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私の入浴

銭湯マニアにはそれぞれ「入り方」がある。
いかにこだわりをだすか。
効率や医学的意味なんてない。
ただ、どれだけ気分を高めて銭湯を楽しめるかがこれにかかっている。映画を見るときにポップコーンとコーラを用意したいように。素敵な朝にはコーヒーと音楽が欲しいように。

私にもそれはある。

私のルーティンは入口から始まる。

①まずは到着してすぐ写真を撮る。
これはね、風呂からあがるとみんな髪の毛ビショビショでかっこ悪いのと、なるべく明るい内に撮りたいから。

②靴箱は1、2、6、8のどれかの番号と決めている。
台湾で言われたラッキーナンバーなんだこれ。大体11,12とか若い番号って空いてるんだ。
銭湯はおじいちゃんおばあちゃんが多いから、上から三段目以降がめちゃくちゃ鍵ない。ていうか鍵全部ある銭湯なんてない。

中へ入る。
料金を払う。

脱衣所。
③まずは天井を見る。
天井は建物の中でも昔から変わらない部分だと踏んでいる。リニューアルするにしても難しい。昔からの意匠が受けつがれてるはず。それに、天井なんてあまり目につかないところをどう攻めてくるか、これこそ店主の気心が見える。こんなとこに絵描いてくるのかぁ、とか。うわぁ、折り上げ天井だけど白なんだぁ。とか。
買ったリュックのちっちゃいポケットのファスナーも防水だった時の喜びに似てるかな。
あとカレーセット頼んだらラッシーもついてくるって言われてメニュー見たらマンゴーラッシーもあるみたいな。

④人数を見る。
繁盛してると狭いなぁと思う反面、活気あるなあって喜びがわきあがる。

ロッカーはあまり詳しくない。ただコンセントが一つ一つについてた東新宿の弁天湯はたまげた。

床も実は詳しくない。結構木目かフローリングかで好き嫌いがあるらしい。まだまだ俺は銭湯を好きになれるってことだ。

⑤浴室に入ったらまずは富士山のレイアウトをちら見。
じっくり見るのは湯舟で。

⑥私は先に全部洗う派です。
頭、体。
備え付けがあったら、コンディショナーだけは自分のものを使う。銭湯が好きでも石鹸を過信しない。

★洗う時は入口にちょっと近めのところで体を洗うのがおすすめだ。
初心者はここで寒い寒いと言う。私も入り始めはそう言ってた。だが、ここであえて寒いを残しておくことで、このあとの入浴がより気持ちのいいものになる。逆にここで体をビタビタに温めてしまうとどうだ?そう、湯舟を味わう時間が減ってしまうのである。

いいか、銭湯で湯舟に浸かれるゲージは決まっている。いわばHP。浸かれば浸かる程体温があがり、外へ出たくなる。ゲージは一回0になったら二度と回復しない。絶妙に0にならないように調整し、ぴったり0になった瞬間に出るのが極上の入浴である。

⑦湯舟へ。
基本的には空いてるところから入る。
もし、すべてが空いていたら
★まずは何もないシンプル湯舟に浸かりたい。
炊き立てのお米をよそったら、何もつけずに一口食べちゃうように。きれいな芝生に寝転んでしまうように。

そして体が熱さに慣れたらゆっくり旋回、なるべく足を延ばすスペースを見つけて、なるべく壁画を見れる位置に行く。

壁画はいつ描かれたのか、女性の方はどうなっているのか、横ははみ出ているのか、そんなとこを見て、まだまだ絵はわからんなぁと毎回思う。どこから見た富士山だ、とか言うためには富士山の勉強をしなきゃいけないな。いつかしよう。たぶんこのまましないで死ぬ。

壁画に飽きたら天井。浴室も天井だ。
大体吹き抜け方は真ん中ががら空きになって、その両脇の窓から空気が抜けていくようになっている。
江東区とかはがら空きになる直前のところに赤いラインが書いてある。これはなんだろう。割と古いところにある気がする。
そのままぐるーっと浴室内を見渡す。
時計の張り付けられている木が古いなとか。
あの蛍光灯きれてるな、とか。
仕切りのタイル絵は章仙かなぁ、とか。

で、その次は洗っている人。
あの人ずっと肘洗ってる。
背中あんな丁寧に洗うかなぁ。
身を乗り出して髭そって、人が来たらちゃんと座った、あれで意外と恥ずかしがりなのか。
とか。

⑧近いところから、空いてるところから順番に違う湯舟へ。
ジェットの強さでここの年季を確かめる。
深い湯も、結局温度は一緒なんだけど、恐る恐る入って、はいはい。とうなずく。

最近は塩谷歩波さんの影響で浴槽のタイルも見るようにしてる。ここにも年季がでているんだ。まだまだ俺は銭湯を好きになれるな。

⑨基本水風呂がなくてサウナがない場合はこのあと一度浴槽のヘリ、もしくは椅子に座って一休み。
桶に水をためてかける勇気はないのでおもちにつけるくらいの量をぺしぺしからだに塗る。一息つけたらもう一度入っておしまい。
最後に天板状のシャワーでからだを流して
セームタオルでパシパシ音をたてて体を拭いて出る。

出てからもう一度天井とテレビと、時計を見る。
取り残してないかなぁって。
ドライヤーの値段も地味にみちゃうな。20円6分が一番おもしろかった。

フロントでQRコードをもらい、そこでうまく番台さんが反応してくれれば色々話してみる。反応してくれなかったらこっちからはいけませんよ。そりゃ。みんな不愛想に見えちゃうもん人見知りの私からは。

フロントもしっかり見ちゃう。
ポスターが何あるのかとか、銭湯関連の雑誌多いなぁとか。
あと飲み物。
最近の相場は130円でコーヒー牛乳(明治)。小岩井はちょっと量多いのよ。ビンも長くて。で味がざらっとしてる感じ。雪印もたまにあるね。
昔ながらの銭湯もしくはこだわってるところはハニップCかローヤルトップがある。
レモンスカッシュ、瓶コーラ、ラムネ、この辺がすごい戦いしてるとこもある。
フロントは広い方がいい。広すぎて病院の待合室みたいにはなってほしくないけど。なるべくなら皮のソファーが6,7人分は欲しい。で、テレビもあって。漫画はあるけど絶対読まない。でもあってほしい。センスでるし。

最後はしっかりと「ありがとうございましたー」と言って出る。

一回風呂入るくらい時間かけて書いちゃったな。

最近の悩みは桶を使えてないこと。
なのでやっぱりもみあげ流にそんきょを取り入れようかな。

さ、次は交互浴、サウナ編。

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