すれちがい #15分note
ある一定の距離を超えて近づくと、
「にゃー」
とひと鳴きする。
ん?どした?と声をかけると、踵を返して歩き出す。
少し距離が広がるとこちらに顔を向けて、
「にゃー」
と鳴く。
なに?どうしたの?とついていくと、
どこかへ導くように前を向いてまた歩き出す。
そうやっていつも連れていかれるのは自分のケージ。
「なに?カリカリがほしいの?」
「にゃー」
「まだたくさん入ってるじゃん。」
「にゃーー」
「わかった、なでてほしいんだね?」
「にゃーーー」
「ちがうの?いったいなに??」
「にゃー」
延々とそのやりとりを行うのが、キジシロの(義理の)弟猫との日常。
何かを伝えたいんだろうけどわからないんだよな、と人間は思う。
弟猫は、ひとしきりそんなやり取りをした後は、
十分満足したかのように毛繕いにいそしむ。
ひょっとして弟猫は、言いたいことは伝わったと思っているんだろうか。
コミュニケーションって、
意外にそんなすれ違いを抱えたままで成立してしまうことも多いのかもしれない。
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