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【密教サウンド】ペイガンフォークならこのバンドがおすすめ!ヘイルン

皆さんはとんでもないバンドといって、どんな特徴を想像するだろうか。バンドメンバーがめちゃくちゃ多い、凄まじいBPMなど思い浮かべるとんでもなさはそれぞれだろう。

とんでもないという点では、このバンドはなかなかのものだろう。なにせ、楽器が人骨でできている。チベット密教の風習として、僧侶の骨を仏具に加工する文化がある。徳の高い僧侶の骨を使うことによって、その僧侶の力を引き継いだ仏具を作ろうという試みだ。

そんな神通力?が宿った楽器を使っているのが当バンドだ。罰が当たるぞ私も最初は思っていたが、骨のサウンドの心地良さを感じる。

カルシウムでできた骨特有の暖かさやが心地いい。よくよく考えると、骨には空洞があって音が反響する上、加工がしやすい。軽くて丈夫など楽器として素晴らしい素材なのかもしれない。

これ以上、人骨の話をすると近所で凶悪犯罪があったときに速攻で犯人候補にされそうなので、やめておこう。とにかく、チベット密教の楽器の魅力を感じるサウンドだ。

さらに、このバンドのリズム帯はドラムセットなんて無粋なものは使わない。太い丸太で地面を突いて演奏している。もはや、有機物の暴力だ。ここまでの話だと、ヤバい儀式そのものを行うバンドなのでは?と思われてしまうかもしれないが、決してそうではない。

バンド名にもなったヘイルンとは癒しという意味。ジャンルはミニマルミュージックだ。系統で言えばスティーブライヒなどと同じとなる。密教の楽器や中世ヨーロッパの楽器のメロディラインがいくつも重なり、ふわふわとした倍音効果を生み出すそのサウンドはもはやだれにも真似できないだろう。

聴きやすい反面、起伏が少なく倍音で眠くなる印象のミニマルミュージック。だが、本バンドはその部分はデスボイスのような囁き声やカラス、自然の音を採用してクリアしている。真っ暗闇の森の中のような雰囲気の中、ときどき聴こえてくる囁き声が、ホラーな雰囲気を加速させる。

メディーバル系のバンドというとフォーンのようなバンドを連想して、少しは陽気な音楽もアルバムに収録されているのでは?と思われる方もいるかもしれないが、安心して欲しい。全部ホラーだ。もともと、洋服のデザインから始まったとされる本バンドのメンバーは全員、ダークソウルの敵キャラのようなビジュアルで禍々しい。恐ろしいビジュアルのメンバーが人骨の楽器で演奏しているバンドだ

正直、ベースとなる音楽がミニマルという時点で万人受けはしないかもしれない。だが、密教と中世ヨーロッパの楽器のシナジー、独特の雰囲気を味わってほしい。


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