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「酒の穴」「晩酌百景」「酒場っ子」もしよかったらぜひお手元に

今年の2月から5月にかけて、僕の名前が著者としてクレジットされる3冊の本が発売されます。

数日前、ついに3冊目「酒場っ子」に関するすべての作業が終わりましたので、これらについて記しておけたらと思います。


その前に、ここでだけ、一度だけ、愚痴らせてください。
昨年末、それまで企画はあった本の発売スケジュールが、具体的に、しかも3冊分バタバタと決まって、そこからついこの間までの数ヶ月、ま〜じ〜で〜きつかった! 本気で死ぬかと思った!

いや、すべては、こんなありがたいお話はそうないし、ここはちょっと無理してでもがんばる時だろうとお受けした「自分」の責任です。
関係者の方々には心から感謝しています。
愚痴っつったって、誰かに対してとかじゃありません。
が、3冊の書き下ろし本の作業を立て続けにやってた11〜3月の間くらい、本当にヤバかった。
そもそも僕、昼間は普通に別の仕事もしてますのでね。
仕事〜食事〜仕事〜仮眠〜仕事〜どっかの酒場で飲み取材〜気絶〜仕事〜……って感じのエンドレスループで、自分がいつ寝ていつ起きてるのかも判然としないような毎日。
発狂しそうになることも数度。
それでもなんとかかんとか精一杯、やれるだけのことはやり、いやぁ、やってればいつかは終わるもんですね。
遥か彼方に霞んでチラリとも見えそうになかったゴールに、やっとたどり着くことができました。
あ〜ホッとした。

まぁ、喉元過ぎればというか、SNSなどにちらほらと書いていただいている感想などを目にするだけで「報われた!」っつって、バカのように大喜びしている昨今なのですが。
すでに読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます。

今回の3冊、振り返ってみると、1冊ずつが、お酒を飲み始めてからの自分の集大成だなぁと感じます。
それぞれ振り返ってみられたらと。

「酒の穴」
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僕と同じく、ミュージシャンやライターとして活動している、スズキナオさんとの共著。
酒の飲み方、飲んでいる時の感覚が妙に合うなぁ、というところから徐々に仲良くなっていき、ついには酒を飲むだけのユニット「酒の穴」を結成してしまったナオさんとの、対談集となっています。

知り合ったのはもう10年近くも前で、お互いに、会っていきなり「え? 酒好きなの? じゃあマブダチじゃ〜ん!」というタイプではなく、5〜6年くらいかけて、ゆっくり今くらい仲良くなっていったような感じ。
本の帯に「酒と向き合い、飲み、時に飲まれながら語り合った1,000時間」とありますが、これはまさかこの本のためにまじで1,000時間飲み語ったというわけではなく、そういった長年の蓄積の中で高めていった、いや、勝手に高まっていった、自分たちの中だけでの「酒ってこういうところがいいよね」みたいな共感覚を短期間にスパークさせたような内容になっています。
まずそういう感覚を共有出来る親友、って言葉は恥ずかしいな、ずっ友? もっと恥ずかしいか、とにかくそういう人と出会えたことが奇跡のようなもんなんですが、同時にそれは、自分たち以外の人たちにとって、ぜったいにどうでもいいんだろうな〜と思える。
そんな、常人ならば出版しようなんて思わない酔狂を自ら買って出、実現させてくださったのが、シカク出版の竹重みゆきさん。

いくつものありがたい奇跡が重なって、結果、せっかくの文庫本なのに何ひとつためになることが書いてないという、世紀の奇書が誕生しました。
まさに、酒の穴10年の歴史の集大成。

「晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生」
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僕があまりにも豪華な11人の著名人の方々と「晩酌」をテーマに飲みながら語らせてもらった対談集です。
ゲストは第1夜から順に、向井秀徳さん、今野亜美さん、ピーター・バラカンさん、林雄司さん、河相我聞さん、久保ミツロウさん、大谷能生さん、かとうちあきさん、二村ヒトシさん、マリアンヌ東雲さん、ラズウェル細木さん。
ラインナップの時点ですでにとんでもないですね。

編集者のお知り合いから「何か一緒に本を作りたいですね」と声をかけていただき、シンコーミュージックの編集さんと飲みの席を設けてもらって、なんとその日にこの本の企画が固まってしまったという。
なかなかそんな勢いでことが決まることは少ないので、良い流れで完成に向けて進んでいくのも早かった。

そもそも僕は、お酒以外の仕事でもインタビューをすることが多く、ここ10数年で、大小含めざっと500本くらいはやってるかと思います。
加えて近年、「酒場人」という雑誌を作らせてもらえたことをきっかけに「飲みインタビュー」の機会も増えました。
さらに、ラズウェル細木先生や久保先生といった、人生のさまざまな時期に知り合わせてもらった大好きな方々と、向井秀徳さんやマリアンヌ東雲さん、ピーター・バラカンさんといった、一方的に存じ上げ、憧れていた方々。
いろいろな巡り合わせで、実際にお酒を飲みながらじっくりとお話をさせてもらうことができました。
それらすべての集大成が、この本。
全員のお話が、本当におもしろいし、酒の穴とは違ってすごくためにもなります。

「酒場っ子」
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この10年ほど、酒/酒場好きが高じ、文章、イラスト、漫画など、さまざまな形で世にアウトプットする作業を勝手に続けてきました。
この本は、10年やったら形になったっていう、まさにその集大成。

出版元の「スタンド・ブックス」は、かつては雑誌『クイック・ジャパン』や『マンスリーよしもとPLUS』の編集長を務められた森山裕之さんが2016年に立ち上げた、なんと僕の地元である石神井公園にある出版社。
以前僕が個人で作った「大衆酒場ベスト1000」というミニコミについて、柳下毅一郎さんが紹介してくださった文章があるのですが、それをきっかけに僕のことを知り、書いた文章などを読んで、一緒に本を作りたいと思ってくださったそう。

これまでの飲み歩き活動を通じて個人的に至った、「自分にとって酒場とは」という、人生中途ではありますが現時点での結論について、あますことなく書ききったつもりです。
内容は、全40章、たっぷりと好きな酒場、飲み方について綴った、登場する酒場100店超のエッセイ集。
全章に描き下ろしイラスト付き。
装画は敬愛するスケラッコさん。
帯コメントに、夢眠ねむさん、ラズウェル細木先生、清野とおる先生、吉本ばななさんという、そうそうたるメンツ。
さらに帯裏面には、この本のきっかけとなった柳下毅一郎さんに解説文も書いていただきました。

石神井公園駅前のドトールでの打ち合わせを重ねに重ね、手になじむバイブルサイズ、300ページ超えの大ボリュームをなんと、酒場でお酒をこぼしても大丈夫な「ビニール装」でカバーした、こだわりの詰まった一冊!


とりあえずすべての本に、僕のこれまでの酒人生のすべてを全力でそそぎ込みました。
とはいえ、僕の書いたものですから、内容はゆる〜い感じ。
「これだけがんばったから、今回ばかりは買ってください!」とも言いません。
どこか気になったところがある方、本屋さんなどで見かけた際には、試しにちらっとでも中身を覗いてみてもらえたら嬉しいっす。


は〜、今年の残りのゴールデンウィークは、やっと少しだけだらっとお酒が飲めそうです。
ありがとう。

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