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障害者スポーツの情報発信をしている一般社団法人パラスポの公式noteです。このページに掲載されている写真、記事は、パラスポで活動しているライターやカメラマンが取材・撮影したものです。無断での使用、複写、転載などはご遠慮ください。

最近の記事

「絶対王者」不在の東京マラソン(3)

 東京都庁前のスタート地点から神田方面へ長く続く坂道を、選手たちが一気に下っていく。序盤5キロから10キロまでの間に、7人ほどで形成されていた先頭集団から2人、3人と選手が振り落とされていく。選手同士は時々、急激にスピードを上げるなどの「揺さぶり」を掛けあっているようだ。  ある選手が急に加速すると、他の選手たちも離されまいと対応して速度を上げる。速度を上げるタイミングが遅れると選手間の差が開き、加速した選手が一気に前へ出て、遅れた選手は引き離されてしまう。急激に速度を上げ

    • 「絶対王者」不在の東京マラソン(2)

       3月3日。東京の上空は青く澄み渡っている。 東京駅の丸ノ内改札口を出ると、すでに、東京マラソンのゴールが設置されていた。これから始まる交通規制のため、警察官の姿があちこちに見える。丸ノ内のオフィスビルにある取材者用のプレスセンターまで歩いて向かう。頬に当たる外気は、寒くはなかった。スマホで確認した気温は9度。マラソンを走るランナーには少し暖かいかもしれないが、暑すぎることはないだろう。  オフィスビルの7階に設けられたプレスセンターの会議室には、大型のスクリーンにテレビ画

      • 「絶対王者」不在の東京マラソン(1)

        「マルセル・フグがいない」 1月30日に発表された東京マラソン2024(3月3日開催)車いすマラソン男子の招待選手の資料を見て、こう思ったのは、毎年このマラソンを取材している私だけではないだろう。 マルセル・フグ(スイス、38歳)は2023年、世界の6つの都市(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)で開催されるマラソン6大会「ワールドマラソンメジャーズ」のすべてで優勝し、完全制覇した。 レースで勝つだけでなく、記録についても世界トップだ。2021年11

        • 【車いすバスケ・天皇杯】神奈川VANGUARDSが2連覇

          天皇杯・第49回日本車いすバスケットボール選手権大会(2月4日、東京体育館)の決勝は、神奈川VANGUARDSが埼玉ライオンズと対戦し、47対44で優勝した。神奈川は大会2連覇。 決勝は、第3Q終了時点で35対39。神奈川は埼玉に4点のリードを許していた。しかし、神奈川は第4Qに差を詰めて同点。44対44となり、試合の残り時間は40秒を切った。 神奈川の古澤拓也(3.0)が決めて2点リードし、その後、埼玉のファウルで得たフリースローで1点を追加した。 チームの強みであるデ

        「絶対王者」不在の東京マラソン(3)

          【IBSA柔道グランプリ大会】視覚障害柔道の国際大会、東京で開催

          IBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)の柔道グランプリ大会東京2023が12月4日、5日、東京体育館で開催される。グランプリ大会は、パラリンピックや世界選手権に次ぐ、国際大会で、東アジアでは初めての開催となる。 2024年夏のパリ・パラリンピックを目指す選手たちはまず、出場権獲得につながるポイントを獲得する必要があるが、今大会はポイントが付与される大会の一つに位置付けられている。 大会前日の3日は、講道館で、今大会でのメダル獲得が期待される瀬戸勇次郎選手(男子J2、73Kg

          【IBSA柔道グランプリ大会】視覚障害柔道の国際大会、東京で開催

          【大分国際車いすマラソン】ハーフ男子・2位、初出場の韓国キム・ジョンボム

          大分国際車いすマラソン(11月19日)のハーフマラソン男子(T34/53/54)で、今大会初出場のキム・ジョンボム(韓国、27歳)が2位に入った。記録は46分59秒だった。 表彰式の後、レースの感想を尋ねると、ジョンボム選手は、「今大会への出場は初めてだったのですが、良い結果を出せて嬉しく思います。また、出場したいです」と笑顔を見せた。 メイン種目に位置付けているのは400m。「400mはまだ、今の成績では来年のパリ・パラリンピックは難しいので、次のロス・パラリンピックを目

          【大分国際車いすマラソン】ハーフ男子・2位、初出場の韓国キム・ジョンボム

          【大分国際車いすマラソン】マラソン女子・喜納4位、上位との実力差実感

          大分国際車いすマラソン(11月19日)のマラソン女子(T34/53/54)で、日本の喜納翼(3歳)は4位で、記録は1時間44分49だった。 今大会、女子のマラソンは、カテリーヌ デブルナー(28歳、スイス)、マニュエラ シャー(38歳、スイス)、スザンナ スカロニ(32歳、アメリカ)の3選手がスタート直後から先頭集団を形成し、終盤まで競り合う展開となった。初出場のカテリーヌが着順で優勝。1時間35分11の同タイムで、マニュエラが2位に入った。3位のスザンナは1時間35分13

