マイナンバーカード

 怒りというか,呆れというか,耐えきれずに久しぶりの投稿です。
 最近の報道で,マイナンバーカードと健康保険証の一体化を義務付けて健康保険証を廃止し,国民皆保険制度の下でマイナンバーカード所持を実質的に義務化させるとの話が出ている。こんなアホな話は聞いてあきれる。
 公的身分証明書として「運転免許証」「パスポート」「マイナンバーカード」「健康保険証」などがあるが,健康保険証以外はいずれも必要な人だけが所持,すなわち任意所持だが,国民皆保険制度の下,健康保険証だけが強制所持であり,ここに任意所持のマイナンバーカードを潜り込ませようという,本末転倒な状況が行われようとしている。
 そもそも,河野太郎デジタル担当大臣もデジタル庁の官僚も社会インフラのリスクマネージメントの「いろは」を分かってるのかといいたい。重要な社会インフラのリスクマネージメントに必要なのは「多重性」(バックアップ)と「多様性」(代替)で,これらは「利便性」(一体化)より優位でなければならない。即ち,単一イベント(機能喪失)で社会生活に多大な影響を与えることがあってはいけないのである。
 マイナンバーカードには健康保険証の他,今後,運転免許証も組み入れるとの話があり,一体化とIT利用で利便性が高まるとの謳い文句が報道であふれているが,ここで,マイナンバーカードを紛失や破損をしたら,保健医療が受けれない,車の運転ができないなど,マイナンバーとは関係のない社会生活に大きな支障をきたすことになる。すなわち,マイナンバーカードそののものは社会的に必須でないのに,一体化により,その機能喪失(紛失,破損等)の波及的影響で,必然的に普段の日常生活が送れなくなるという「とばっちり」(リスク)を食らうのである。このリスクを回避する(リスクマネージメント)ためには,
  多重性:即日再発行(ロスの短縮)
  多様性:各種証明書の併用(代替の維持)
が結局必要となり,故に,現行の運用が一番いいのである。
 そもそも,IT社会でのマイナンバー制度の一番重要な点は,
   マイナンバーカードを発行・所持させる
ことではなく
   マイナンバーと各種行政番号の紐づけ(情報の相互利用)
なのである。例えば,
   マイナンバーカードと健康保険証の一体化
ではなく
   マイナンバーと健康保険証番号の紐づけ(連携)
が重要で,この紐づけができれば,カードがなくても,双方の情報をネット上で相互利用できるのである。

 今回の件で,本当に日本のIT社会は世界から嘲笑されるということを,政府・デジタル庁はしっかり認識すべきである。いや,認識できるレベルでないからこういうことをしようとしてるのかもしれない。

追記:
 マイナンバーカードと健康保険証を一体化し,健康保険証を廃止した場合,新生児や幼児,また,外出が厳しい身体障がい者・要介護者などは,どうやってマイナンバーカードを作成するのか?任意所持のマイナンバーカードを更新できず(あるいは意図的に更新せず)失効したら,医療保険はうけれず,車の運転もできないのか?そういう「単純な」問題に対して,結局,併用することになるのではないかと勝手に思っている。  

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