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「ジョゼと虎と魚たち」日本映画のエモとエロ

家族が出払ってしまって誰もいない休日の昼下がり。
これは映画観賞日和と、ネトフリとAmazonプライムを漁っていたら、Amazonプライムで「ジョゼと虎と魚たち」を見つけました。最近やっていたアニメではなくて、2003年、妻夫木聡と池脇千鶴の実写版です。
これ、評判を聞いていて、前々から見たかったんですよね。

映画.comより

ちょっと古い感じ?昭和感あふれています。

田辺聖子の短編小説を犬童一心監督が実写映画化。妻夫木聡と池脇千鶴が共演し、足の不自由な少女と平凡な大学生の切ない恋の行方を描く。ごく普通の大学生・恒夫がアルバイトする麻雀店では、近所に出没する謎の老婆の噂が話題となっていた。その老婆は決まって明け方に現れ、乳母車を押しているのだという。明け方、恒夫は坂道を下ってくる乳母車に遭遇。近寄って中を覗くと、そこには包丁を振り回すひとりの少女がいた。ジョゼと名乗るその少女は足が不自由で、祖母に乳母車を押してもらい散歩していたのだ。不思議な魅力を持つジョゼに惹かれた恒夫は、彼女の家をたびたび訪れるようになる。

映画.comより

大ざっぱに言えば、ごく普通の大学生が障がい者の女の子ジョゼと出会い、恋をして、悩みつつもそれぞれ成長していくというお話です。

アニメにもなっているので若い人向けの純愛ラブストーリーと思い込んでいましたが、田辺聖子原作だったんですね。実写版の舞台は80年代のバリバリの大阪。
ジョゼのおばあさんは障がい者への偏見がすごいし、住んでいる長屋の貧しさと、その当時はいたであろう変態のおっさんなども住んでいます。どの辺りの設定だろうか?妻夫木聡演じる恒夫が同級生の彼女(なんと、当時16歳の上野樹里でした)を駅に送るシーンで注意看板に「西寝屋川警察署」と書かれていたので、その辺りでロケがあったのかな。
大阪弁が飛び交うのは同じ関西人としては、心地よく、昭和の大阪を感じられます。

ただ、映画のレビューサイトでも評価が分かれるところですが、アニメとは全然描き方が違うようで、私はアニメを観ていないので、映画に限って言えば、商業的な性的場面が多かったし、障がい者に対する露骨な表現などもあって、2003年の作品にもかかわらず、感覚が古いような感じがしました。
今では絶対にアウトな表現であったり、冒頭からびっくりの江口徳子(江口のりこが「江口徳子」としてクレジットされています)のヌードシーンやら、池脇千鶴ちゃんの正面からのヌード。こういうのは思い切った、体当たりの演技とか言いますが、要らん、要らん。

最近、韓ドラ見過ぎで、私の脳ではこういう無駄なラブシーンは受け入れにくくなってしまっているようです。
私が一押ししています「ミスター・サンシャイン」なんか、キスシーンすらないのに、心の触れ合いが見事に描かれていて、十分ラブストーリーとして楽しめますからね。

でも、こういう叙情的で、最後はどういう意味なんかなーと自分自身の気持ちに問いかけるようなものが日本映画らしさなのかなとも思いますし、映画界では評価されていたので、ぼやっとしたのもまたよしとされるのかもしれません。

ラストのほうで、ジョゼが、昔は真っ暗の海の底にいるみたいだったけど、恒夫と出会って、いろいろなことを経験して、明るいところに出てこれた。でも、「恒夫がいなくなったら迷子の貝殻のように海の底をごろごろ転がり続ける」「それもまたよしや」と言い、納得のラストシーンにつながります。ジョゼには希望を感じられ、恒夫には切なさしか残らないという男女の恋愛観の差が出ているのかなとも思いました。

主人公たちと同じ年頃で観たら、また違った思いで共感できたのかもと思うと、年を取ってしまったことが残念なのですが、今の私にとっては星★★★くらいで。

昭和感のエモさと要らないエロス、これは当時の日本映画には必須だったのかもしれません。
何やかんやで、心には残る作品でした。
ちゃんと本を読んで、自分なりに「ジョゼと虎と魚たち」の世界観を感じてみたいと思います。
これ、韓国版もあるんですよね。ハン・ジミンとナム・ジュヒョクって、ちょっとイメージ違うけど、このお話のテイストは韓国にも合っているような気がします。

予告映像観たら、、、あれ?何かいい感じやん。

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