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六期ゲゲゲの鬼太郎が好きだった

先月、第六期ゲゲゲの鬼太郎が最終回を迎えた。毎週楽しく見ていたので、喪失感がかなりある。ここで、備忘録的に好きだった回を振り返りながらまとめておこうと思う。

鬼太郎のキャラクター

鬼太郎のアニメは十年に一度くらいのペースで復活しているが、毎回設定が異なっていて、六期鬼太郎は今までで一番ダウナーなキャラ付けだと言われている。その鬼太郎のキャラクターの暗さがまず好みである。落ち着いた良いキャラクターだ。最後にはねずみ男にコミュ障とまで言われてしまっていた。
五期鬼太郎などはかなり感情豊かだったと記憶しているが、六期鬼太郎は淡々としている。その淡々としているところがギャグとしても有効で、57話「鮮血の貴公子ラ・セーヌ」では殺されても殺されても復活してくる鬼太郎に爆笑することになった。
また、9話「河童の働き方改革」で尻子玉を抜かれあらぬ顔をするシーンであるとか、38話「新春食人奇譚 火車」では乗っ取られ、39話「雪女純白恋愛白書」では寝不足、72話「妖怪いやみの色ボケ大作戦」では操られて発生したキャラ崩壊が、普段とのギャップで余計に面白かったと思う。
淡々としているようでいて、優しいことも良い。85話「巨人ダイダラボッチ」では、人間ゲストの話を無言で聞き流しているように見えて実はしっかり聞いていた鬼太郎のいい奴度が良かった。

ねこ姉さん

キャラクターの外見で大きく変わったのはねこ娘である。八頭身の美人さんだ。ただ、ねこ娘の萌え化とよく言われてるけど、五期のコスプレしまくっていて鬼太郎大好きねこ娘の方が萌え寄りなのでは?と個人的には思っている……。
五期ねこ娘が鬼太郎大好き過ぎて他のキャラに嫉妬気味だったり鬼太郎につれなくされて可哀想なシーンが多かったところが個人的にあんまり好きではなかったので、六期のねこ娘くらいのクーデレ具合はちょうどいい塩梅だったと思う。
そして、六期ねこ娘は、人間レギュラーである犬山まなに懐かれ、「ねこ姉さん」と呼ばれることに……!
事前情報で「犬」山まなと「ねこ」娘で、これは鬼太郎をめぐるライバルになるのか?と思わせておきながら、犬がねこに懐くという突然の百合的関係の構築!これは衝撃的だった。
ねこ娘はまなちゃんに対していいお姉さんぶりを発揮していき、30話「吸血鬼のハロウィンパーティー」では映画に付き合ってあげて、まなちゃんがねこ姉さんのコスプレをするという仲睦まじい様子が見られた。
そして、その関係が構築されてからの47話「赤子さらいの姑獲鳥」ラスト。幻覚を見せられたまなちゃんがねこ姉さんを攻撃してしまい、ねこ姉さんは消滅してしまった。この時に「あんたのせいじゃない……」とまなちゃんを気遣うねこ姉さんが本当にかっこよかった。

人間と妖怪の関係性

六期鬼太郎の各話の特徴として、「人間と妖怪の交流」が描かれていることが多かったように思う。
記憶にある四期や五期だと、人間キャラクターは妖怪を信じていなくて、辛うじて子どもだけがその脅威に気付いている……というような設定が定番だったように思うが、六期では大人ゲスト人間キャラクターと妖怪が鬼太郎の介入前から何らかの交流があったり、鬼太郎とは関係なく妖怪との交流を築くケースが目立った。
個人的に人間と人外の交流は好きなテーマなので、これも六期鬼太郎が好きなポイントである。(レギュラーの犬山まなちゃんは男女敵味方問わず妖怪ハーレムを築いているしね)

人間と妖怪のバッドエンド

六期鬼太郎はバッドエンド回も結構あるのだが、人間と妖怪の交流が引き裂かれてのバッドエンドだったりするので、逆にその関係性が引き立って、美しい。

六期鬼太郎で最も好きな回は6話「すねこすりの厄運」である。(今は録画機の故障で気軽に見れなくなったけど)何度も録画を見返しては泣いた。妖怪のすねこすりシロと、人間のマサエさんの関係が素晴らしい。(すねこすりが可愛すぎて鬼太郎のフィギュアセットを買った。今回のヘッダー画像)

