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橋下徹氏のツイートから考える日本学術会議の任命拒否問題の何が問題なのか

フォロワー260万人を超える橋下徹氏。連日メディアに露出して世論形成に大きな影響力を持つ著名人のひとりです。

そんな橋下徹氏が日本学術会議の問題について連日連夜ツイートを投稿しています。

大阪維新の会の顧問でもあり政治評論家である橋下徹氏がいったいなぜこの問題にこれほどの興味を持ち大量のツイートを発しているのか。

それでは早速みていきましょう。

橋下徹氏のツイート

橋下徹氏の主張

橋下徹氏は10月1日から12日までの期間で48件もの関連するツイートを投稿しています。

氏はこれほど大量のツイートを通していったい何を主張しているのか。

まず、菅首相に対しての主張です。問題の発端は菅首相の任命拒否という行為にあるにもかかわらず、一貫して何も問題はないということを主張しています。いっぽうで、歴代首相はこの件で任命責任を果たしてこなかったと指摘します。

菅首相が日本学術会議の会員候補の任命を拒否したことは、違法でも違憲でもない。
菅首相は、任命拒否権を持っている。
(安倍元首相、菅首相以外の)歴代の首相は、会員候補について日本学術会議と事前調整を行わなかったので任命権者として責任を果たしてこなかった。

菅内閣に対しての主張です。国会の政府見解を内閣が国会を通さずに解釈を変更した、または無効だと判断しても良いというお考えのようです。

菅内閣は、任命拒否の理由を説明すべき。
菅内閣は、日本学術会議の意見のバランスをチェックできる。
菅内閣は、国会の政府見解を変えた、または間違っていたと言うべき。
菅内閣は、普通のおっちゃんおばちゃんの集まり。

氏の主張では会員候補を選択したのは内閣官房の官僚ということのようです。そのプロセスには問題があると指摘しています。

内閣官房の官僚たちは、明確な基準もなく会員候補105名のうち6名をリストから削除した。

国会やメディアに対しては、日本学術会議という組織を徹底的に追及・検証すべきというスタンスです。菅内閣に対する追及は不要というお考えのようです。

国会は、日本学術会議を徹底的に追及すべき。
メディアは、日本学術会議を徹底的に検証すべき。

日本学術会議に対しては、非常に問題意識をお持ちのようです。仮に事実でない内容が含まれる場合は名誉毀損で訴えられる程の強い口調で激しく問題提起をされています。

日本学術会議は、全国の学者に対して軍事研究を禁止するよう圧力をかけている。
日本学術会議は、学問の自由を侵害している。
日本学術会議は、会員候補の推薦プロセスや推薦理由を明らかにすべき。
日本学術会議は、一部の学者に気に入られた学者を会員候補にしている。
日本学術会議は、権威を重んじる団体で自分たちの意に沿わないメンバーに嫌がらせをする。
日本学術会議は、存在意義が明確ではない。
日本学術会議は、税金の使い道を決定できる。
日本学術会議は、軍事研究の禁止を決定できる。
日本学術会議は、世間の常識からかけ離れた事実を多く隠している。
日本学術会議は、年間10億円の団体運営補助金を受けている。
日本学術会議は、民主的統制が必要。
日本学術会議は、裁判所より独立性は低い。
日本学術会議は、自分たちは絶対に正しいんだ、偉いんだと思い込んでいる。
日本学術会議は、多くの国民から支持されていない。
日本学術会議は、中国共産党の組織形態とそっくり。
日本学術会議は、ほんの一握りの者が全体を代表していると錯覚している。
日本学術会議は、日本の大学をダメダメにしている。
日本学術会議は、文化功労者と学士院会員の特別終身年金の廃止よりも世の中の役に立つ提言を一つもおこなっていない。
日本学術会議は、当事者の学者や一部のインテリたちだけに意義があると思われている組織。
日本学術会議は、会員候補の選定に首相と事前協議をしなくてはならない。
日本学術会議は、政府へ介入している。

特に山極前会長に対しては強い主張をおこなっています。

山極前会長は、日本学術会議会員の任命拒否問題の戦犯。
山極前会長は、人事というものをまったく分かっていない。
山極前会長は、政治と闘っている。

そして、本件とは直接関係のない組織・団体についての主張です。任命拒否の問題とどのような関係性を持たせる意図があるのかは読み手に委ねられる内容です。

日本の大学は、ダメダメだ。
学者の世界は、権威が全てなので切磋琢磨の活力を奪い日本の大学をダメダメにしている。
人文系の学者は、自分は賢い一般国民はバカだと思っている。
文科大臣・首長は、国公立大学の学長の任命拒否権を持つ。
国公立大学の学長を任命することは、日本学術会議の会員を任命することと同じ構造。
法制審議会の少年部会は被害者代表が一人しか入っておらずバランスを著しく欠いている。
文科省は、前川喜平氏が次官だったのでダメ役所だ。
文科省と前川喜平氏は、最悪。
学士院の終身年金制は、時代遅れ。
文化功労者の終身年金制は、廃止すべき。
アメリカとイギリスの学者団体には税金が投入されていないが、仕事を発注する対価として税金が投入されている。
野党は、多くの国民から支持されていない。
弁護士会は、権威を重んじる団体で自分たちの意に沿わないメンバーに嫌がらせをする。
森友・加計学園・桜を見る会は、法的に問題ない。国民が不満を持っているが政府の説明が足りないだけ。
大阪は、各種団体について団体運営補助から事業補助に切り替えた。

まとめ

日本学術会議が会員候補105人を菅首相に推薦したにもかかわらず99人しか任命されなかったことは法律上の問題が疑われます。

その中で橋下徹氏が一貫して主張する内容は「菅首相に責任はない」というものです。

いっぽうで、日本学術会議という組織に対しては非常に多くの観点で問題提起をされています。

さらに、任命拒否という問題とは直接関係のない問題提起も数多くなされています。

問題の発端となった首相の任命拒否という行為にスポットライトを当てず、そこから派生する諸問題にフォーカスを当てている様子がうかがえます。

このことは多くのメディアで取り上げられている通り、論点を増やし、問題の焦点をぼかす効果を生んでいることは事実だと思います。

法律を知らない人が橋下徹氏のツイートを読むと、「日本学術会議は学問の世界に悪影響を与える組織で菅首相の行政改革を邪魔する価値のない存在だ」という印象を持つ方もいるかもしれません。

日本学術会議法や日本学術会議という組織に問題があるとするならば改善するよう議論をしていくべきだと思います。

しかしながら、首相による日本学術会議会員の任命拒否という行政機関のトップである人物による違法行為の疑いがある点について、しっかりとした議論で結論を導く必要があるのではないでしょうか。


法的な問題に関してはこちらの記事がわかりやすいです。


2020/10/12 文章の構成を変更。法的な視点は弁護士ほりさんの記事で包含されているため削除しました。

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