家出をしたら人生観が変わった話①
僕は高校在学中に幾度も家出をしました。
始まりは学校や家で上手くいかずにいた僕に、腐れ縁で繋がっていた一人暮らし中の年上の界隈メンバーが「家来ちゃう?」みたいな軽いノリで声をかけたことでした。
この後は彼をTと呼びます。
詳しくは知りませんでしたが、Tは大学で上手くいかずに、ヒキニートになって居たので寂しかったのだと思います。
決行日、東京から数時間離れた片田舎に住んでいる僕は早朝に「家出します。」とだけ書き置きをして電車に乗り込みました。
過保護過干渉な親がえげつないほどLINEを送ってくることは分かりきっていたのですが、ブロックは出来ずにガタンゴトン電車に揺られていました。
未だに早朝、退屈な車内で陽の光を浴びながらサラリーマンやOLを眺めているのは高校時代を思い出して胸が熱くなります。
家出をする前に、数人でT君の家に泊まったことがあったので、迎えに来てもらうことなく家凸しました。
ピンポンを押すと、パジャマ姿のT君が出てきて「宗教勧誘のババアかと思った!」と訳の分からないことを言いながら、そのまま朝ごはんを食べに行くことになりました。
都会の喧騒を味わいながらガストに着き、彼は早朝バイキングとビールを頼みます。
見慣れない建物が並ぶ都会の街で、ガストの内装はどこか安心感を与えてくれました。
「乾杯しちゃうか〜」とハイテンションでグラスをぶつけて、美味しくないビールをちびちびと飲み進めていると、今までの憂鬱な気持ちがバカバカしく思えてきます。
つづく