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たかはしけいこ 個展 『石ころをひろった』 INTERVIEW by PARK GALLERY

パークギャラリーで 7月14日(水)から7月25日(日)まで、個展『石ころをひろった』を開催しているイラストレーターのたかはしけいこさんへのインタビューです。展示に来る前でも、来た後でも楽しめます。また、遠方や緊急事態宣言による自粛でなかなか来店が難しい方など、ぜひオンラインでたかはしさんとのコミュニケーションをお楽しみください。そのほかの質問や感想など、会期中は本人が答えます。気軽に DM やコメントください。

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—— イラストレーターとして、絵本作家として、それぞれ創作をはじめたきっかけや時期があればお聞きしたいです。

昔から絵を描くことが好きで、美術大学に進学しました。その時はただ絵を描いていてたのですが、それを誰かに見て欲しくて、学生時代に展示をいくつか企画しました。その時に初めて名刺を作ったのですが、肩書きが必要だったので「イラストレーター」と記載しました。作家とイラストレーターの違いもよく分からなかったのですが、なんとなく絵を仕事にしたい、と意識しはじめたのがその頃です。

絵本を描いてみたいと思ったきっかけは、友人と企画した絵本展でした。それまでは一枚で完結する絵を描いていたのですが、描いたものを並べた時に、人に与える印象の変化があることに興味を持つようになりました。それまではただ目の前のものや浮かんできたものを描いて、「描いたから見てくれ!」という作品ばかりだったのですが、だんだん第三者の視点を意識するように。子どもが好きで絵本が好きで、絵本作家になりたい!というよりは、やっていくうちに絵本にたどり着いたという感じです。

どちらも仕事であり半分趣味だと思ってやっています。そのくらいが自分にとってちょうどいいというか、そう思わないとやってられないというか(笑)。
嫌になったら一人旅に出たり、いいもの食べたり、瞑想したりしています。

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—— 絵を描く時に心掛けていることや基本的に用いる技法、画材などを教えてください。

決まった描き方やこれといった画材は特にありません。そこにあるものや、やってみたい手法を試して、しっくりくるまで続けてみたりしています。あれもこれもとりあえず試してみたい性格なので、画材が増えて困っています(笑)。しっくりくるものがたくさんある方が、いざという時に選択肢が広がったり、新しいことに繋がったりするような、しないような ... と自分に言い聞かせています。

決まっているものといえば、無印良品のフラットに開く手帳と、よくあるサインペンと LAMY の万年筆を持ち歩いているので、そのあたりでしょうか。

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—— 物語を感じさせるイラストが印象的です。物語のインスピレーションはどこから得てますか?

「もしもこうだったら」とか、「もしかしてこうなのかも」とか、そういう想像をするのがとても好きで、そういことを絵にしているのかもしれません。何も描きたいものがない時は花とか果物とか動物とか、目の前にあるものをとにかく描きます。これが描きたいから描く!ということがほとんどなくて、とにかく手を動かしたい、でも何を描けばいいかわからない ... という状態に毎回陥ります。描きたいものがありすぎて手が追いつかない人は天才だと思います。

以前ネタがない時に「誰が」「何を」「どうする」というカードを作って適当に引き、それを組み合わせて物語を作る、ということをやっていたこともあります。これは頭の体操になってとてもおすすめです。

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—— 個展のテーマを『石ころをひろった』にした理由は?

絵や音楽自体に、価値があると思いますか? 価値というものは、見る側が勝手に付けているもので、本来はないものなのだと思うんです。私が今回べらぼうな値段をつけた石ころだって、誰も見向きもしなかったただの石ころです。でも、ある人にはちょうどいいペーパーウェイトになり、ある人には漬物石、ある人には芸術品になります。見る人によって、ものの価値というものは全く違うものになります。

「私がなんでもないただの石ころを拾うように、誰かが私の絵を拾ってくれる。」

私の絵は、石ころと同等の可能性があるのだと気づきて、とても嬉しくなりました。

「石ころをひろった、それはただの石ころではないようだ。」

そのことを実感したかったので、石ころをテーマにしました。

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会場には実際にたかはしさんが拾った石も展示してあります。

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—— 展示の楽しみ方、注目ポイントを教えてください。

実は、DM のイラスト含め、メインの作品群にはある共通点があります。全てに共通していて、さらに隠さず見えているのに、ほとんどの人はそれに気づきません。でも、一つ気づくと、全てが目に飛び込んでくる、ちょっと不思議な体験ができます。

「見えている世界」と「意識して見る世界」は同じであって、全く違うものです。いい感じの文字看板も、老舗のおいしい居酒屋も、隠し味の山椒も、いい石ころも、一度それに気づくと、その瞬間からかんたんに見つけられるようになります。こんなに近くにあったのに、なんで気づかなかったんだろう、という感覚を楽しんでいただきたいです。

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—— 個展を実際開催してみていかがですか?

地元の友達、大学の友達、前職の上司、現職の仲間、見知らぬ人、とにかく色んな人が同じ時間、同じ場所に集まることがなんだか不思議で、夢の中のような感覚です。とにかく絵の共通点を見つけた時の皆さんの反応がほぼほぼ予想通りで、してやったりと思っていました。

ひと組、親子連れのお客さんが来てくださったのですが、女の子が「あ!」とその共通点にすぐに気づいて全部探し出してくれて、それがとても嬉しくて、帰宅してお風呂で思いだして泣きました(笑)。子どもの見ている世界の豊かさに感動。作るだけではなく、第三者に見てもらうことの大切さを改めて感じました。

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—— 最後にみなさんへメッセージをお願いします。

文章にするとものすごく堅苦しくなってしまい反省。私自身はそんな事ないので気軽に会いにしてください~!

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たかはしけいこ
香川県うまれ、東京在住のイラストレーター。絵とことばを組み合わせた、えほんのような、ポップで楽しいイラストを描いています。
https://keiko–t.tumblr.com
https://www.instagram.com/keiko__t



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