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【フランス留学】フランス人のルームメイトとうまく付き合う方法

かつて大学院で地球環境科学を学び、フランスに留学していたことがある。自分のフランスでの体験談を時々はnoteに記そうと思う。

フランス留学中に軽く病んで登山した話は下のnoteに記している。今回は別の話をしたいと思う。

https://note.com/paris_subway/n/n898cf76d55fe


フランスでは教授のススメでシェアハウスに暮らしていた。家賃280ユーロ、正方形の7畳ほどの部屋にリビング、キッチン・シャワー・トイレは共通、といった具合だ。

シェアハウスには既に3人のフランス人が暮らしていた。そこに新しく4人目ということで追加してもらったのだ。


これはシェアハウス生活、2日目の話。

研究所から帰宅し、薄暗いリビングの机の上に一枚の紙が置いてあった。

その紙。自らへの戒めをこめて、自分の部屋の扉に貼り付けていた。



The rule of co-location(共同利用の場に於けるおけるルール)という見出しとともに、改善要求が記載されていた。

・共同のスペースは綺麗に保て
・ごみをきちんと捨てろ
・使い終わったら物は周りは綺麗にし、片付けろ
・人のワインを勝手に飲むな
・人のプライバシーを守れ etc…

などを含む11か条が記載してあった。

どうやら手紙の差し出し人は、カップルで同居している2人だった。
入居してまだ2日目だというのに早速彼らの従来の平穏な暮らしを犯し始めた私に対する改善要求であった。


この手紙を読んだ直後は恐怖で手が震えた。

まだ1日、2日しか経っていないのにこんなに言われるのか。そもそも、そのカップルとはそこまで会話をしておらず、どんな人達かも分からない。個人的にはリビングは綺麗に使っていた筈なんだけど。プライバシーを守れ、って一体いつ私はプライバシーを侵したのだろう。

あと、テーブルの上のワイン、好きに飲んでいいって言ってたよね、あなたたち。

ー 疑問は尽きなかった。

私はひとしきり反省し、彼らの部屋に謝罪に向かった。怖かった。コワモテての彼氏の方にもしかするとぶん殴られるかもしれないとも思った。


「すみません、すこし話があるのですが、、、」

ドア越しにそう伝えると、扉がギィと開き、怪訝な表情の2人が私の前に姿を現した。
が、非礼を詫び、行動を改善する旨を伝えると、すんなりと許してもらえた。

私のどの行動が良くなかったのかについても詳しく教えてもらった。

・共同の部屋の電気は毎回消すこと。フランスは電気代がとても高いから。
・使い終わった皿はテーブルに置きっぱなしにせずきちんと洗うこと。
・使ったらテーブルは丁寧に拭くこと。etc…


私は当然のことが出来ていなかったのだ。深く恥いった。カップルには絶対に同じことを繰り返さないと誓った。



今回の一件は私にとっては恐怖体験だったのだが、早めに相手に対して改善要求を行う合理性に感心した。

日本人あるあるとして、人間関係が取り返しのつかない状態になるまで自分の本当の意見を言わない傾向にあると思う。

今回、フランス流かは知らないが、関係がこじれる前に早めの警告を受けたため、私の行動が改善され、再度関係修復ができる可能性が残されていた(そして改善した)。

あと、紙で伝えてくるあたり、契約文化のフランスっぽいなと感じた。あのまま行動を改めていなければ、あのカップルは大家に速やかに私を追い出すように訴えていたに違いない。

---------それから----------

その後カップルはスイスに引っ越した。
すぐに空き部屋に新たに2名の新参者が入ってきた。

29歳、大学院卒、スキー場の怪我人を運ぶ救急車の短期バイトをしているルーマン。
35歳、脱サラ、秋から新たに大学に入学し建築を勉強しているクリストフ。

なかなか個性的な2人だった。

しかし、こいつら2人は、私がかつてあのカップルから忠告されていたことを、ことごとく、ことごとく、守らない奴らだった。

フランスパンのパン屑をテーブルにぶちまけたままにしたり、皿は洗わずそのままにしたり、電気はつけっぱなし、見ないTVもつけっぱなし、etc

あのカップルであれば即座に発狂したであろうことを平然とする連中だった。

「ルーマンはお皿を綺麗にするのは苦手かな?」

そう婉曲的に、皿を洗えと伝えたところで全く行動は改善しなかった。あちらは遠回しに伝えたところで察してくれるような文化ではない。

多分、言いたいことを紙にでも書いてガツンと伝えるべきだったのだろう。あのカップルに倣うべきであった。


フランス人にも色々いるもんだ。


では、また!

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