          【大分国際車いすマラソン】マラソン女子・喜納4位、上位との実力差実感

          【大分国際車いすマラソン】ハーフ初出場の17歳、豊田が7位

          大分国際車いすマラソン(11月19日)のハーフマラソン・男子(T34/53/54)で、初出場の豊田響心(とよた・ひびき:17歳、GROP SINCERITE WORLD-AC所属)が7位に入った。記録は49分36秒だった。 豊田は今シーズン、トラック種目(100m、400m、800m)で自己ベストを更新。10月に中国・杭州で開催されたアジアパラ競技大会の日本代表(400m、800m)にも選ばれ、400mでは決勝に進出した。今後の更なる成長が期待される若手選手の1人だ。 400

          【大分国際車いすマラソン】ハーフ初出場の17歳、豊田が7位

          【杭州アジアパラ】17歳、大川内が金

          杭州アジアパラ競技大会(10月28日)の陸上・男子(T20:知的障害)1500mで、大川内健太(佐賀県立伊万里特別支援学校、17歳)が4分05.12で金メダル。中川大輔(三菱自動車、33歳)が4分06.35で銀メダルを獲得した。 (撮影:小川和行)

          【杭州アジアパラ】17歳、大川内が金

          【杭州アジアパラ】陸上男子T64、競い合い、高め合う2人

          杭州アジアパラ競技大会(10月26日、中国・杭州)の陸上・男子(T64:下腿義足)100m決勝で、大島健吾(名古屋学院大学AC、23歳)が11秒27のアジア記録で金メダル。井谷俊介(SMBC日興証券、28歳)が11秒49で銀メダルを獲得した。 10月23日の200m決勝では、井谷が22秒99のアジア記録で金、大島が23秒61で銀だった。井谷と大島は、男子T64の短距離種目で互いに競い合い、高めあう存在となっている。 (文:河原レイカ) (撮影:小川和行)

          【杭州アジアパラ】陸上男子T64、競い合い、高め合う2人

          【杭州アジアパラ】陸上・男子(T36)400m 松本が銀

          杭州アジアパラ競技大会(10月25日)の陸上・男子(T36)400m決勝で、松本武尊(AC KITA)が56秒65で、銀メダルを獲得した。金メダルは、中国のDENG Peichengで、55秒17のアジア新記録だった。 (撮影:小川和行)

          【杭州アジアパラ】陸上・男子(T36)400m 松本が銀

          【杭州アジアパラ】陸上T12走り幅跳・石山が銅

          杭州アジアパラ競技大会(10月24日)の陸上(男子T12:視覚障害)走り幅跳びで、石山大輝(順天堂大学)が6m95を跳び、銅メダルを獲得した。石山は100m決勝で11秒36で銅メダルとなった。 (撮影:小川和行)

          【杭州アジアパラ】陸上T12走り幅跳・石山が銅

          【杭州アジアパラ】陸上200m井谷が金

          杭州アジアパラ競技大会(10月23日)陸上の男子T64(下腿義足)200mで、日本の井谷俊介が22秒99のアジア新記録をマークして、優勝した。 井谷は、200mの走りについて、「前半飛ばしてコーナーの出口の加速を一つ我慢し、ストレート入ったところからもう一つ、ギアを上げるイメージで走りました」と説明。今大会は、始まる前から「早く現地で走りたい」と楽しみにしていたという。100mも好記録を狙う。 銀メダルは、大島健吾が入り、23秒61だった。 (取材:河原レイカ)(写真提

          【杭州アジアパラ】陸上200m井谷が金

          【杭州アジアパラ競技大会】卓球

          杭州アジアパラ競技大会(10月22日)、卓球の男子シングルス Class9グループAで、岩淵幸洋(日本)はGHOLAMI Mohammaderfan(イラン)と対戦し、3対1で勝利した。 岩淵は、「会場の雰囲気を感じながら、まず1つしっかりことができて良かったです」とコメント。これから続く対戦について、「最後まで勝ちきって、パリパラリンピックの出場権を取ることが大切だと思っています」と意気込みを示した。 (取材:河原レイカ (撮影:小川和行)  ◆日本代表選手たち

          【杭州アジアパラ競技大会】卓球

          【杭州アジアパラ競技大会】

          杭州アジアパラ競技大会が、中国・杭州で開催される。大会期間は10月22日~28日だが、既に一部の競技が開始。車椅子バスケットボール(10月19日)の様子を写真でお届けする。(撮影:小川和行) ◆日本車椅子バスケットボール連盟 https://jwbf.gr.jp/news/831 ◆10月19日 日本代表男子 日本 対 クウェート 92 対 25

          【杭州アジアパラ競技大会】

          【パラ陸上】ブレイクスルーの1ピース

           「Japan」のユニフォームを身に着けた大谷翔平が、4回裏の打席を終えて、ベンチの裏に戻ってきた。  「くっそー。まじか、(ホームラン)いけたな」  コンクリートの打ちっぱなしの空間、壁際に置かれた椅子に腰を下ろした大谷は、汗ばんだ顔で宙を睨んでいる。頭の中にある何かをじっと見つめているようだ。座った姿勢のまま右腕を軽く後ろに引き、その腕を前に振り出しながら上半身をやや捻っている。バットを振る動きを再現している。  2023年春に開催されたWBC(ワールド・ベースボール・

          【パラ陸上】ブレイクスルーの1ピース