので、厳しかったですね。いつもは余裕でゴール後のセレブレーションをやる有田選手がセレブレーションを忘れるくらい苦しい試合でした。試合終了後に岡本選手も叫んでいましたよね。

先週リードされているときに有田選手を残すのと、試合終盤にウェズレー選手投入を提案をさせていただきましたがこの試合ではふたつとも活かされていましたね。何度も言いますが大嶽監督はこれを見ていないとは思いますけどねww。

有田選手を残すのは決定力もあり、ヘディングも強いのもあるのですが、得点を取るだけでなく、味方に得点を取らせるプレーも得意なのもあります。この試合でも有田選手が絡んでチャンスになったのが三回はありました。そういう意味でも有田選手は貴重な存在です。

そして85分から投入されたウェズレー選手も短いながらもいい仕事していましたね。とにかくウェズレー選手はヘディング強い。彼がヘディング競って負けることはほとんどないですよね。この試合でもヘディングで貢献していました。一度などはあまりにもウェズレー選手のヘディングが強すぎて、相手GKまで届いたこともありました。ウェズレー選手、ヘディング強すぎ。リードして押し込まれる状況であれば、スピード不足も問題にはならないですよね。負けていれば相手ゴール前のターゲットとしての投入も期待できます。

鹿児島の課題としては、先日も指摘しましたサイドを攻撃されるとそのサイドに鹿児島の選手が集まりすぎて、肝心のゴール前に誰もいない状態になることが多いです。前半8分のヘディングシュートもゴール前は中原選手と相手FWの高澤選手という組み合わせで、どう考えても中原選手がヘディング争って勝てる相手ではありません。

失点シーンもサイドからの攻撃でした。正直ここ数戦の対戦相手の戦い方を見ると、首位の鹿児島を徹底的に研究して臨んで来ていると思います。鹿児島は攻撃時に両サイドバックが上がるので、どうしてもボールロストからのカウンター時にこのサイドバックの裏のスペースを狙われてしまいます。なので最近の失点シーンはこのサイドからの攻撃プラスファーサイドへのセンタリングというパターンができあがっています。

あとは白坂選手のビルドアップです。研究されてくるとここまであまり目立たなかった白坂選手をいかにビルドアップに組み込むかが真剣に問われてくると思われます。そうしないと鹿児島は1人少ない状態でプレーするようなものですからね。

今日の北九州見ると、このあとのチームは前から人数掛けてプレスを掛けてくると思われます。これをはがす方策を考えておかないと、これからも厳しい戦いが続きます。

相手チームがマンツーマンで前からプレスを掛けてきても、GKは必ず空きます。だからこそショートパスをつないでビルドアップするならば、GKの戦術理解力と技術が必要になります。そして鹿児島はロングボールを蹴ってヘディングで勝てる選手は多くはありません。逆に足下の技術がある選手は多いので、何度も言いますがロングボールに逃げるのではなく、勇気を持ってボールを繋いでいただきたいと思います。

ただこれだけ苦しい試合を逆転で勝てたのは大きいです。正直、見ていて負けも覚悟するほど苦しい試合でした。ただこれが最後の山でもないですし、もうすぐ後半戦が始まりますので首位の鹿児島は対戦相手のターゲットにされ、研究されて苦しい戦いが続くでしょう。

一時は移籍ウィンドウでの補強はいらないかと思っていましたが、少し補強した方がいいかもですね。

それでは次はホームでの福島戦です。首位の鹿児島には全力で立ち向かってくるでしょう。こちらも苦しいゲームになりそうな予感です。

それでは次の福島戦でお会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

試合を見直しても、しんどい試合でした。ふー

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