家を出た息子と仲が良くないマサエさんは、猫のようなシロを可愛がっていた。しかし、シロは自分の意思に反して人の生気を吸って生きる妖怪だった。マサエさんの息子に依頼された鬼太郎が、シロにマサエさんから離れるように忠告する。シロは悩んだ末、マサエさんを襲うふりをして息子からの攻撃を受け、逃げるふりをして立ち去る――。というあらすじ。
シロがマサエさんを「かあちゃん」と呼んでいる疑似親子的な関係とか、巨大化したシロが、マサエさんを尻尾でくるむシーンとか、マサエさんもシロが演技してるって知ってるだろうけど息子の手前追えなかったのだろうなーと思わせるところとか、最高に良い。

83話「憎悪の連鎖妖怪ほうこう」では、妖怪に救われていた青年が良かれと思って感謝の気持ちでアップした写真が甚大な悲劇を生み、前述85話「巨人ダイダラボッチ」では妖怪に長年憧れを抱いていた大学教授が自らの手で妖怪にトドメを刺す。そのやるせなさが非常に良かった。

人間と妖怪のハッピーエンド

33話「狐の嫁入りと白山坊」が大好きだ。6話は作画も凄かったので六期の一位だけど、これは僅差で個人的二位。人外×人間の異類婚姻譚の成立! 大正義。五期のおちゃめな白山坊が好きなんだけどこの六期イケメン白山坊もかっこいい。
白山坊は自分の身を挺すほど人間のやよいが好きで、やよいも実は白山坊を好きだったということが分かるこの恋愛的ハッピーエンド!

※なお、別のところでも書いたが、この話は恋愛的にはハッピーエンドだが、父親視点にすると「一緒に暮らしている家族である大切な女性を、自分ではどうにもできない力で不幸にしてしまうことが分かったため、その女性を昔から想っていた別の男に託さざるを得なくなった」というストーリーになるため、6話のすねこすりと立場は同じ、表裏一体の話なのではないか、とも思っている。

41話「怪事! 化け草履の乱」は自分が捨てられたと思い込んでいた付喪神と持ち主の交流が描かれ、81話「熱血漫画家妖怪ひでり神」は漫画家を目指すひでり神と編集者の熱いタッグが見られる。前述の39話「雪女純白恋愛白書」も熱血男×雪女のカップルが可愛い。

人間のしたたかさ、愚かさ……

一方、55話「狒々のハラスメント地獄」88話「一反もめんの恋」では、人間が妖怪と交流しつつも、オチで別の妖怪、かわうそに乗り換えられるという捻ったラストが見られた。妖怪は妖怪でもお前じゃないエンド。
かわうそは五期の好きなキャラクターで、六期では出番が少なかったけど、おいしいところを持っていく奴になったなぁという印象。

妖怪ではなく、芸事芸術に取り憑かれてしまう人間を描いた話もある。40話「終極の譚歌さら小僧」の、ウケるために妖怪との約束を破るかどうかの瀬戸際をスリルたっぷりに描くラストは、ハラハラしてすごく心臓に悪かった。78話「六黒村の魍魎」は写真に取り憑かれて罪を犯した青年が登場するが、その恋人の青年への気持ちを思うと、切なくて良い。

最終回を迎えて

これまで鬼太郎をはじめとする妖怪と交流してきたまなちゃんが、鬼太郎に思い出を譲るという形で記憶を失った。さんざん妖怪と関わって来たまなちゃんが記憶を失うというラストは、まあ妥当なんじゃないかと思うが、それを「鬼太郎に譲った」というのが良かった。そして、鬼太郎を思い出したのが十年後であることも、十年周期で復活している鬼太郎のアニメそのものを暗示していて、良かった。
(少し気になることは、最終回付近になって総理が「妖怪が嫌い」という理由で鬼太郎を撃ったこと。人間と妖怪のさまざまな交流を描いてきた六期鬼太郎だが、ここで単純な「嫌い」とはどう向き合うのか? という新しい疑問が投げかけられたように感じる。もし六期鬼太郎に三年目があったら、ここを掘り下げるつもりだったんじゃないかな……? と、なんとなく思っている。)

全体を通して、ちょっと残念だったのは、まなちゃんの隣の家に住んでいる裕太くんが、4話でゲゲゲの森に迷い込んでおきながら、その後の出番が少なかったことだ。(初期設定でまなちゃんの弟だったのが変更されたことが関係している?)ゲストキャラクターもこれまでの鬼太郎と比べて、小学生以下の子どもがあまり出なかった気がする。
まあそれも些細なことで、ともかく二年間、鬼太郎を楽しめて良かった。

とりあえず、十年後にあるかもしれない七期に期待!


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