七草粥

七草粥、あるいはそれに限らず四季ごとの伝統的な食習慣などは、平常季節感を見失いがちな現代人こそ大切にすると良いように思う。
形にはこだわらない。肝要なのはそれを「している」という意識なのだから、形にこだわりすぎて億劫になるくらいなら、表面上のスタイルは多少崩してでも続けた方が良いに決まっている。
平たくいうと「粥じゃあ酒が飲めない」。ということでリゾットでもチャーハンでもよかったけれど、今回は中華粥に。

七草の中華粥
出汁は干し海老、アゴ、スルメ、しいたけ、昆布、猪の脂、それに鶏肉を湯がいた残り汁。油でしっかり炒めた米の上から熱々のそれを注いで粒を割ったら火を弱めて蓋、そのままくつくつと1時間ほど炊きあげる。
なるほど中華粥というものは、その割れた米の食感こそが特徴で、一粒一粒が舌の上でほどけるように消えていく感覚は他の米料理にはないものだと思う。
七草はごま油でさっと炒めてトッピングに使った。しっかり奥行きのある複雑な味わいの出汁は、優しい生酛の酒にあう。

七草粥
刻んだ七草をさっと醤油洗いして上から熱湯をかけたものを、炊き上がった粥に混ぜ込むだけ。塩は食べる際に適宜。
七草の滋味と、塩だけでシンプルに引き出す米の甘みが実に日本的で、同じ粥でも先の中華粥とは対照的で面白い。
つまみにはならないなどと言いつつ、最後にはこういうものにほっとさせられる。

#七草粥 #中華粥

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