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グラス・グリーン色のスカート

人工芝のごとき高彩度な緑色の服にハマって探しまくったのは、2年と少し前だ。なぜか突然いいなと思うようになり、そうすると次々とその色の服が眼前に現れる、そして買う。

おそらく火付け役はボッテガ・ヴェネタのダニエル・リーで、どこかでなんとなく見たイメージが無意識に焼きついて膨らんだんだろう、と自分で分析している。人間の購買欲というものは、かくも単純に育つのだ。

フレアスカートとブラウスのセットアップから始まり、ペンシルスカート、ボックススカート、薄手のタック入りテーパードパンツ、ロングフレアスカート、羽織りコート、中厚地のテーパードパンツ...と、気づけば今では8点ものグラス・グリーン色の服を所持している。あ、シルクブラウス2枚とコットンシャツと半袖ニットとキャミソールを入れたら13点か。われながら多いな!すべて1970年代から1980年代のヴィンテージだ。半分は蚤の市で出会い、半分はヴィンテージ服ディーラー達から買った。そういえば最近、ヴィンテージじゃないバッグも買ったんだった。もはや支持政党を曲解されそうなワードローブだ。

なかでも最高に出番が多いのは、2番目に見つけたペンシルスカート。コットンサテン地で裏地なし、秋に冬に春にと、かなりの頻度で履いている。

ナチュラルや清純さのイメージからはほど遠い、毒味のある緑色。19世紀に多くの富裕層を死に至らしめた、ヒ素グリーンのような色だ。でも不思議な上品さもある。

遠目には明らかにマットなのに、近くで見ると微かな透明感を感じなくもない。この色に重量があるとしたら軽くも重くもなく、でも一ヶ所にとどまってピタッと動かない、みたいな... 爬虫類?

今季はこの明るい緑色、グラス・グリーンがトレンド。どのショップのショーウィンドウにもこの手の色が繁りまくっている。

わかりやすく好きな色が流行っている時は、いいものを見つけたらとにかく買うべし。次に同じ色が流行るまで20年以上も待つ、とかになるからね。

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