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「無慈悲な声」  志望校受験(後編)

今回の回想は昨日の回想(下記記事)の続きになっておりますので、①~③はそちらも参照していただければ幸いです。


④一時間の長い休み時間

私の胸を突き刺すような試験終了の声の後、試験官が私の解答用紙を丁寧に持って行きました。そしてその後に「これで数学の試験は終了です。次の試験は一時間後ですので、試験開始10分前までには着席をしていてください」とまるで試験開始前とは別人が喋っているように聞こえました。


私は「次の英語に向けて今までやってきた参考書の見直しをしよう」と思い、参考書を開きました。

しかし「さっきの数学大丈夫なんだろうか?」「もし数学で失敗していなくても次の英語は取れるのだろか」「他の受験生はどうなのだろうか」「最後の大問が分からなかったのは自分だけだろうか」など考えてしまいました。

私は「この時間で英語に脳を切り替えないといけない」、「今は集中しないと」、「雑念は考えるな」など、頭では分かっていました。何とかしないとと思っていたので、私は音読をし、何とか残りの時間を有意義に使えました。



⑤英語の試験

試験監督が入ってきて、巨大なボックスの中から英語の試験問題を取り出し、一人一人に配っているとき私は「あぁ、数学は一番自信があったからよかったものの、英語は余り自信がないな」と思っていました。

しかし、試験官の説明が始まってから「今まで頑張ってきたんだ。絶対何とかなる」と気持ちを入れ替えることが出来ました。


数学の時と同じように、低い声ながら、私のこころを射抜くような冷たい「始め」の声とともに英語が始まりました。


長文を初めに見ると、「例年とレベルは同じくらいかな」とわたしは思いました。そしてそれを解くと「あれ? なんだ? 何について書いてある?」と混乱してしまいました。私は焦りました。周りの受験生は黙々と解いている中私の机の上からのみ音が聞こえない。


私に聞こえるのは「カチッカチッ」という秒針の音、「シュッシュッ」というシャーペン・鉛筆を紙に擦り付ける音、そして私の心臓の鼓動だけでした。


「落ち着け、いったん深呼吸」と思って、それをしても変わらぬ環境。まるで私だけ動きを封じられているような感覚に陥りました。


「これじゃ、いけない」そう思ったときでした。私の手はページをめくり、私の目が勝手に普段なら最後に解く文法問題から解き始め、自分の身体なのに他人に乗っ取られているように動きました。そして、私の「今まで文法からやっても、良い感覚がなかったから今回も良くないかな」という予想とはちがってスラスラと手が動き始めました。


その後長文を解いてみました。いけるかなと思っていましたが、それではまだ内容が掴めませんでした。なので私は多少時間がかかると思っても、選択肢を全て読みました。そしてもう一度読んでみると、ある単語が分からなかったから、読めなくなっているのだと気づきました。


そして何とか読み終え、問題も自分に解けるところは全て解ききりました。
「試験終了」という終了の合図は、数学とは違ってまるで「お疲れ様」といっているように聞こえました。

⑥ 物理

数学と英語の休憩時間とは打って変わり、かなり集中して休憩時間を過ごした後、「この試験監督にも慣れたな」と思いながら親しみを感じていました。

しかし大きなボックスから問題用紙を取り出した時、私は「油断しないように」と気持ちを入れ替えました。


問題用紙を配られ、初めという声とともに私は問題用紙を開きました。最初の大問を見た時「これはもらった」と思いました。なぜならその範囲は私が最も得意な範囲だったからでした。そして難なくその問題を解き終えた後、次に行くと「この問題もわかりそう」と思いました。

しかし、問題を読むにつれて「あれ? おかしい。合わない」という状況になりました。「折角ここまでこれたのに」「ここで取らなければ負ける」と思い、何とか解こうとしても「わからない」という状況に陥りました。


なので私は「よし、次の大問に行こう、解けないよりはましだ」と思い、次のページをめくりました。そこで私は絶望しました。なぜならその範囲は試験前まで「理解するのには時間がかかり、自分はそこが苦手で、他の範囲も心配だ。だったら他の分野を良くしたほうがましだ」、と思っていた範囲でした。

実際後回しにしていた分野なので解けないことは目に見えていました。私はそれでも「何も書かないよりは良い」と思ったので、自分の限りある知識を使い、何とか欄を埋めました。
そして飛ばした問題に行こうとした時でした。


試験終了


その言葉は私の希望を奪うように聞こえました。そして、一度飛ばした問題をそのままにして解答用紙を提出しました。

最後に

今回で試験の事は終了なのですが、この後のことを明日は書きたいと思います。昨日は今日で過去のことは書き終わると公言していましたが、朝令暮改で申し訳ありませんが一日だけ延期したいと思います。

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