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10才になった娘と、化粧ポーチ

人生ってほんと、先の事なんて何も分からない。
そう思う瞬間って、少なからず誰にでもあるんじゃないかと思います。

最近わが家では、長女が10才の誕生日を迎えました。

彼女が自分のプレゼントに選んだのは、化粧ポーチとメイクセット。

おいおい、化粧なんて、
さすがにまだ早くない?

そんな事を思いながらも、
友達の影響から、娘がファッションやメイクに興味を持ち始めていた事にも気づいていました。

背伸びをしたくなる年頃なんだと思うけれど、プレゼントに欲しがるまでとは思ってなかったよ。

パパの正直な気持ちはそんなところだけど、欲しがる気持ちも理解は出来る。

去年なんかは、YouTubeで見て「欲しい!」と言っていた謎の外国製のぬいぐるみが彼女の誕生日プレゼントだったというのに…。

まるで階段飛ばしの様な娘の成長に、些か戸惑いながらも、家族でプレゼントを買いに週末のお出かけ。

化粧の事などこれっぽっちも分からないので、全てをママに委ねると、娘のプレゼントは3COINSで化粧ポーチとその中身を揃える事に落ち着きました。

家に帰り、これでひと段落。

そう思っていたら妻が娘に一言、

「はい、これ貸してあげる。これは昔パパから貰った化粧筆だよ。」

それは本格的な化粧筆。
結婚以前に、僕が妻へ贈った熊野筆でした。

うわ〜!と目を輝かせながら、
娘はその化粧筆を受け取ると、今日手にした自分の化粧ポーチへと仕舞って満足そうな顔。

これにはちょっとね、
パパは心を揺さぶられてしまいました。

だってこんな瞬間が訪れるなんて、
妻に熊野筆を贈った当時の僕が想像なんて出来るはずないから。

10才になった娘と、化粧ポーチ。
そのポーチの中に、僕が妻に贈った化粧筆が入っている。

妻と娘と、ふたりにプレゼントを贈った様に見えて、僕の方が大切なプレゼントを貰った気持ちになる。

人生ってほんと、先の事なんて何も分からない。これから先の人生も、想像しなかった事に出会うのかなあ。

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